ジャパンモビリティショー2025取材記 SCSKのブースに行ってみた

SCSK
2025年10月30日から11月9日まで開催されたジャパンモビリティーショー2025。

会場でまず目を引いたのが、IT企業SCSKのブースです。大手自動車メーカーのブースが立ち並ぶ中で、SCSKのロゴを掲げたブースに人だかりができていました。そこで目に飛び込んできたのは、なんと鮮やかな青いSUVタイプのコンセプトカー。
SCSKといえばシステム開発などのIT企業ですが、そのブースには立派な電気自動車(EV)が展示してあったのです。まさかSCSKが本当に車を造ったの!?と驚きつつ、これは見逃せないと足を踏み入れてみました。

普段は縁の下の力持ち的なIT企業が、自動車ショーでどんな挑戦を見せてくれるのかワクワクします。

CARPRIME編集部

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CARPRIME編集部
Chapter
実は主役級!SCSKはメインパートナーだった
SCSKブースの展示ラインナップをチェック!
青いコンセプトEV SCSK-Car
未来のコックピット体験(Intelligent Cockpit)
ソフトウェアで拡がるモビリティの可能性
青いEVの秘密に迫る!その詳細は?
IT企業発のコンセプトカーに感じたワクワク

実は主役級!SCSKはメインパートナーだった

なぜIT企業がこんな大きなブースを?と思った方もいるかもしれませんが、それもそのはず。実はSCSKはジャパンモビリティーショー2025のメインパートナー(主催者協賛)なのです。

自動車産業が100年に一度とも言われる大変革期を迎える中、ソフトウェアと車の融合がますます重要になっています。SCSKはまさにモビリティ×IT×ヒトの可能性というテーマを掲げてこのイベントに協賛し、IT企業としてモビリティ産業に新しい価値を提案しようとしていました。

メインパートナーだけあって、会場のあちこちにSCSKの広告やロゴが掲示されており、その存在感は抜群です。ブースにたどり着く前からSCSKという文字を何度も目にし、一体どんな展示をしているんだろう?と興味をかき立てられる仕掛けになっていました。

メインパートナーとしてのSCSKは、ブース出展だけでなくイベント全体でも大活躍でした。例えば、スタートアップ企業のビジネスピッチコンテストや業界交流のネットワーキングプログラムを支援し、モビリティショーを盛り上げる裏方も務めていたそうです。まさに表でも裏でもショーを支える主役級の参加者だったわけですね。

そうだ、みんなでクルマをつくればいいんだ! というキャッチーなスローガンも掲げていて、自社だけでなく多様なパートナーや来場者と共創する意気込みが伝わってきました。IT企業が車のイベントでメインを張るなんて珍しいと思いきや、しっかりとした狙いと熱いメッセージが込められていたんですね。

SCSKブースの展示ラインナップをチェック!

肝心のSCSKブースでは、一体どんな展示が見られたのでしょうか?さっそく主な見どころを紹介します。

青いコンセプトEV SCSK-Car

ブースの目玉は何と言ってもこの電気自動車です。

SCSKがわずか9か月で完成させたというこのEVは、IT企業による初の本格コンセプトカーとして大きな注目を集めました。SUVタイプのボディにSCSKのコーポレートカラーである鮮やかな青が施され、ひときわ目立っています。

ぱっと見ただけでは普通の未来的な車ですが、Software Defined Vehicle(ソフトウェアで定義される車)のコンセプトどおり、中身はソフトウェア技術の塊です。

未来のコックピット体験(Intelligent Cockpit)

コンセプトカーの中にも注目です。運転席に座らなくても外から見て驚くのが、ダッシュボード一面に広がる巨大ディスプレイ。

なんと左右のピラー(柱)から柱まで繋がった幅44.6インチの超ワイドスクリーンで、8K相当の高精細表示が可能とのこと。この画面では、運転席と助手席で別々のコンテンツを同時に楽しむこともできるそうです。

さらに車内にはAI搭載のバーチャルアシスタントがいて、乗る人それぞれに合わせたパーソナライズドな体験を提供してくれるというから驚きです。走行データやクラウド上の情報を活用し、自分だけの移動空間を演出してくれる未来のコックピットが体験できました。

ソフトウェアで拡がるモビリティの可能性

ブースには車以外にも、SCSKが考えるモビリティ×ITの世界を紹介する展示がありました。

大型スクリーンやパネルで、街と車をデータで繋ぐスマートシティのイメージ映像が流れたり、スタッフが この車は製品ではなく、皆で作る新しいモビリティへの第一歩なんです と熱心に説明してくれたりと、単なる車の展示に留まらない深いテーマが感じられます。

SCSKが様々な企業や自治体、大学などと連携してモビリティサービスを共創していくビジョンも示されており、IT企業が車業界に入るとこんなに面白いことができるんだ! と来場者の想像力を刺激していました。

青いEVの秘密に迫る!その詳細は?

「展示車 SCSK-Car」 の詳しい中身にも踏み込んでみましょう。

まず驚きなのは、この車両が完成するまでにたった9か月しかかからなかったという点です。通常、車の開発には数年はかかると言われますから、このスピード感は異例です。

SCSKはいわゆるファブレス方式で、自社はハードウェア製造設備を持たず車体そのものは外部のメーカーに委託しているとのこと。まるでスマートフォンのように、必要な部品やプラットフォームを世界中から集め、ソフトウェア企業であるSCSKが中心となって組み上げた車なのです。
このアプローチによって、短期間・低コストでのクルマづくりを実現したといいます。


では中身はどうでしょうか。車のフロント(前面)部分には大型のLEDパネルが仕込まれており、走行中に文字やアニメーションを表示できるようになっています。例えばSCSKのロゴや挨拶メッセージを表示して、歩行者に合図を送る。なんて未来的なコミュニケーションも可能です。

車内に目を向けると、先ほど触れた横一杯の巨大ディスプレイがやはり圧巻です。このスクリーン、海外メーカーと共同開発したものだそうですが、8Kの映像美で車内がまるで映画館のよう。星空がスクリーン全面に広がる演出が素晴らしいという声も上がっていました。

さらに車内には5種類のバーチャルパーソナルアシスタント(AI助手)が搭載されていて、乗員の好みを学習して車内環境を調整してくれます。たとえば声で「ちょっと暑い」と話しかければエアコンを調節してくれたり、ドライブ中に「カラオケしたい!」といったリクエストにも応えてくれるとか。
後部座席には2台の13.3インチディスプレイも備わっており、同乗者はニュースを見たりゲームで遊んだりと退屈しません。まさに移動時間を楽しいエンタメ空間に変える仕掛けが満載なんですね。

デザイン面ではドルフィン(イルカ)がモチーフになっています。言われてみれば、車体の曲線や愛らしさにどことなくイルカっぽさが感じられるかもしれません。

ボディカラーがSCSKのコーポレートブルーなのも相まって、海を泳ぐイルカのような爽やかな印象です。そしてハンドル中央や随所にSCSKのロゴマークがあしらわれていて、SCSKが作った車 であることをしっかり主張しています。

SCSKの當麻社長(代表取締役社長)も自らブースでお披露目に立ち会い、この1台は確かな出発点であり、社会との共創によって送り出した証でもある。ここから日本のモビリティ産業が新しい時代へと進化していく始まりを象徴している と力強く語っていました。IT企業が自動車産業に本気で乗り込んでいくという決意表明のようで、その言葉にもぐっときました。

IT企業発のコンセプトカーに感じたワクワク

正直、最初は ITの会社が車の展示?どんな感じなんだろう… と半信半疑でしたが、ブースを見てその疑問は吹き飛びました。

SCSKのコンセプトカーは単なるショーケースではなく、未来のモビリティ社会への提案そのものだったからです。完成車ではなくあくまでコンセプトモデルではありますが、9カ月という開発期間でここまで仕上げてしまったこと自体が驚きです。

それは裏を返せば、ソフトウェアの力で車づくりのスピードやアプローチを変えられる可能性を示したとも言えるでしょう。私たちは完成車メーカーではない。この車は製品ではないという言葉が示すとおり、SCSKは自動車メーカーになることが目的ではなく、IT企業ならではの視点で車業界に新風を吹かせようとしているのだと感じました。

ブースを後にする頃には、車を作るのは自動車メーカーだけじゃないんだ という新鮮な気づきに心が躍っていました。

会場入口で見たSCSKの文字の数々や、イルカのような青いコンセプトEV、そして巨大スクリーンに映し出された未来の風景……すべてが印象的で、モビリティショーの思い出の中でもひときわ異彩を放っています。モビリティとITの融合が進めば、近い将来、車はもっと自由で楽しい「動く部屋」になっていくのかもしれません。SCSKのブースは、そんな明るい未来を垣間見せてくれるものでした。

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