クルマの「ハンドル」と「ステアリング」の違いとは?

ハンドル

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車の運転をする時、ドライバーが車の向きを変えるために操作するものが「ハンドル」です。

一方、似たような意味の言葉に「ステアリング」というものがあります。この2つの違いはどこにあるのでしょうか?

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
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基本的には同じ意味だが…

基本的には同じ意味だが…

「ハンドル」と「ステアリング」は、同じような文脈で使われやすい言葉です。なんとなく、「ハンドル」に比べて「ステアリング」と呼んだ方が「玄人感」があるような気もしますが、果たしてそれがこの2つの言葉の違いなのでしょうか?

「ハンドル」も「ステアリング」も、どちらも運転席にある、円形を基本とした形状のものを指しています。「ハンドル」はいわゆる和製英語であり、英語圏では通用しません。一方、「ステアリング」あるいは「ステアリングホイール」は、英語圏では車の「ハンドル」を表します。

つまり、どちらも同じものを指していて、一方は日本でしか通用しない和製英語、もう一方は海外でも通用する英語という違いがあります。

一般的に、和製英語よりも実際の英語を使うほうが、「玄人感」や「プロっぽさ」が得られるため、なんとなく「ステアリング」と呼んだほうが専門的な感じがあるのかもしれません。
一方、自動車開発に関わるエンジニアなどの間では、「ハンドル」がドライバーが手を触れる円形の部分そのものを指すのに対して、「ステアリング」は「ハンドル」の奥にあるシャフトや制御機構などを含んだシステム全体を指すという違いがあるようです。

近年の車は、エアバッグやパワーステアリングに加えて、ステアリングスイッチなどの電子機器が多く使用されており、一般の人が簡単に交換をできるようなものではありません。
また、これまでのほとんどの車は、ハンドルの操作をステアリングシャフトを経由して物理的に前輪(操舵輪)を動かしていましたが、近年では、ハンドル操作を電子信号に変換し、それを伝えることによって操舵する「ステアリング・バイ・ワイヤ」という技術を搭載する車も増えています。

このように、ステアリングシステムは非常に高度で複雑なものとなっており、ドライバーが実際に触れる「ハンドル」とシステム全体を表す「ステアリング」とを分ける必要が生まれたと考えられます。

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