「シバく」って何?車好きにしか伝わらない言葉

スターレット EP82 シバく サーキット

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「シバく」という言葉を聞いたことはないでしょうか。この言葉は主に関西圏で使われている言葉であり、他のエリアに住んでいる人にとってはあまり馴染みがない言葉でしょう。実はこの言葉、一部の車好きが使うことがよくあるのですが、「シバく」とはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
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もともと車に関係している言葉ではないが…

もともと車に関係している言葉ではないが…

シバくとは、もともと車に関係している言葉ではありません。

元来は棒や紐などで強く叩くことを意味しており、江戸時代に成立した浮世草子にも、「しばく」という表現が用いられているようです。

しかし、近代においては棒や紐といった限定的なものを使った場合のみならず、殴る・蹴るなどの暴力を振るうという意味で用いられています。

また、もう1つの意味として、「〇〇へ行く」を指すケースもあります。代表的な例が「茶をシバく」であり、この用法の場合は「ティーを飲みに行く」という意味に転じます。

ただし、シバくという言葉自体が関西圏を中心に使われる方言に近い言葉であり、ほかのエリアでは聞くことはほとんどないでしょう。
どこかへ行くという意味で「シバく」が使われるようになった由来には諸説ありますが、関西で使われていたものが上方芸人によって全国的に広まったものという説もあるようです。

以上を踏まえた上で、例えば車に乗っている人が「サーキットでシバいてきた」というような使い方をしている場合、「サーキットに行って攻めの走りをしてきた」というニュアンスになるでしょう。

サーキット走行には通常の走行とは比べものにならないほど大きな負荷が車両にかかるため、本来の意味である「棒や紐などで強く叩く」というニュアンスに通ずるものがあるでしょう。
また、程度は人によりますが「車がボロボロになるまで遊び倒す」「ボロボロの車で遊ぶ」ことを指して、半ば自虐的に「シバく」と表現する人もいるようです。サーキット走行やドリフト走行を繰り返すと、飛び石傷や接触の傷によって車は徐々にボロボロになっていくもの。

そういった過程も含めて車遊びを楽しんでいる人は、「自分のクルマはシバいてるんで(笑)」と、愛車のボロさへの愛着を示すことがあるのです。

車を移動手段として考えている人にとっては「車をシバく」という感覚はにわかには信じがたいかもしれませんが、車にはこういった楽しみ方もあるということを知っておいても良いかもしれません。
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