日本で再び増えてきた国産ターボ車!先行していたヨーロッパの動きは?

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排ガス規制でかつてのハイパワーターボの多くが一斉消滅後、めっきり減っていたように思える国産ターボ車ですが、ダウンサイジングターボの波がようやく日本に到達して最近はターボ車が増えています。しかし、その分野で先行していた欧州は、既に次のステップへと進んでいました。
Chapter
2002年を境にターボ車一斉消滅!?
実は結構残っていたターボ車
ダウンサイジングターボ、日本に10年遅れで上陸するも?
常に最先端を行く欧州のこれからは?

2002年を境にターボ車一斉消滅!?

一時期国産ターボ車がほとんど消えたキッカケが、平成12年排出ガス規制である事は有名です。

スカイラインGT-R(RB26DETT)、スープラ(2JZ-GTE)、シルビア(SR20DET)、RX-7(13B-REW)といった高出力ターボメインの車種が相次いで生産中止になりました。

それでもトヨタの1JZ-GTE(ヴェロッサ、マークIIブリット、クラウンエステートに搭載)や日産のVQ25DET(M35ステージアに搭載)、VQ30DET(Y34セドリック/グロリア、F50シーマに搭載)がかろうじて生き残っていましたが、それも平成17年排出ガス規制をクリアできずに消滅します。

2007年7月にシーマからVQ30DET搭載モデルが廃止された事により、旧世代のターボ車はほとんど消滅してしまったのです。

実は結構残っていたターボ車

それでもターボ車が全て無くなったわけではありませんでした。

スバルはインプレッサに搭載していたEJ20ターボをはじめ、新世代のFA、FBエンジンでもターボを継続設定。

三菱はランサーエボリューションXやギャランフォルティス用に新世代の4B11ターボを搭載しています。

トヨタは1.5リッターターボをヴィッツRSターボやカローラアクシオGTに搭載しました。

日産はGT-RにVR38DETTを搭載し、スーパースポーツしてスカイラインGT-R時代以上に進化しています。

そして、新規格化とハイトールワゴン車の増加で年々重くなり、NAでは十分な動力性能が期待できなくなった軽自動車のターボも残っています。印象とは異なり、実は「日本車からターボ車が激減していた時期」などは無かったのかもしれません。

ダウンサイジングターボ、日本に10年遅れで上陸するも?

日本で再びターボ車が増加したのは2014年頃からです。

トヨタ クラウンやレクサスIS、RCなどが相次いで2リッターターボの8AR-FTSを採用、オーリスも1.2リッターターボの8NR-FTS搭載モデルが登場します。

日産もメルセデス•ベンツの2リッターターボ274Aをスカイラインに搭載したほか3リッターターボのVR30を開発、ホンダもステップワゴンやジェイドRSに1.5リッターターボを搭載してきました。

ただし、いずれも2000年代前半以降、欧州で主流の「ダウンサイジングターボ」です。小排気量で低燃費や低排出ガスを狙い、ターボ化でパワーやトルク不足を補うもので、日本にも10年遅れで上陸したのでした。

軽自動車用ターボエンジンも同じようなものでしたが、なぜ日本では遅れたのでしょうか?

一つには省燃費、低排出ガス技術としてハイブリッド車の開発が進んでいた事があります。

また、ミニバンブームの中では「スポーツカーでも無いのに、ターボなんていらないでしょ?」と主婦層に敬遠されるという事情もありました。

事実、ターボ化した現行ホンダ ステップワゴンなど「なんでハイブリッドじゃなくターボなの?」と怪訝な顔をされ、すっかり不人気車です。

今後もダウンサイジングターボは増えるでしょうが、少なくともステップワゴンの失敗は各社とも教訓として記憶したでしょうから、おそらく採用車種はかなり限定されます。

常に最先端を行く欧州のこれからは?

日本が常に欧州の後追いならば、現在の欧州はどうでしょうか?

厳しい排ガス規制「ユーロ6」の段階的強化でメーカーは悲鳴を上げており、クリーンディーゼルはおろか、ダウンサイジングターボさえ排ガス浄化装置が必要な状況になりつつあります。

そのためPHEV(プラグインハイブリッド)やEVのラインアップ拡充に全力を挙げており、フォルクスワーゲンなど今後10年以内に30車種のEVを投入すると明言しました。

PHEVやEVに関してはいずれ日本が追い抜かれ、また遅れて追従するのかもしれません。

一方で「ダウンサイジングターボ」とは少し異なり、NAでも十分な排気量に必要に応じライトプレッシャーターボで加給する「ライトサイジング」(最適化)をアウディやポルシェが取り入れ始めています。

日本でもマツダがCX-9に搭載する2.5リッターターボはライトサイジングで、スバルの直噴ボクサーターボもライトサイジングと言えるでしょう。

現在はパワーユニットが新世代に移行する過渡期です。メーカーの方針によって様々な方向性のパワーユニットが混在し、どれが正解か答えが出るのにはしばらくかかるでしょう。その中でターボエンジンもどのように使われ、生き残るのか未知数です。

ただし、スズキ バレーノのように新興国向けのクルマではまだまだダウンサイジングターボが必要です。

PHEVやEV、FCV(燃料電池車)の開発が難航するメーカーにとっても環境対策としてターボは有効なので、しばらくはターボが増えるかもしれませんね。
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