“いつか”ではなく、いま乗るべきクルマ... ナビカーズ創刊編集長、河西氏が語る、ジープ・ラングラー・ルビコン ハードロック オーナーズレビュー

ずっとコンパクトカーばかりを乗り継いできた僕が、初めて買った“ヨンク”がジープ・ラングラーだ。手に入れるきっかけとなったのは、とある先輩からの一言だった。ラングラーは、僕にこれまで知らなかったクルマの楽しみを教えてくれたのである。

文/写真・河西啓介

Chapter
“逞しさ”の象徴だったジープ・ラングラー
最も硬派でスペシャルなモデル「ルビコン」
ハンドルを握れば“非日常”を味わうことができる
JEEP ラングラー 河西啓介

“逞しさ”の象徴だったジープ・ラングラー

JEEP ラングラー 河西啓介


元はといえば学生時代の「バイク」から始まった乗りもの遍歴。ゆえに四輪に乗るようになってからも、小さくて、キビキビしていて、手足のように動かせるクルマが好きだった。とくに家族が増えるまでは、コンパクトなハッチバックかオープンスポーツカーばかりを乗り継いでいた。

しかし歳を重ねると洋服の嗜好も変わるように、いつの頃からか「大きなクルマもいいな」と思うようになった。コンパクトカーにはない、厳つさや逞しさに憧れたのだ。そんな逞しさを象徴する一台が、僕にとってはジープ・ラングラーだった。

JEEP ラングラー 河西啓介

ボイス・パブリケーションで以前の愛車、アルファ・スパイダーと並べる。


2016年の初め、僕が編集長を務めていた雑誌『NAVI CARS』で四駆の特集を企画した。流行りの「SUV」ではない。ジープ、ゲレンデ、ランクル、いわゆる“クロカン”タイプの硬派なヨンクだ。その取材でラングラーに乗ったとき、僕はとある先輩モータージャーナリストに、「ジープ、いつか欲しいんですよね〜」と、軽い気持ちで呟いた。すると先輩はこう言った。「ジープは憧れるクルマじゃないよ。乗りたいんだったら今乗るべきだね」。

そう言われてハッとした。そのとき僕は50歳目前。正直、人生であと何台の愛車を持てるだろう……とカウントダウンするような気持ちにもなってくる歳だ。つまり僕にはもう「いつか」と言ってる時間はないんだな、と。乗りたいクルマがあるなら、体力もあり、運転が楽しめる今のうちに乗らなくては。そう考えると、どうしてもラングラーがほしくなってしまった。

最も硬派でスペシャルなモデル「ルビコン」

JEEP ラングラー 河西啓介


そして僕は、その取材から半年ちょっと経った2016年の秋、それまで乗っていたアルファ・スパイダーを手放し、ジープ・ラングラーを新車で購入した。中古車も考えたのだけど、ラングラーは人気が高く、中古でも意外と値段が安くならない。であればいっそ新車を……と考えた。

もうひとつ、ディーラーに行ったときに知った「ルビコン・ハードロック」という限定車に惹かれてしまったのだ。ジープの“聖地”と呼ばれる過酷なルビコン・トレイルの名を冠したこのモデルは、ラングラーの中でも最もヘビーデューティな装備を持つ硬派なグレード。さらに外装12色とレザー内装2色の組み合わせを自由に選んでオーダーできるという限定仕様なのだ。結局、僕は悩みに悩んだ末、外装色が白/内装が黒レザーという、極めてシンプルなカラーをオーダーした。一周して、元に戻った……というやつだ。

JEEP ラングラー 河西啓介

2015年12月、ジープ・ラングラーが納車された「Jeep世田谷」にて。


そして待つこと3ヶ月。2016年末に納車されたラングラー・ルビコン・ハードロックは、期待どおりのクルマだった。3.6LのV6エンジンはシューンと軽やかに回り、どの回転域からでも豊かなトルクを発揮して、大きなボディを軽々と走らせた。乗り心地については期待していなかったが、昔のジープに比べれば驚くほどソフィスティケートされていて、十分許容できる快適さだった。

JEEP ラングラー 河西啓介

トライアスロン出場のため猪苗代へ。友人のGクラスと並べて撮った。


とはいえ鉄板剥き出しのボディ、張り出したフェンダー、切り立ったダッシュボードなど、無骨さはまさに“ジープ”のイメージそのもので、変わらない部分とアップデートされている部分がバランスよく共存していると感じられた。いま世界を見渡しても、こういうクルマはラングラーとメルセデスのGクラス、そして日本のスズキ・ジムニーぐらいしかないだろう。

ハンドルを握れば“非日常”を味わうことができる

JEEP ラングラー 河西啓介


もともと過酷な用途に耐える究極の“実用車”として生まれたクルマだが、今やジープは“ライフスタイル・カー”だと思う。ラングラーに乗ることで、キャンプを始めてみたり、スキーに出かけるようになったり、自分自身のファッションが変わることもあるだろう。たとえタフな4WD性能を発揮させる場面がなかったとしても、ラングラーのハンドルを握ることでどこか“非日常”な感覚を味わうことができる。


JEEP ラングラー 河西啓介

ホイールやウィンドウ、いろんなところに「JEEP」が潜んでいる。こんな遊び心もラングラーの魅力。


諸般の事情により、その後ラングラーを手放してしまったのだけれど、今も心のなかには“もういちど”という気持ちが残っている。新型のJL型はイメージを継承しつつ素晴らしい進化を遂げているし、ちょっと古いラングラーをカスタムして乗るのもいいかな、とも思う。いや「いつか」とは言わない。近いうちに必ず、またラングラーとの暮らしを始めたいと思っている。