高速走行時の不意に起こるハンドルの振動…その原因と対処法は?

ホイールバランス

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時折、高速走行時に不意にハンドルが震えたりガタガタしたりして驚かされることがあるものです。なんといっても高速走行中ですから、なにか起こったのではないかと不安にさせられるものですが、これはいったい何が原因で起こっているのでしょうか。その対処法も含め、探ってみようと思います。
Chapter
突然のガタガタに驚く
例1:ホイールバランスの悪化
例2:ブレーキローターの歪み
例3:リンク、ブッシュ類の劣化

突然のガタガタに驚く

高速を走っていて何気なく直進走行をしていながらも、あるタイミングから突然ハンドルが小刻みに震え始めるというような症状を感じられたことはないでしょうか。何の前触れもないためちょっと驚かれるかもしれません。かくいう筆者もこれまで30万キロほど走ってきた中で何度も経験があります。

クルマというのは何万もの部品が複合的に噛み合って作動しながら、あるいは回転しながら走行している製品で、じつは振動が発生する要素や原因というのはその部品の数だけあると考えていただいていいと思います。

もちろん、今の自動車技術ですから、組み付けの精度や完成度はきちんとあって、はじめからガタついたりフラフラするような製品はないと思っていただいていいわけですが、時間とともに微小な誤差が生じたり隙間を生んだりして全体の精度に影響を及ぼすこともあります。

低速走行時には目立たなかったそんな小さなガタも高速でしかも高い遠心力がかかった状態で作動、回転すると増幅してしまう。そこで、高速走行時に顕著になって震えとして現れてしまう、という現象となるわけですよね。

クルマは走っていれば摩耗やガタも生じます。もちろんそれを防ぐことも必要になってくるわけですが、今回は高速時にハンドルに伝わるガタガタという現象を取り上げて原因と対処についてを書き進めてみたいと思います。

例1:ホイールバランスの悪化

自動車の部品の中で比較的質量が大きくしかも高速回転している部品といえば、タイヤです。タイヤやホイールは一見して真円形をしていますが、じつはそうではなくて、目に見えず凸凹しているものです。凸凹したものが回転すると当然バランスが悪化し振動の原因になります。

これを防ぐためにタイヤをホイールに組み込む際にはタイヤ屋さんでバランス取りという作業を行っています。計測器を使ってバランスの悪い箇所の反対側に「おもり」を貼り付けることで振動を打ち消すという目的のものです。

これは新車でももちろん行われていることで、むしろ新車時の方がクレームの要因になってしまうことからメーカーではかなり気を使っていると言われています。

しかし最初はよかったホイールバランスも時間とともに悪化し、突然ガタガタするようになってくる・・・これはどうしてなのでしょうか。

走行中、じつはタイヤとホイールはズレることがあります。急発進、急ブレーキなどをするととくにその傾向がありますが、これで、せっかくのホイールバランスが崩れてしまうというわけですね。

また、長時間駐車のために、タイヤの同じ面が地面に接地したままの状態が続いて、その面に「フラット」ができてしまう、ということも考えられます。今はABSが装備されていますからあまりありませんが、以前はタイヤをロックさせるブレーキでもフラットはできました。

フラットに対しては応急的な対処は難しく、タイヤ交換しかないかもしれませんが、ホイールバランス悪化だけなら、再度タイヤ屋さんでバランス取りをしてもらえば解決します。よくあることです。ガタガタが出たらまずホイールバランス悪化を疑うのが第一でしょう。

例2:ブレーキローターの歪み

先ほどのタイヤ、ホイールと同じように高速回転している部品といえば、ブレーキローターが挙げられます。質量そのものはタイヤ、ホイールほどではありませんが、こちらはブレーキング時にパッドが食いついて速度を殺す大事な装置です。

こちらはバランスというより、歪みのほうを疑ったほうがいいかもしれません。なんといっても大変な高温になるばかりか大きな圧力がかかる部品ですから労働条件は過酷です。モノによってはクラックが入るなんていうこともあります。

高速走行時にブレーキを踏むと、どうもハンドル、車体、ブレーキペダルにカクカクと振動が伝わってくるということがあります。これはブレーキローターが原因だと思っていいでしょう。素材の特性や耐久性、また使用条件などにより、ローターが微小に歪んだり変形することもあります。日常からドン!と強いブレーキを踏む人は要注意です。

これに対する処置としては、ブレーキローターの研磨という方法があります。パッドとの接地面を平滑に整えて振動の原因をなくすというわけですね。場合によって、これで解消しなければローター交換となってしまいますが、最初から研磨しなければならなくなったローターには見切りをつける、という人も少なくないようです。

小さな原因ですが、ドライブの安全性や快適性を左右する部分なので無視できないポイントです。

例3:リンク、ブッシュ類の劣化

ホイールバランス、ブレーキローターといったメジャーな要因を挙げてきましたが、それでも解決しないガタガタというものもあって、実際に筆者も苦労させられた経験があります。タイヤもホイールも交換、ブレーキローターも新調してなお収まらないわけです、頭を抱えました。

原因を探っていくと、スタビライザーリンクと同ブッシュ、またステアリングタイロッドの劣化とガタつきがわかりました。これはもうサスペンション、ステアリング系統全体の劣化ということになりますよね。

よくよく考えれば納得できました。そのクルマは中古車で個人売買で取引したのですが、前のオーナーさんは道の狭い何度も切り返すような狭小エリアに駐車場があって、つまり、毎日のようにロックtoロックの据え切りをするような環境で使用されていました。据え切りとは、車両が完全停止した状態でタイヤ路面に擦りつけるようにハンドルを切るという動作で、クルマやタイヤには大きな負担になります。

そうした積み重ねで蓄積された披露により、スタビライザーやステアリング系統に大きな負荷を与え続け、結果として大きなガタを生んでしまうという代償をこうむってしまったわけです。みなさん、据え切りはクルマによくありませんので控えてあげてくださいね。

こうなるともう、スタビライザーリンク、ブッシュ、ステアリングタイロッドなどの交換というちょっと大きな手術になってしまい、部品代、工賃含めて10万円以上の出費になってしまいました。

しかし、その手術を行なったおかげで高速時のガタガタもなくなり、それどころかハンドルの切れ味もスッキリとシャープに。思わぬ副産物があって嬉しくなったものです。

さて。ハンドルや車体に伝わるガタガタにも様々な原因があって対処もまちまちです。こうした感覚的な問題、トラブルというのは原因の究明に手間取ることが多く、場合によってはホイールバランスやブレーキローターの対処だけでは済まないこともありえます。

けれども、日頃から運転を丁寧に、クルマに優しい走りを心がけていれば防げるトラブルも少なくはありません。気になることがあったらマメにチェックしてあげて、クルマにとっても、持ち主ご本人にとっても、気持ちのいいカーライフを満喫できるようにしたいものですね。
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