「当たり屋」は今でも存在するのか?対処法や予防策も紹介

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昔から、「当たり屋」という言葉はよく聞くかと思いますが、皆さんは実際に「当たり屋」に遭遇したことはありますでしょうか。今回は、そんな「当たり屋」の現状と万が一「当たり屋」による被害に遭ってしまった際の対処法や予防策などについて見てみたいと思います。
Chapter
「当たり屋」は今も実在するのか?
巧妙化する「当たり屋」の手口
その他にもある様々な手口
「当たり屋」対策はどうしたらよいのか?

「当たり屋」は今も実在するのか?

当たり屋がどんなものかはご存知の方が多いのではないでしょうか。簡単に定義すると、「損害賠償金などの金銭や物品を取得する目的で、故意に交通事故を起こしたり、交通事故を装ったりする者」ということになろうかと思います。

交通事故が起きた原因が過失であるか故意であるかの証明は、場合によって非常に困難になるため、それを利用した保険金詐欺と言えるでしょう。

自ら自動車に当たるという行為自体が危険ですし、普通の感覚の持ち主なら、「そんなバカげたことをする人間はそうそういないだろう」と思ってしまいそうですが、実際の当たり屋は実に巧妙な手口でチャンスを狙っているのです。

実際に今年に入ってもニュースなどで当たり屋被害を報じているものも見られました。当たり屋という言葉自体、どこか昭和というか、アナログな感じをさせる気がしてしまいますが、「当たり屋」は今も確実に存在しているのです。

巧妙化する「当たり屋」の手口

「当たり屋」というと、低速で走行する車の前にわざと飛び出して、人対車の軽い接触事故を装うというイメージが割と強い気がしますが、最近は当たり屋も安全かつ巧妙な手段をとることが多くなっているようです。

そのパターンの1つで最近最も多いのが、スマホに関連して事故を装う手口です。例としては、狭い道などを走行中の車に対し「ミラーが腕に当たって、スマホを落として画面が割れた。弁償してくれ。」等というパターン。実際には接触していないにもかかわらず、接触を装って、金銭の取得をしようとします。もちろんスマホは、最初から画面が割れていたり、壊れたりしている物を用意しています。さらに用意周到で悪質なケースになると、単独犯ではなく、複数犯により偽りの目撃者までもでっちあげ、より相手を状況的に追い詰めるなどというパターンも。

そして、このケースの巧妙な所は、スマホの弁償金額に高額な金額を要求しない事。数千円~数万円程度の金額を要求するのです。騙されている側も「人身事故になると面倒」「警察沙汰にはしたくない」等の心理から、その場で払えない額ではない額ではない少額だと、ついその場で渡してしまうのです。また、騙す相手は男性ではなく、物理的にも精神的にも弱い女性を狙うケースが圧倒的に多いようです。

その他にもある様々な手口

つい先日、新宿で当たり屋が逮捕されたというニュースもありました。このケースでは、2~3人で役割分担をして、タクシードライバーをターゲットに。まず1人が客を装い、目的地へタクシーを誘導します。そして、事故を装いやすいように、必然的にスピードが落ちる狭い路地へ最終的に誘導。そこで、被害者役が塀などに隠れた所から出てきて接触。脅迫の立証をさけるためか遠回しな表現しかしないものの、金銭を要求するというものです。

他に、最近は自動車相手ではなく自転車相手の当たり屋も多いようです。近年は「歩きスマホ」や「ながらスマホ」といった行為を非常に多く目にするのですが、それをうまく利用されてしまうパターンです。例えば、スマホをいじりながら走行している自転車に対し、歩行者として接触をします。加害者に仕立て上げられた側としても、「ながらスマホ」をしていたという状況から、前方不注視を否定することが難しく、また、接触の状況をきちんと見ていません。自転車対歩行者という状況もあり、どうしても弱い立場に追い込まれてしまいます。

また、車対車ではわざと急ブレーキを踏んだり、ブレーキランプが点灯しないようにサイドブレーキを引いたりして、故意に後続車両を追突させるという手口もあるようです。追突の場合には、基本的に追突した車の前方不注視が適用されますので、注意が必要です。わざとノロノロ運転してイライラさせ、車間を詰めさせたりもするようですので、理由はともあれ車間を極端に詰めるのはやめた方がよさそうです。

「当たり屋」対策はどうしたらよいのか?

それでは、当たり屋被害に合わない為にはどうしたらよいのでしょうか。まず警察へ必ず連絡するという事は最低限するべきなのですが、ここで1つ知っておかなければならない事があります。それは警察があくまでも「民事不介入」ということです。先の新宿の当たり屋の例のような明らかな恐喝行為については警察を呼ぶ事によって抑止できますが、単なる物損事故に関しては何も力にはなってくれません。

最近の当たり屋の手口が巧妙なのは、そういった警察の民事不介入の原則を理解した上で罠を仕掛けてくるのです。よって、故意の事故および詐欺行為だと言う事を証明できない限り、弁償をせざるを得ない状況も発生してしまうのです。では、個人でできる対策にはどんなことがあるでしょうか。

1.ドライブレコーダーなどによる証拠の確保
まずは、事故状況を証拠として残すことが大事です。最近はドライブレコーダーも随分安価なものも増えましたので、ぜひ装着しましょう。ドライブレコーダーで映像が残っていれば、車対人、車対自転車の事故の際には演技か本当の事故かほとんどが分かります。警察はまずあなたを加害者として見る可能性が高いため、たとえ本当の事を話したところで信用してもらえる保証はないのです。

他にも可能であれば、相手の乗り物の損傷個所、怪我や着衣の状態、壊れたと主張する物品の写真も撮影できればなおよいです。

2.会話を録音する
当たり屋との会話、やりとりをスマホなどで録音しておきましょう。また、当たり屋は用意している受け答え以外の内容に話が及ぶと矛盾が生じてぼろを出すこともあるようです。「どこに住んでいるのか」「どこへ行く途中だったのか」「なぜこの道を通ったのか」などを聞いてみるのもよいようです。答えがしどろもどろになったり、事故現場からあまりに遠い場所に住んでいるようであれば、怪しいかもしれません。

3.保険にはしっかり加入
万が一、当たり屋行為が証明できなかったり、本当の事故にあったりしても、保険にしっかり入っていれば負担は大幅に減らすことができます。先に述べたように、警察は民事不介入で紛争解決には何一つ役には立ってくれませんので、最近はほとんどの保険で付けられる「弁護士特約」なども付けておく事をお勧めします。また、弁護士に依頼する際には、可能な限り交通事故に強い弁護士に相談しましょう。

4.安全運転を心掛ける

そして、最も大事な方法がこれです。まずは、当たり屋につけいる隙を与えないような運転を心がけましょう。狭い路地では周囲の安全確認を怠らない、歩行や自転車運転の際に「ながらスマホ」などをしないなど、日頃より安全運転を心がけましょう。自転車においては大音量で音楽を聴くなどの行為も危険行為に当たります。
最近は犯罪者のアマチュア化などもあり、いつどこで自身が被害に遭うとも分からない世の中になっています。相手が悪い、自分は悪くないと主張したところで、客観的に証明ができなければ犯罪者の思うつぼです。性善説ではなく、性悪説で考えなければならない世の中の風潮は非常に悲しいですが、自分の身は自分で守るしかありません。みなさんもぜひ犯罪の被害者にならないよう、対策を考えてみてください。
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