ホンダ「アコード」をプロが試乗レビュー スポーティかつ高級感ある実用性満点のセダン
更新日:2024.12.17
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ホンダの現在の最上級セダンとして、2024年3月に発売となったのが11代目となる「アコード」です。その走り、内容はどのようなものなのかをプロが試乗レビューします。
文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK
文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK
伸びやかなクーペライクなスポーティセダン
現在、日本国内で販売されるセダンとしてホンダの最上位となるのが「アコード」です。全長4975×全幅1860×全高1450㎜のボディは、なだらからボディ後端に向けて下がってゆくファストバック風のルーフを備えます。ロー&ワイドかつ流麗な、美しいフォルムのセダンです。
エクステリア・デザインは「クリエイティブ・ブラックタイ」というもの。“ブラックタイ”は、もっともフォーマルな礼装を意味しますが、そこに“クリエイティブ”をプラスしたことで、堅苦しいだけでなく、遊び心も加味されているというわけです。
最上級セダンに相応しい品格と、ホンダらしい若々しさ、躍動感を感じさせるルックスと言えるでしょう。
エクステリア・デザインは「クリエイティブ・ブラックタイ」というもの。“ブラックタイ”は、もっともフォーマルな礼装を意味しますが、そこに“クリエイティブ”をプラスしたことで、堅苦しいだけでなく、遊び心も加味されているというわけです。
最上級セダンに相応しい品格と、ホンダらしい若々しさ、躍動感を感じさせるルックスと言えるでしょう。
高級感と実用性が交差する広々としたインテリア
室内に目をやると、水平基調の格子のパネルがインパネ全体を左右に貫通しています。このデザインは、「シビック」にも相通じるものがありますが、さすが上位モデルということで「アコード」には、「シビック」にプラスする高級感が感じられます。インパネやドアの内張、前席の足元にはLEDアンビエントライトが備えられており、これも高級感を生み出す理由と言えるでしょう。
また、室内は左右に広いだけでなく、前後方向にもゆったりとしたスペースが用意されています。特に後席の足元の広さは十分。アメリカ市場をターゲットに開発されたモデルらしく、体格の大きいアメリカ人でも窮屈にならないように、たっぷりとしたスペースが用意されています。
また、室内は左右に広いだけでなく、前後方向にもゆったりとしたスペースが用意されています。特に後席の足元の広さは十分。アメリカ市場をターゲットに開発されたモデルらしく、体格の大きいアメリカ人でも窮屈にならないように、たっぷりとしたスペースが用意されています。
ちなみにトランクは570リットルもあるだけでなく、後席のシートバックを倒すことで、トランクスルーにすることも可能です。セダンらしい、実用性の高さも「アコード」の魅力の一つと言えるでしょう。
スムーズかつパワフルなハイブリッド「e:HEV」
「アコード」のパワートレインは、「e:HEV」と呼ばれるハイブリッドのみです。駆動方式もFF(前輪駆動)のみとなります。「e:HEV」は、発電用と駆動用の2つのモーターを備えており、走行領域のほとんどを駆動用モーターで走行します。このとき、エンジンは発電に徹しています。いわゆる、シリーズ・ハイブリッドと呼ばれる方式です。しかし、「e:HEV」がユニークなのは、高速走行域では、クラッチを介して、エンジンのパワーを直接にタイヤに伝えます。ここではパラレル・ハイブリッドになります。つまり、シリーズとパラレルの両方の方式を使い分けるのが特徴です。
また、先代「アコード」に対して、新型モデルとなったことで、ハイブリッドのモーターのレイアウトを同軸から平行に変更しています。つまり、ハイブリッド・システムが一新されているのです。これにより、発電用モーターが高出力化され、走行用モーターのトルクが増大、そして、静粛性も向上しています。
進化したパワートレインは、非常にスムーズ、かつトルクフルです。駆動用モーターは、最高出力135kW(184PS)、最大トルク335Nm。驚くほどのパワーではありませんが、不満なく、そして滑らかに加速させてくれます。
進化したパワートレインは、非常にスムーズ、かつトルクフルです。駆動用モーターは、最高出力135kW(184PS)、最大トルク335Nm。驚くほどのパワーではありませんが、不満なく、そして滑らかに加速させてくれます。
上品さを保ちながらもスポーティさを感じさせる走り
「アコード」の加速感は、滑らかであり、静粛性も高く、非常に上品なもの。ただし、アクセルを深く踏み込むと、2リッターの4気筒エンジンが稼働し、小気味の良いエンジンのビートを聞かせてくれます。アクセル操作に対するトルクの発生はレスポンスがよく、気持ちのよい加速感を楽しめます。
ステアリングの手応えは重めで、操舵に対するクルマの動きは、ほんのわずかな溜めを伴いながら、その先は狙った通りのラインにクルマを導きます。上級セダンらしい品格を残しつつも、スポーティセダンと名乗れるだけの俊敏さを兼ね備えているのです。雑ではなく、洗練されたスポーティさと言えるでしょう。
ステアリングの手応えは重めで、操舵に対するクルマの動きは、ほんのわずかな溜めを伴いながら、その先は狙った通りのラインにクルマを導きます。上級セダンらしい品格を残しつつも、スポーティセダンと名乗れるだけの俊敏さを兼ね備えているのです。雑ではなく、洗練されたスポーティさと言えるでしょう。
また、パドルシフトを操作することで、減速Gを自在に調整することもできます。加速・減速の両方で、意のままのパワーを使うことができるのも嬉しいポイントです。
アメリカ市場向けの内容と価格は日本市場には微妙
「アコード」は、現在のホンダの日本市場における最上位のセダンとなります。価格は544万9400円もします。正直、「アコード」のメインターゲットとなるのはアメリカ市場です。そのためアメリカ人が好む、正統派セダンの実用性と、ホンダらしいスポーティなテイストを、上手にミックスしたのが新型「アコード」と言えます。パワートレインもホンダらしい、高い技術と洗練、そしてエキサイティングさがバランスした、素晴らしい内容です。
ただし、日本国内向けと考えると、少々、価格が高すぎる、そしてスポーティすぎるのではないでしょうか。500万円を超える高額車であれば、もう少しコンフォートに振っても良かったのでは? という気がしてなりません。もしくは、この価格帯には、さらに上級の「レジェンド」を据えて、「アコード」はもう少し身近な価格にしてほしかったというのが個人的な感想です。