日産がWEC&ル・マンへの参戦を中止…「GT-R LMニスモ」はどうなるのか?

GT-R LM NISMO

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年の瀬に、なんとも残念なニュースが飛び込んできました。日産は「GT-R LMニスモ」でWECやル・マン耐久に参戦していましたが、12月23日、来年の世界耐久選手権(WEC)およびル・マン24時間におけるLMP1クラスへの参戦を取りやめると発表したのです…。
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「目標を達成する事は難しい…」日産の下した判断…
未完成のままで「ル・マン」に挑んだ「GT-R LMニスモ」
ホンダも苦戦する、回生エネルギー搭載のパワーユニット…

「目標を達成する事は難しい…」日産の下した判断…

日産は「まさかの」FFレイアウトを採用したLMP1車両「GT-R LMニスモ」を開発、世界耐久選手権(WEC)にエントリーしました。その第3戦にあたるのが「ル・マン24時間」。GT-Rの名を冠しながらも「FF駆動」という事もあり、大いに話題となりました。

日産は同車を3台投入しての参戦でしたが、いずれもトラブルで完走するに至らず…残念ながら、結果は惨敗。

今年度のWECの他のレースは欠場…来年2016年度からシリーズ参戦を再開する、としてアメリカでのテストを実施していたようですが、「目標を達成することは難しい」と判断し、参戦を断念したとしています。また「より長期的なレース戦略の策定に集中する」ともコメントしているので、レース活動の大幅見直し、といった意向があるようです。2017年以降の活動についても不透明であり、今後の展開が気になるところ…。

未完成のままで「ル・マン」に挑んだ「GT-R LMニスモ」

前述のように、ル・マン24時間に出走した「GT-R LMニスモ」はFFレイアウトである事が話題になりました。通常こうしたプロトタイプレーシングカーでFFレイアウトをとるというのは過去にない事…。

しかし真実としては、「後輪を駆動させるハイブリッドシステムが未完成」だった事が実情のようです。本来であれば回生エネルギーを活用し、後輪をモーターで駆動するAWD仕様とする予定だったのが、「間に合わなかった」といわれています。もしこれが完成していれば、マシン本来のバランス、パフォーマンスを発揮できていたでしょう。

とはいえ、回生エネルギーを使ったハイブリッドであれば、より複雑なエネルギーマネジメントが必要であり、熱対策なども深刻な課題となってきますので、違うトラブルが発生するリスクは高まったといえますから、いずれにしても日産にとって厳しいチャレンジだった事には変わらないでしょうね…。

ホンダも苦戦する、回生エネルギー搭載のパワーユニット…

今回のGT-R LMニスモの設計思想というのは評価すべき、と考えます。しかし日産が参戦断念のコメントの中で発した「目標を達成すること」というのは、「耐久レースの頂点」といえる「ル・マン24時間の優勝」であると推察できます。この目標を達成することは難しい、という判断…。

真相は勿論当事者の胸の内ではありますが、間違いなく言えるのは、「AWDハイブリッドシステム」の開発コストが想像以上にかかる、その為のリソースが不足している…という事でしょう。
WECとF1をそのまま比較はできませんが、新技術を用いて「勝てるマシンを作る」というのは、大手メーカーとはいえ一筋縄にはいかない、ということでしょう。

しかし、ホンダもマクラーレンやドライバー達と色々ありながらも車体を確実に「完成」に近づけています。2016年シーズンはパワーアップしたエンジンで捲土重来を期す、非常に「泥臭い」挑戦を続けています。

勿論、これには大きなコスト、そして優秀な人材が必要な事でありますが、どうか日産も諦めずに「泥臭い挑戦」を続けて欲しいと願うところ。そうしたメーカーの姿勢、というのも私達ユーザーは見ていますし、応援したくなるものだと思います。

エールを込めて、「やっちゃえ日産!」と言わせていただきましょう。
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