パターのコツは”構えたら0秒で打つ”|秒数にこだわって無駄なくスコアアップ~パッティング編~

ゴルフ パット

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「300ヤードも、1センチも、1打」大なり小なり、ゴルファーなら何度もそういうシーンを経験しているものです。あともう一転がり、というパットもありますし、あと数ミリ左右だったら入ったのに、ということもゴルフコースのグリーン上では日常茶飯事に起きています。

文・篠原 嗣典
Chapter
はじめに
パットが下手な人の99%は、単なる練習不足
イップスとは
目標は”0秒“

はじめに

「パッティングは、ゴルフの中の別のゲームだ」と伝説のゴルファー、ボビー・ジョーンズは言いました。(アマチュアゴルファーでありながら、年間グランドスラムを達成し、20代で引退した後、マスターズを作ったアメリカ人ゴルファーの模範)

確かに、パットは極めようとすればするほど、不思議が溢れてくるものです。

パターを見てみれば、不思議な世界に迷い込んでしまった証明のように分類するのも困難なほど多種多様なものが並んでいます。

パットが下手な人の99%は、単なる練習不足

そもそも最小限の筋力しか使わないパットは、体力差での勝負ではないので腕の見せ所であり、老若男女、プロとアマチュアの差が出にくいはずなのですが…… やはりプロはレベルが違うものです。

だからプロになれたのだ、と言ってしまえば、それまでなのですが、パットが上手かったからプロになれた訳ではないようです。

パット名人たちは口を揃えて警鐘を鳴らしています。

「パットが下手な人の99%は、単なる練習不足である」

テーマである秒数の前に数字で比較すればわかります。

パーという基準を決める際に、グリーン上は2パットだと想定しています。パー72の場合、ショットが36ストロークで、パットも36ストロークで72と算出されています。スクラッチゴルファーに近づくほど、パットの占める割合は増すわけです。

例えば、100を打っている場合でも、パットをカウントすれば40台で済んでいることが多いものです。

ショットの練習は月に何時間もしているのに、パットの練習は合計しても月で1時間に満たないアンバランスな状態では、意図的に下手を放置していると指摘されても反論できません。

ある程度のレベルまでは、パットの練習はゴルファーを裏切りません。

とにかく打ち慣れることは、パット数を減らすために必要なのです。

練習をして狙い通りに打てるようになっても、パットが決まるとは限りません。

ゴルフを面白くするためにグリーンには傾斜があるからです。ラインを読むという作業が待っています。これも、練習グリーンでの練習時間を増やせば、どんどん読みが上手くなっていきます。経験値を上げましょう。

イップスとは

技術も、ライン読みも上手くいっているのに、なかなかパットが決まらない……

必要なときに実力が引き出せないという悩みは、パットという世界ではかなり深刻です。

本番に強くなるために、かつてオリエンタルマジックと呼ばれた驚異的なショートゲームで世界を沸かせた青木功プロは言いました。

「命まで取られるわけじゃねぇ。とっとと打っちまえ!」

歴代のパット名人たちは異口同音に同じようなことを言っています。

21世紀になって脳科学や運動力学での検証を経て、パットのコツのようなハウツーが出てきました。実力を引き出すパットのコツです。

その説明の前に、イップスについて確認をしましょう。

イップスというのは、元々は頭の中で子犬がキャンキャンと鳴いているようで落ち着かない、という意味ですが、スポーツ選手がプレッシャーに押しつぶされて、メンタル的に集中できなかったり、動けない状態になってしまう現象を意味するようになりました。

ゴルフでは、パッティングの際に、意図しても手が動かなくなったり、動きすぎて制御できないことがイップスの代表例です。始めは単発的に起きて、重症化するとパターを握っただけで震えが出るようになります。

イップスについては、心理学者が躍起になって研究をしていますが、ゴルファーを完全に救えるところまでは解明できていません。ただ、一つの予兆のようなものがあることがわかってきました。

構えてから動き出すまでの時間が長くなると、身体が静止したお休みモードになってしまい、小さい動きだからこそ、動くのに違和感を感じることがきっかけらしいのです。

イップスの研究が、逆にパットを決める確率を上げるコツを明確にしました。

目標は”0秒“

実力を最大限に引き出すハウツーは、

「狙いを決めてアドレスしたら、間を置かずにストロークをスタートする」

それだけです。

なんだそれ、と呆れる前にとにかくやってみてください。

方向を合わせて、カップ方向を視認して、顔を戻した瞬間にパターを動かしましょう。

静止した時間を作らないことが大事なのです。

トッププロは、このハウツーを聞いて「それはそうでしょう」と経験的に知っていた例が多かったそうです。

アドレスで、ミルキングと呼ばれる指を小さく動かす動作や、ドリブリングと呼ばれるパターヘッドを上下に動かす動作は、注目されていないだけで多くのプロが取り入れていました。また、どこも動かないで静止していると思われていたプロも、シューズの中で足の指を動かしているとカミングアウトしたこともあります。

秒数であれば、目標は”0秒“です。

騙されたと思ってやってみて、上手く自らの実力を引き出せれば儲けものです。

ゴルフの中で避けられないパットは、こういう不思議に溢れているので、面白くてしかたがないのです。

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文・篠原 嗣典
ロマン派ゴルフ作家。中学でゴルフデビューして約40年。ゴルフの歴史、用具、コースなどの知識を駆使して、ゴルフの楽しさを紹介します。

(提供元:golfee
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