ガルウィング車のメリット・デメリットを解説!現行車への採用が少ないのはなんでだろう?

BMW i8 2013

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スーパーカー世代にとって憧れだった「ガルウィングドア」。スーパーカーの非現実的なスタイルに加え、ドアが上に開くだなんて…そう感激したものです。しかしこのガルウィング式(跳ね上げ式)ドア、ごくわずかのモデルにしか採用されていません。その理由は一体何でしょう?
Chapter
ガルウィングドアが採用されたそもそもの理由
ガルウィングドアの始祖、メルセデス・ベンツ300SL
跳ね上げ式ドアのメリット
ガルウィングドアのデメリット

ガルウィングドアが採用されたそもそもの理由

スーパーカー世代には、特に憧れの強いガルウィング(跳ね上げ式)ドア。2017年現在でも、ランボルギーニ アヴェンタドールやパガーニ ウアイラ、BMW i8、そして話題のニューモデル「テスラ モデルX」など、採用しているスーパースポーツモデルが多くあります。

これまで日本でも、トヨタ セラやマツダ AZ-1、といったモデルにも採用されていました。

これらモデルから考えると、スタイル性重視というのが採用の理由かと思いがちですが、実はそれだけではありません。「そうせざるを得なかった」という事情から生まれた機構でもあったのです。

ガルウィングドアの始祖、メルセデス・ベンツ300SL

ガルウィングドアを最初に採用した市販車は、1954年に発表されたメルセデス・ベンツ300SLといわれています。300SLは、ワークスチーム用のプロトタイプレーシングカーとして開発されたものでした。

この時代、多くのレーシングカーは、軽量化しつつ車体の強度を確保するため、基本骨格にマルチチューブラースペースフレームを採用していました。

パイプで構成されたそれは、通常のドア位置にもパイプを入れてフレーム強度を高めていました。すると現代のレーシングカーでも見られるように、サイドシルが高くなり、通常の横開きのドアでは乗降しにくくなってしまうのです。

それを解決するために考案されたのが、ガルウィングドアでした。ドライバーの上方向に開閉、空間を開けることで、サイドシルを跨ぎやすくしているのですね。

このようにガルウィングドアのスタートは、ドライバーの乗降性=実用性にあったのです。当時のスポーツカーや、後のレースカーがこの跳ね上げ式ドアを採用していたことから、「スーパーカー必須の装備」のように認識されていったのでした。

跳ね上げ式ドアのメリット

ガルウィングドアをはじめとする跳ね上げ式ドアは、前述のように必然性から採用されたものでした。しかし現在の市販車に採用される場合は、「利便性」があって採用されるケースもあります。

まず跳ね上げ式ドアの利点は、横方向にスペースが無くても開閉できるということが挙げられます。例えばニューモデルのテスラ モデルXのファルコンウィングドアは、サイドの隙間が30cmしかない場所でも開閉が可能。つまり狭い場所に駐車しても乗降がしやすい、というメリットがあります。

また3列シートが採用されているモデルXは、通常であればスライドドアで、ルーフに頭部をぶつけないように注意して乗降、というケースが多いのですが、跳ね上げ式ドアの恩恵で、後部座席への乗り降りは、頭上の障害物を気にせずに行えるという、目からウロコのメリットを提案しています。

他方で、やはりデメリットも存在します。

ガルウィングドアのデメリット

※画像はマツダ AZ-1

跳ね上げ式ドアを採用した理由は、基本がレースカーの構造のための必然性があったのは先に述べたとおりです。かつてのトヨタ セラは、カローラIIベースであり、本来ガルウィングドアを採用する必要のないモデル。つまりスタイル重視でした。

ガルウィングドアはその機構上、どうしても重くなってしまいます。しかし乗降する際に落ちてきては困りますから、ダンパー等の機構が必要となります。筆者の妹は以前セラに乗っていたことがありましたが、このダンパーが弱ったせいで、ドアを上げても落ちてきてしまう症状が出ていたのを記憶しています。

またこうした機構を搭載する、というのは当然コスト増につながってしまいます(セラがリリースされたのはバブル真っ盛りの1990年でした)。

つまり、普通車にとっては正直なところ必要のない装備。さらに、車両の上方向にスペースが必要となってしまうため、天井の低い駐車場ではかえって使いにくい装備になっています。

そんなわけで、跳ね上げ式ドアの採用は見送られているのでしょう。

しかしテスラ モデルXが提示した跳ね上げ式ドアの新たな解釈は、大いに評価するところ。今後、ファミリーカーでも採用するケースが出てくる可能性はあるのでしょうか?

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