高級車を中心に普及してきたエンジンカバー…何のために付いているのか?

高級車を中心に、最近よく見かけるエンジンカバー。エンジン自体にまるごとカバーをして、見た目はすっきりとした高級感があります。しかし、エンジンを覆ってしまうことで熱がこもることはないのでしょうか?そもそもこのカバーは何のためについているのでしょう?

Chapter
エンジンカバーが必要になってきた背景
デザイン、見た目のため?
防音・防振効果も…
歩行者保護
熱はこもらないのか?

エンジンカバーが必要になってきた背景

エンジンカバーを採用する車種が増えてきた背景は、いくつか考えられます。

現代では車は燃費が良いことが求められるようになりました。燃費をよくする方法として軽量化があり、素材を金属から樹脂に変える、薄くする等の取り組みが進んでいます。しかし、それによりエンジンノイズが大きくなるという問題が発生しました。こうした問題を解決するために、新しい防音技術を盛り込んだエンジンカバーが必要になってきたのです。

また、現代の車はエミッションコントロールのバルブをはじめ、エンジン回りの配線などが複雑になっています。これを隠すための化粧カバーとしての役割もあります。

それではエンジンカバーに与えられた役割をもう少し詳しく見ていきましょう。

デザイン、見た目のため?

エンジンカバーを付ける大きな理由は、見た目ではないでしょうか。エンジン上部はカムカバーや点火プラグ、さらにエミッションコントロールのバルブや、インジェクター、フューエルライン、配線、センサーなどが複雑に張りめぐらされています。

そこを大きなカバーで覆ってしまえば、コストをそれほどかけずに見栄えも良くなります。エンジンルームを開けたときの印象もまったく違いますね。

防音・防振効果も…

もうひとつの理由は、前述した「防音・防振」性能を上げることです。エンジンから出てくる音や振動をカバーによって吸収させ、静かで乗り心地の良い車にするのが目的です。

エンジンカバーを製造する大手メーカー、太平洋工業の製品は、エンジンとカバーの隙間にサイレンサーとして発泡ウレタンをセット。吸音効果の高い防振材料である発泡サイレンサーを、エンジンカバーの裏面に塗布する技術で、優れた吸音・遮音・防振・制振性能を発揮します。

また、ウレタン材料なのでエンジンルームの耐熱特性等の厳しい環境にも耐えることができ、形状自由度を生かした発泡成形技術と、周囲にも優しい低騒音設計により、エンジン騒音の大幅な低減を実現しています。

この技術が用いられているのは、レスサスのエンジンルームです。確かに、レクサスのあの静かさは驚異的。それを実現するひとつの部品としてエンジンカバーが使われているのですね。

歩行者保護

歩行者が車と衝突すると、人は足元をすくわれるような形で回転し、頭からボンネットに落ちてエンジンルームの中にあるエンジンブロックなどの硬い金属にぶつかって、その衝撃で亡くなってしまうことが多いといわれています。

その衝撃をやわらげるためには、ボンネットとエンジンルームの間に空間が必要ということで、国土交通省は平成15年度(2003年)から自動車の安全性を評価する項目に「歩行者頭部保護性能」を加えました。それにより近年、発売されるクルマはボンネットが高く、厚くなっているのです。

そして2014年には、歩行者頭部保護性能を付与したエンジンカバーが登場しました。

これまでのエンジンカバーは、ポリアミド系樹脂を使って成形し、その裏側(下側)に防音のためにウレタン部材を貼り付ける製法でした。しかし、こちらのエンジンカバーは柔らかくクッション性があるウレタンだけで成形しているため、衝突した際の衝撃を吸収してくれます。

熱はこもらないのか?

エンジンにカバーをすると熱がこもってしまうのでは?と思いますが、現在の車は冷却性能が素晴らしく、カバーをしても熱がこもることはないそうです。

さらに、一般ユーザーがさまざまなパーツが付いているエンジンルームに手を入れて怪我をすることを防止したり、多少のオイル染みなども目につかず、エンジンルームがクリーンな印象になるという2次的なメリットもあるようです。

ただの飾りではなく、エンジンカバーには重要な役割があったのですね!