商用車と侮るな!6速MTのホンダ N-VANを試乗レビュー【プロ徹底解説】

ホンダ N-VAN

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「商用車」と聞くと、いかにも簡素で無骨な働くクルマを想像しがちですが、今回紹介するホンダ N-VANは、そんな「商用車」のイメージを覆すモデルです。

使い勝手は、これまで以上に考えられている上に、デザインはとても洗練されていておしゃれです。

商用車でもより楽しく、そしてアクティブな趣味にもバッチリ使えるモデル。今回は、そんなN-VANに実際に試乗してみました。

文・写真/伊藤 梓

伊藤 梓|いとう あずさ

クルマ好きが高じて、グラフィックデザイナーからカーグラフィックの編集者へと転身。より幅広くクルマの魅力を伝えるため、2018年に独立してフリーランスに。現在は自動車ライターのほか、クルマを題材にしたイラストレーターとしても活動中。FMヨコハマで放送中の「The Motor Weekly」では、番組パーソナリティも務め、その経験を活かし、自動車関係の動画やトークショーなどにも出演している。

伊藤 梓
Chapter
4つグレードについて
インテリアについて
運転はしにくい…いや、慣れたら楽しい!

4つグレードについて

N-VANには、「G」「L」「+STYLE FUN」「+STYLE FUN・ターボ」4つのグレードがあります。今回試乗したのは、丸目のフルLEDヘッドライトが可愛らしくデザイン性の高い「+STYLE FUN」

N-VANは軽商用車のカテゴリに属していますが、使い勝手が抜群なのはもちろん、ギア感のある素敵なデザインです。商用だけではなく、アクティブな趣味を持っている人でも、目一杯楽しめるところが、他のメーカーの軽商用車との違いではないかと思います。

もし、私が購入するとしたら、フルLEDヘッドライトが付いて、フロントフェイスが可愛くて愛着の持てる「+STYLE FUN」以上のグレードかな、と妄想。そして、もうひとつクルマ好きに朗報なのは、マニュアル車もしっかり用意されていること。

ターボ車にはこの6MTが設定されていないので、個人的な遊び車としては「+STYLE FUN」の6MTがベストモデルになりそうです。今回は、自分にもしっくり来そうなこの「+STYLE FUN」の6MTに試乗しました!

インテリアについて

乗り込んでみると、ミニカーをそのまま実物大にしたおもちゃのような雰囲気にワクワクします。まず、驚いたのはシート。運転席のシートは、「商用車としては普通のシートかな」と思ったのですが、助手席と後席のシートは、シートバックも座面も薄くてペラペラ。

それもそのはず、この助手席と後席は完全に折りたたんで、フルフラットにできる仕様になっているんです。この使い勝手ならこのシート形状は納得できますが、もし友達や家族を乗せた時に文句を言われても「そりゃそうだよね」と反論の余地がないくらい、簡易的なシートになっています。

もし、ひとりで使うより誰かを乗せるシーンが多いのであれば、このシートの掛け心地は実際に試した方がいいかもしれません。

運転はしにくい…いや、慣れたら楽しい!

早速エンジンをかけて試乗スタート!運転席はやや窮屈で、ドライビングポジションは取りにくく、ペダル配置は上から踏み下ろす形になるので最初は「ちょっと運転しづらいかも」と感じました。そして、当然も当然ながら、軽自動車の658ccのエンジン(53ps/64Nm)は非力です。

1速から2速につなげるのがちょっとコツがいるので、最初は上手くいかず車体がブンブン揺れていましたが、慣れてくると、この非力なエンジンをMTで上手く操るのが楽しく思えてきます。低速では力が足りない場面もあるのですが、高回転まで回していくとかなり快適になってくるところは、さすがホンダのエンジンといったところ。

また、小回りがよく効くので、ちょっと細い小道でもどんどん入って行けるのは良いポイントです。やはり商用車として使う時は、どんな場所にでも行かなければいけないので、ハンドリングの良さもある程度は必要ですよね。

N-VANのように、コンパクトで機動性が高いにも関わらず、荷室をたっぷり使えるモデルは、どんなシーンでも活躍しそうだなと感じました。
もちろん、普通の軽自動車と比べれば、室内の騒音が大きかったり、乗り心地が硬めだったりと、快適性を重視して悪いところを探そうとすれば、色々なアラはあるかもしれません。しかし、今回N-VANに触れてみて、「でも、N-VANってそれを気にするクルマじゃないよね」と思いました。

最近では、どんなクルマも性能が平均的になってきて、少しずつ個性が失われてきている気がします。そんな中で、N-VANは、何かを積載することや仕事の手助けになること、趣味を思い切り楽しむことに全振りしているモデルなので、その個性も抜群に尖っています。

今こういった楽しいクルマの存在があるだけで、クルマを楽しむ幅も広がるのではないかと思いました。きっと、このN-VANの輝く個性に共感できる人たちにとっては、抜群の相棒になるのではないでしょうか。
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