FJクルーザー、ジムニーシエラ、ハリアー…走破性や快適性で比較すると?

FJ_Cruiser

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SUVが近年大きなブームになっています。SUVとは、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(Sport Utility Vehicle)の略称です。一般的にSUVといえば、4輪駆動でサスペンションストロークの大きな悪路走破性に優れた、やや背の高い自動車を思い浮かべることが多いでしょう。

ただし、SUVには「クロスオーバーSUV」と「クロスカントリーSUV」が含まれますが、悪路走破性に優れた車は「クロスカントリーSUV」と呼ばれる、かつて「クロカン」と略されていた、ラダーフレーム構造を持つSUVだったりします。

日本車にもいくつかラダーフレーム構造を持ったクロスカントリーSUVが存在しますが、その見た目とは裏腹に走破性に優れた車が、スズキ・ジムニーシエラと、トヨタFJクルーザーです。この2車の性能はどれほどのものなのでしょうか?比較対象として、ポピュラーなSUVである、トヨタ・ハリアーも含めて比較してみました。
Chapter
トヨタ FJクルーザーとは?
スズキ ジムニーシエラとは
トヨタ ハリアーとは
悪路走破性は?
ラダーフレームのメリットとは?
快適性は?
結論

トヨタ FJクルーザーとは?

FJクルーザーとはトヨタが2006年から製造、販売する大型のSUVです。FJ40型ランドクルーザーを彷彿とさせる白い屋根のポップな外観が特徴で、シャーシは、ランドクルーザープラドと共通の構成のラダーフレームが採用されています。

サスペンションも、前:ダブルウィッシュボーン、後:4リンク式で本格的なクロスカントリーSUVとしての構造を持っているのです。車重は1840~1948kgで2トン近くになりますが、エンジンは4L、276PS/38.8kgmというハイパワーを誇ります。

スズキ ジムニーシエラとは

ジムニーシエラとは、スズキの発売する、スズキ・ジムニーのワイドボディ版です。スズキ・ジムニーは元々は軽自動車ですが、その全幅を拡大して普通車規格としたものが、ジムニーシエラとなります。こちらもラダーフレーム構造が採用され、本格的なクロスカントリーSUVの構造を持っています。

サスペンションは、前後とも、3リンクリジッド式であり、エンジンは1.3L、88PS/12kmgと小型車として平均的なスペックですが、重量は1060kgで、FJクルーザーの半分程度と非常に軽いのが特徴です。

トヨタ ハリアーとは

トヨタ・ハリアーは通常のモノコック構造を持つクロスオーバーSUVで、比較対象として挙げさせて頂きました。重量は1580kg、エンジンは152PS/21kgm、サスペンションは、前:ストラット、後:ダブルウィッシュボーン式で、一般的な乗用車に近い構造となっています。

ただ、実はモノコック構造のSUVとしては、先駆者的な存在であり、世界の同様のモノコックSUVの中では、お手本的な車種であったりします。

悪路走破性は?

クロスカントリーSUVで特徴的なのが、リジッドサスペンションです。一般的には、3リンク、4リンク、リジッドアクスルなどと表記されることもあります。リジッドサスペンションは、一般的な乗用車で多い車輪1つごとにサスペンションがあてがわれる独立懸架ではなく、左右の車軸が1本に繋がった、車軸懸架と呼ばれる形式です。
リジッド(rigid)とは固定していて動かせないことを指します。

特徴としては、強度が高く、右のサスペンションが下がると左のサスペンションが上がる構造のため、大きな起伏のある路面では接地性が高くトラクションを得やすいのが特徴です。また、リジッドサスペンションはボディを水平に保つ能力が高いため、安全に悪路を走破する能力が高いのです。FJクルーザーは後輪に、なんとジムニーシエラには、前後ともリジッドサスペンションとなっています。このことから、前後とも悪路に対する接地性が高いのはジムニーシエラと言えるでしょう。

また、悪路の路面はアスファルトで舗装されているわけではないため、泥やぬかるみが存在します。こうした状況においてはその軽さが重要となり、その点でも軽いジムニーシエラに分があると言えるでしょう。ハリアーでは、車体は傾き、タイヤも上手く接地はできないでしょう。ただし最低地上高は高いので、ちょっとした凸凹なら乗り越えることはできます。

下の写真はJEEPですが、リジッドサスの働き方をよく表した写真です。このように片側に障害物がある事で、左右でタイヤと地面との接地点の高さに違いがある路面に対しても、サスペンションがうまくバランスを取り、車体を水平に保てていることが分かると思います。

ラダーフレームのメリットとは?

「ラダーフレーム構造」は、はしご状のフレームを基本として、その上にボディを載せるという構造であり、下部にはサスペンションやステアリング、あるいは走行装置関連の部品が付いているというのが大きな特徴です。フレーム自体を独立して設計できるので、非常に頑丈な車にすることができます。

また、フレームとボディが別々なので、外部からボディに少々ダメージを受けても、フレームにダメージが及びにくく、車体剛性が失われにくいため、性能低下を招きにくくなっています。対ダメージ性、言い換えると、サバイバル能力が高いという特徴があります。

ハリアーなどのモノコック構造は、外装を含めたボディ全体で剛性を保つため、モノコック構造は少々のボディへのダメージでも全体の剛性が失われてしまう可能性があります。
FJクルーザーもジムニーシエラもラダーフレーム構造であり、この点では引き分けと言えるでしょう

快適性は?

ラダーフレーム構造は重量の増加を招いてしまうというデメリットがあります。FJクルーザーが2トン近いのはこれが原因です。ジムニーシエラは元々の車体が小さいので、このデメリットを打ち消しています。

重量増は、燃費の悪化、オンロードでの加減速能力の低下を招き、泥やぬかるみでも不利となります。ただ、ジムニーシエラは大きなエンジンが積めないため、オンロードでの加速性能はFJクルーザーが有利でしょう。

リジッドサスペンションの特徴として、バネ下重量が大きくなる点が挙げられます。バネ下重量の増加は乗り心地の悪化を招きます。ジムニーシエラは前後ともリジッド、FJクルーザーはフロントが独立懸架ですが、FJクルーザーは重いエンジンがあるフロントのサスペンションが独立懸架であるため、この点が乗り心地を良くすることに繋がっていると考えられます。

総じて、オンロード、乗り心地となれば、FJクルーザーに分があると言えるでしょう。しかし、モノコック構造の4輪独立懸架であり、最もオンロード性能が高い点からして、最も乗り心地も良いのは、言うまでもなくハリアーになると思います。

結論

結論として、今回比較した車の中で、最も悪路走破性に優れた車はジムニーシエラです。クロスカントリーSUVとしてハイエンドな存在と言えるでしょう。しかし、悪路走破性も確保しつつ、オンロードでの快適性を求めるならば、大きなエンジンを積んだFJクルーザーです。一方で、使用状況の殆どがオンロードとなる場合、ハリアーを選ぶのが一番幸せかもしれません。

かつて、バブル期にはクロスカントリーSUVが飛ぶように売れたにもかかわらず、現在はクロスオーバーSUVが主流となっているのはこうした理由かもしれませんね。ただ、本格的な本物の走破性を楽しみたいのであれば、クロスカントリーSUVは非常に面白い選択となるでしょう。
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