GT-RやLFAにも採用!トランスアクスルのメリットとデメリット

レクサス LFA 2012

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フロントエンジン車の前後重量配分を考えた際、重量物であるエンジンを車体中央近くに載せるやり方は、比較的簡単な方法です。しかし、それでは肝心の室内空間が狭くなってしまいますし、搭載位置にも限界があります。そんな問題を解決するために考え出された方法が、エンジンとミッションを分離して車体に載せるトランスアクスル方式でした。今回は、トランスアクスルのメリットやデメリットに迫ります。
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トランスアクスルのメリット・デメリット
国産でトランスアクスルレイアウトを採用するのはこの2車!

トランスアクスルのメリット・デメリット

メリットは重量配分の最適化

スポーツカーやGTカーの運動性能を高めるうえで、車両の前後重量配分は重要な要素です。

FRレイアウトの車ではフロント寄りの重量配分になりやすくなってしまいます。前後重量配分を均等にするための手段としては、エンジンとトランスミッションの位置を後退させる、フロントミッドシップ化がありますが、実際に重量配分を均等化するにはホイールベースを延長したり、車室寸法を短縮するなど、スポーツカーやGTカーには好ましくない調整が必要になってしまいます。

それを解決したレイアウトが、エンジン・トランスミッションを車体中央に配置するミドシップでした。ただし、利便性を無視することのできるレーシングカーや特別なスポーツカーであれば、それでも良いのですが、ある程度の定員と積載性を考えなければならない市販車では、なにかと不便なレイアウトでもあります。

そこでフロントエンジンのまま重量配分を最適化する方法として、エンジンとミッションを切り離したトランスアクスルというレイアウトが考え出されました。

デメリットも…

エンジンから分離したトランスミッションをリアに配置し、小さく軽くまとめるために、ディファレンシャルギアを一体化。エンジンとトランスミッションは、プロペラシャフトでつながれます。これにより、前後重量配分を理想的な数値に近づけることができます。

しかし、車体下部のセンタートンネル内に配置されるプロペラシャフトは、一般的なFRのように減速されたものではなく、エンジンの回転をそのままミッションに伝えるため、高速で回転することになります。そのためシャフトには高い精度とバランスが求められます。

また、ヨーイングやピッチング方向の慣性モーメントは小さくすることができないばかりか、むしろ大きくなることもあるといいます。

さらに、リアアクスル部分にミッションケースが配置されるため、リアシートの居住性が犠牲になったり、センタートンネル内で高速で回転するプロペラシャフトの騒音が増大するといった欠点がされます。

こうした欠点が常に指摘されてきたトランスアクスルは、1950年代にランチアがアウレリアで採用して以降、1990年代まで、市販車ではフェラーリ275GTB/356GTB4デイトナ、ポルシェ924/944、アルファロメオ75/SZなど、それほど採用例は多くありませんでした。

しかし1990年にフェラーリがフロントV12エンジンモデルにトランスアクスルレイアウトを採用すると、再び注目されるようになります。

国産でトランスアクスルレイアウトを採用するのはこの2車!

日産 GT-R

日産 GT-Rでは、世界初となる独立型トランスアクスルレイアウトを採用した、”プレミアムミッドシップパーケージ”を採用しています。

エンジンを車両前方に、クラッチ・トランスミッショントランスファーを車両後方に配置。センターのプロペラシャフトは、カーボン素材で成型されたものが使われます。

レクサス LFA

リアミッドシップを超えるような運動性能と、高い操縦安定性を両立させるため、エンジンなどすべてのパーツを中央部分に寄せることを目標にパッケージングされたLFA。

エンジンとトランスミッションを切り離し、前輪よりも後方にV10エンジンを搭載しています。

結果、前後重量配分は48:52と、FRとしてはやや後方寄りとなっています。

このように、GT-RもLFAもかなり高額な車です。やはりトランスアクスルレイアウトはそう簡単に導入できるものではないようですね。
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