なぜ冬に車がオーバーヒートする? 冷却水の水温が安定しない理由を解説
更新日:2024.09.09
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車によっては季節の変わり目にとても気になるのがエンジンの水温です。オーバーヒートだけでなく、冬にはオーバークールもあるので、知識として抑えておきたいところですね。
「水温」はエンジンのどこを計測しているの?
最近は指針式の水温計を廃して、このような水温警告灯だけの車も増えました。
現代の自動車のエンジンは、原付自動車などのマイクロカーに空冷式が残っているのを除けば、そのほとんどが「ラジエタークーラント」等の名前で販売されている冷却水でエンジンを冷却する、水冷式です。
大抵は車のフロント部に装備されている「ラジエター」から「アッパーホース」を通ってエンジン内の水路を通り、エンジンから熱を奪うと「ロアホース」を通って「ラジエター」に戻り、そこで放熱して冷却されます。
冷却水がエンジンを冷やすために適正な温度かどうか計測するのが水温なので、エンジンに通じる「アッパーホース」や、アッパーホースとエンジンのつなぎ目で弁の開閉を行う「サーモスタット」付近で計測する事が多いのです。その結果が車内のメーターパネルにある水温計に表示されるのですが、最近では「水温警告灯」のみで、指針式の水温系を持たない車種も増えてきました。
大抵は車のフロント部に装備されている「ラジエター」から「アッパーホース」を通ってエンジン内の水路を通り、エンジンから熱を奪うと「ロアホース」を通って「ラジエター」に戻り、そこで放熱して冷却されます。
冷却水がエンジンを冷やすために適正な温度かどうか計測するのが水温なので、エンジンに通じる「アッパーホース」や、アッパーホースとエンジンのつなぎ目で弁の開閉を行う「サーモスタット」付近で計測する事が多いのです。その結果が車内のメーターパネルにある水温計に表示されるのですが、最近では「水温警告灯」のみで、指針式の水温系を持たない車種も増えてきました。
水温計測の特殊な例
ただし、水温計測の特殊な例としては、ラジエターキャップに水温計を取り付け、停車中に直接見る方法もあります。
また、マツダ・ロードスターなど一部特殊な車では、ヒーターホースから水温を計測する場合もあります。知らない人も多いかもしれませんが、石油燃焼ヒーターなどを後付けする旧車を除けば、大抵は冷却水の排熱を利用したヒーターを備えています。その機構を利用できない電気自動車ではヒーターを電熱に頼り、「電費」が非常に悪化する原因になっています。ヒーターに関してだけ言えば、冷却水のおかげで、ガソリンエンジンなどの内燃機関の方がエコロジーなんです。
また、マツダ・ロードスターなど一部特殊な車では、ヒーターホースから水温を計測する場合もあります。知らない人も多いかもしれませんが、石油燃焼ヒーターなどを後付けする旧車を除けば、大抵は冷却水の排熱を利用したヒーターを備えています。その機構を利用できない電気自動車ではヒーターを電熱に頼り、「電費」が非常に悪化する原因になっています。ヒーターに関してだけ言えば、冷却水のおかげで、ガソリンエンジンなどの内燃機関の方がエコロジーなんです。
修理費100万円オーバー!本当は怖いオーバーヒート
例えばオーバーヒートによるエンジンの過熱は様々な破損の原因になります。最悪の場合は内部のピストンが溶け、燃料だけでなくオイルも混じって燃焼し、マフラーから激しく白煙を吹きながらパワーダウンしたりします。そのまま焼きついてエンジンが動かなくなったり、エンジンブロックそのものが歪んで修理に100万円以上の多額な費用が発生する事もあるのです。
割とポピュラーな車でエンジンの載せ換えが容易であればいいのですが、特殊なエンジンで載せ換えようにも中古ですら出回っていないようであれば、覚悟して直すしかありません。
割とポピュラーな車でエンジンの載せ換えが容易であればいいのですが、特殊なエンジンで載せ換えようにも中古ですら出回っていないようであれば、覚悟して直すしかありません。
いつまでも暖気が終わらないオーバークール
ではオーバーヒートしていなければいいかと言えば、エンジンがあまり冷えすぎていると、コンピュータ制御にしろ機械式制御にしろ、燃料を濃くして燃焼温度を上げ、早く水温を上げようとします。
そうすると、排ガスが濃くなりすぎたり、古い車だとプラグが燃料をかぶって点火しにくくなる(カブる、と言います)、エンジンオイルの油温も上がらないので適正な潤滑ができず、ピストンやシリンダーなど内部の部品を傷めるなど、これもいい事がありません。
そうすると、排ガスが濃くなりすぎたり、古い車だとプラグが燃料をかぶって点火しにくくなる(カブる、と言います)、エンジンオイルの油温も上がらないので適正な潤滑ができず、ピストンやシリンダーなど内部の部品を傷めるなど、これもいい事がありません。
冬でもオーバーヒート!原因はなぜ?
真冬でも、ラジエターの前が雪や氷で塞がり冷やせなくなったり、冷却水そのものが凍ればオーバーヒートは起こりえます。
適正では無い水温の原因は何でしょう?オーバーヒートの場合は、ウォーターポンプやサーモスタットなど、冷却水を循環させる機構が破損、または劣化したり、流路が狭くなったり詰まったりして機能が低下している事が一つです。
他には、アッパー/ロワーシートやラジエター本体、そのつなぎ目のガスケットの破損による冷却水漏れも原因になります。冷却水にはメーカーによって異なりますが、赤や緑の色がついていますので、止めていた車の下に色水が漏れていたらすぐに修理しましょう。
また、仮に冷却水の循環に問題が無くても、エンジンから戻ってきたらラジエターで冷却しなければいけません。その時にラジエター前面が塞がるなど風が当たらなかったり、あるいはエンジンの排熱に対してラジエターが容量不足だと、冷却しきれなくなり、やはりオーバーヒートします。これは必ずしも夏など暑い時期にだけ起こるものではなく、冬でもラジエター前面が風雪などで塞がると、冷却に必要な風が当たらなくなるのです。少々の雪ではここまで至りませんが、寒冷地で極度に気温が低下した時の吹雪などでは注意しましょう。
また、そこまでの寒冷地だと、冷却水そのものが凍って役に立たなくなり、これもオーバーヒートします。他の土地から急に寒い場所に行く時には、冷却水の不凍液の濃度を上げるなど、対策が必須です。
他には、アッパー/ロワーシートやラジエター本体、そのつなぎ目のガスケットの破損による冷却水漏れも原因になります。冷却水にはメーカーによって異なりますが、赤や緑の色がついていますので、止めていた車の下に色水が漏れていたらすぐに修理しましょう。
また、仮に冷却水の循環に問題が無くても、エンジンから戻ってきたらラジエターで冷却しなければいけません。その時にラジエター前面が塞がるなど風が当たらなかったり、あるいはエンジンの排熱に対してラジエターが容量不足だと、冷却しきれなくなり、やはりオーバーヒートします。これは必ずしも夏など暑い時期にだけ起こるものではなく、冬でもラジエター前面が風雪などで塞がると、冷却に必要な風が当たらなくなるのです。少々の雪ではここまで至りませんが、寒冷地で極度に気温が低下した時の吹雪などでは注意しましょう。
また、そこまでの寒冷地だと、冷却水そのものが凍って役に立たなくなり、これもオーバーヒートします。他の土地から急に寒い場所に行く時には、冷却水の不凍液の濃度を上げるなど、対策が必須です。
真冬に凍えるのは人間だけではありません
オーバークールが起きやすいのは、冬の路面状況が良い高速道路です。
空気は非常に冷たいものの高速走行が可能なので、特に気温の低い夜間はラジエターによる過冷却が起こりやすくなります。
空気は非常に冷たいものの高速走行が可能なので、特に気温の低い夜間はラジエターによる過冷却が起こりやすくなります。
オーバークールの原因は、単純にエンジンをかけたばかりで水温が上がっていない状態がまず一つです。次にエンジンの排熱に対して外気温が低すぎ、ラジエターで必要以上に冷却水を冷やしてしまう場合です。こうなるといつまでも水温が上がらない状態で走る事になるのですが、冬の高速道路など、エンジンの負荷が少なく一定な割に、速度は高い(風がよく当たる)という条件で発生しやすいです。
また、オーバーヒートでもオーバークールでも、センサーの故障の場合もあります。その場合は、誤った水温に応じてサーモスタットの弁が開閉されるので、必要以上に冷却水の循環が行われてオーバークール気味になったり、その逆に循環不足でオーバーヒートを起こす事もあります。
また、オーバーヒートでもオーバークールでも、センサーの故障の場合もあります。その場合は、誤った水温に応じてサーモスタットの弁が開閉されるので、必要以上に冷却水の循環が行われてオーバークール気味になったり、その逆に循環不足でオーバーヒートを起こす事もあります。
日常点検やチューニングの適正化でオーバーヒート対策
オーバーヒート対策の最大のものは日常点検ですが、ラジエタークーラント(冷却水)の適正な間隔での交換(年一回が望ましく、最低でも車検ごとには換えたいものです)が第一です。冷却水が劣化すると錆が発生しやすくなり、エンジン内やラジエター内でその流路を狭めてしまうので、循環性能が悪化します。
また、チューニングその他でエンジンのパワーを増す代わりに排熱も増えた場合や、タイトなコーナーが続く路面を全開走行するため、ラジエター正面から風が当たりにくい場合は、ラジエターへ十分な風が当たるような改修を行ったり、ラジエターそのものを大容量に交換する必要が出てきます。
また、チューニングその他でエンジンのパワーを増す代わりに排熱も増えた場合や、タイトなコーナーが続く路面を全開走行するため、ラジエター正面から風が当たりにくい場合は、ラジエターへ十分な風が当たるような改修を行ったり、ラジエターそのものを大容量に交換する必要が出てきます。
真冬の段ボールの正体は、オーバークール対策!
オーバークール対策の方は単純で、ラジエター前面のフロントグリルを、段ボールでも何でも良いので、高速走行でも外れないよう注意しながら一部塞ぐ事です。時々、こうしてグリルやラジエターそのものの一部を塞いでいる車を見かけた事があるかもしれません。風量の調整で必要以上に冷えなくなるので、簡単で効果的ですが、塞ぎすぎたり不要な時に外し忘れるとオーバーヒートの心配が出るので、注意しましょう。
純正水温計が動く時は赤信号!
純正水温計でここまで上がると、もうエンジンの頑丈さに期待するしかありません。
最後に、ほとんどの車の指針式水温計は、一度暖気が終わってしまえばそう動きません。ドライバーが針の上下に神経質にならないよう、あえて「適正範囲内であれば、ほとんど動かない」設定になっているのです。裏を返せば、水温系の針が普段より上昇していればオーバーヒートの危険が既に迫っていると考えて良いですし、走行中に下がってくればオーバークールと断じていいと思います。
正確な数値を見たい場合には社外品の水温計を購入すれば良いのですが、そこに示される数字は車種やチューニングの度合いによって違いますので、注意してください。例えば昔なら水温は90℃程度までが適正で、高くても100℃を超えない事と言われていましたが、最近の車はラジエターキャップでの圧力をかなり高めにかけるので、120℃に達しても適正範囲内というケースもあります(水圧が高いほど沸騰しにくくなるので、冷却性能をたもてます)。
正確な数値を見たい場合には社外品の水温計を購入すれば良いのですが、そこに示される数字は車種やチューニングの度合いによって違いますので、注意してください。例えば昔なら水温は90℃程度までが適正で、高くても100℃を超えない事と言われていましたが、最近の車はラジエターキャップでの圧力をかなり高めにかけるので、120℃に達しても適正範囲内というケースもあります(水圧が高いほど沸騰しにくくなるので、冷却性能をたもてます)。
正しい知識を持って、安心したカーライフをお過ごしたいものですね。