軽自動車に水平対向エンジンを採用しなかったスバルの決断理由とは?
更新日:2024.09.09
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スバルが軽自動車の生産を終了してから何年も経過しましたが、なぜスバルは軽自動車に水平対向エンジンを搭載しなかったのでしょうか?もし搭載していれば、個性を示して生き残れたかもしれません。この点について考えてみましょう。
スバルは水平対向エンジンと直列エンジンの2種類を採用していた
スバルと言えばボクサーエンジン(水平対向エンジン)というぐらい、その存在は圧倒的です。しかし、過去の軽自動車にはそれ以外のエンジンもありました。
1954年に公開されたスバル1500(P-1:試作車)では、まだ水平対向エンジンが無く、直列4気筒の1,485ccエンジンをフロントに搭載していました。
エンジンは当初、後にプリンスと合併する富士精密工業製が載っていたのですが、プリンスの横やりを受けて、大宮富士工業(後に富士重工業に合流してエンジン部門の中核となる)製のエンジンに変更されました。
その後の登録車については、スバル1000以降、水平対向エンジンが主でした。しかし、軽自動車はスバル360とサンバーで空冷直列2気筒エンジンを採用して以来、R-2からレックスの末期まで直列2気筒が採用されていました。
レックスが3代目となった1986年以降は、直列4気筒エンジンとなり、軽自動車の生産を終えるまでそれで通しました(サンバーもその時代に合わせ、基本的に同じエンジンを搭載しています)。
またレックスをベースにしたジャスティ、サンバーをベースにしたドミンゴなど、軽自動車ベースのコンパクトカー用に直列3気筒のEF型(1.0-1.2L)エンジンを作っていた時期もありました。
1954年に公開されたスバル1500(P-1:試作車)では、まだ水平対向エンジンが無く、直列4気筒の1,485ccエンジンをフロントに搭載していました。
エンジンは当初、後にプリンスと合併する富士精密工業製が載っていたのですが、プリンスの横やりを受けて、大宮富士工業(後に富士重工業に合流してエンジン部門の中核となる)製のエンジンに変更されました。
その後の登録車については、スバル1000以降、水平対向エンジンが主でした。しかし、軽自動車はスバル360とサンバーで空冷直列2気筒エンジンを採用して以来、R-2からレックスの末期まで直列2気筒が採用されていました。
レックスが3代目となった1986年以降は、直列4気筒エンジンとなり、軽自動車の生産を終えるまでそれで通しました(サンバーもその時代に合わせ、基本的に同じエンジンを搭載しています)。
またレックスをベースにしたジャスティ、サンバーをベースにしたドミンゴなど、軽自動車ベースのコンパクトカー用に直列3気筒のEF型(1.0-1.2L)エンジンを作っていた時期もありました。
軽自動車に水平対向エンジンが採用されなかった理由とは?
スバルの軽自動車用エンジンは、最後まで生産していた550/660cc直列4気筒のEN型と、そのベースとなった360/550cc直列2気筒のEK型の基本的に2種類のみです。
最初のスバル360にEK型エンジンが採用される時、エンジンは当時の軽自動車の枠内で、最大限の乗車スペースを取れるよう極力コンパクトに設計されました。エンジンルームの寸法はミニマムでしたから、直列エンジンを横置きで押し込むしかありません。その点は他社の軽自動車も同じようなものでした。
そのエンジンにバージョンアップを重ね、4気筒化して最後まで使い続けたので、軽自動車用の水平対向エンジンを開発し、それに合わせたシャシーをあらためて開発する余力が無かったからという見方もできます。
実際、スバルが軽自動車の生産継続を断念し、BRZ(トヨタ86)の工場にするため群馬製作所本工場のラインを閉鎖した時、その設備はかなり老朽化が進んでいたとも言われているのです。
最初のスバル360にEK型エンジンが採用される時、エンジンは当時の軽自動車の枠内で、最大限の乗車スペースを取れるよう極力コンパクトに設計されました。エンジンルームの寸法はミニマムでしたから、直列エンジンを横置きで押し込むしかありません。その点は他社の軽自動車も同じようなものでした。
そのエンジンにバージョンアップを重ね、4気筒化して最後まで使い続けたので、軽自動車用の水平対向エンジンを開発し、それに合わせたシャシーをあらためて開発する余力が無かったからという見方もできます。
実際、スバルが軽自動車の生産継続を断念し、BRZ(トヨタ86)の工場にするため群馬製作所本工場のラインを閉鎖した時、その設備はかなり老朽化が進んでいたとも言われているのです。
水平対向エンジンの軽自動車は存在していた!
しかし、途中で直列2/4気筒エンジンから切り替えるチャンスがまったく無かったのかと言えば、そうでもありません。実際、水平対向エンジンを搭載した軽自動車は存在しました。
現在では日産の子会社として自動車部品メーカーとなっている愛知機械工業が、1960年代までコニーブランドで販売していた軽商用車がそれで、250cc単気筒のグッピーを除くすべてのモデルで水平対向2気筒エンジンが搭載されていたのです。
それらはエンジンルームの上下方向のスペースをミニマムにできる、という水平対向エンジンの特徴を生かし、アンダーフロアミッドシップ、またはリアエンジン方式で搭載されていました。スバルがそれを採用しても不思議ではなかったのです。
現在では日産の子会社として自動車部品メーカーとなっている愛知機械工業が、1960年代までコニーブランドで販売していた軽商用車がそれで、250cc単気筒のグッピーを除くすべてのモデルで水平対向2気筒エンジンが搭載されていたのです。
それらはエンジンルームの上下方向のスペースをミニマムにできる、という水平対向エンジンの特徴を生かし、アンダーフロアミッドシップ、またはリアエンジン方式で搭載されていました。スバルがそれを採用しても不思議ではなかったのです。
水平対向エンジン搭載の軽自動車になるチャンスがあったのはレックス?
もしスバルが軽自動車用水平対向エンジンに乗り出すとすれば、2代目レックスのデビュー時が唯一のチャンスだったかもしれません。
それまでのリアエンジンリアドライブ方式からオーソドックスなFF車へ、そして4WDの追加という大きな変化が行われた2代目レックスのタイミングであれば、大改革として水平対向2気筒550ccエンジンの搭載という冒険を行えたかもしれないのです。
コニー360コーチのような水平対向エンジンをリアに搭載した車があったことを考えれば、サンバーでも実現可能だったでしょう。
もし実現していれば、いずれは4気筒になっていたか、2気筒のまま660cc化され、スバルの軽自動車作りは大きく変わり、その後のコンパクトカーとともに、とても個性的な車が世に送り出されていたでしょう。だからこそ実現しなかったとも言えるのですが…。
当時の軽自動車は、47万円アルトに始まる超低価格車時代でしたから、革命的ではあっても高コストの軽自動車など許されませんでした。現在のように200万円オーバーの軽自動車が当たり前という時代とは違ったのです。
そのため、レックスのFF化もむしろ他社と横並びになるための保守的な改革で、エンジンは引き続き直列2気筒のEK型エンジンが搭載されたのでした。
それまでのリアエンジンリアドライブ方式からオーソドックスなFF車へ、そして4WDの追加という大きな変化が行われた2代目レックスのタイミングであれば、大改革として水平対向2気筒550ccエンジンの搭載という冒険を行えたかもしれないのです。
コニー360コーチのような水平対向エンジンをリアに搭載した車があったことを考えれば、サンバーでも実現可能だったでしょう。
もし実現していれば、いずれは4気筒になっていたか、2気筒のまま660cc化され、スバルの軽自動車作りは大きく変わり、その後のコンパクトカーとともに、とても個性的な車が世に送り出されていたでしょう。だからこそ実現しなかったとも言えるのですが…。
当時の軽自動車は、47万円アルトに始まる超低価格車時代でしたから、革命的ではあっても高コストの軽自動車など許されませんでした。現在のように200万円オーバーの軽自動車が当たり前という時代とは違ったのです。
そのため、レックスのFF化もむしろ他社と横並びになるための保守的な改革で、エンジンは引き続き直列2気筒のEK型エンジンが搭載されたのでした。
スバルの軽自動車に水平対向エンジンが載っていたとしたら?
残念ながら実現しなかったスバルの軽自動車用水平対向エンジンですが、もし現実になっていたらどうなっていたでしょう?
もともとボディサイズに制限のある軽自動車では、直列エンジンのように横置きではエンジンルームの前後方向を確保せねばならず乗車スペースを圧迫しますし、パワーを取り出す機構も他からの流用ができなさそうです。
一方縦置きは、タイヤの切れ角を確保するためにエンジンの幅を狭めビックボア・ショートストロークの高回転2気筒エンジンとなっていたか、あるいは4気筒化してボアをできるだけ小さく、その分ストロークを長くするか。または、2気筒のままフロントオーバーハングに搭載するか、いずれかではないでしょうか。
ミッションも縦置きになるので、それに合わせてサンバーもリアエンジンからアンダーフロアミッドシップに変わっていたかもしれませんが、アクティのように、4WD化にあたってはエンジンの搭載方法に工夫が必要だったと思います。
価格は、他社より高めになったかもしれません。とはいえ実現していれば、プレミアムな軽自動車として好評を博していたのではないでしょうか。
「スバルの水平対向エンジン搭載軽自動車」は、実現しなかったからこそ夢のなかでの可能性は無限大。もしも自分に軽自動車用水平対向エンジンと、自由に設計していいシャシーが与えられたら、どんな軽自動車を作るか。想像してみるのも面白いかもしれませんね。
もともとボディサイズに制限のある軽自動車では、直列エンジンのように横置きではエンジンルームの前後方向を確保せねばならず乗車スペースを圧迫しますし、パワーを取り出す機構も他からの流用ができなさそうです。
一方縦置きは、タイヤの切れ角を確保するためにエンジンの幅を狭めビックボア・ショートストロークの高回転2気筒エンジンとなっていたか、あるいは4気筒化してボアをできるだけ小さく、その分ストロークを長くするか。または、2気筒のままフロントオーバーハングに搭載するか、いずれかではないでしょうか。
ミッションも縦置きになるので、それに合わせてサンバーもリアエンジンからアンダーフロアミッドシップに変わっていたかもしれませんが、アクティのように、4WD化にあたってはエンジンの搭載方法に工夫が必要だったと思います。
価格は、他社より高めになったかもしれません。とはいえ実現していれば、プレミアムな軽自動車として好評を博していたのではないでしょうか。
「スバルの水平対向エンジン搭載軽自動車」は、実現しなかったからこそ夢のなかでの可能性は無限大。もしも自分に軽自動車用水平対向エンジンと、自由に設計していいシャシーが与えられたら、どんな軽自動車を作るか。想像してみるのも面白いかもしれませんね。