ホンダ S2000(AP2型)の乗り心地は快適? シート・運転の快適性を徹底解説!

ホンダ S2000

今回は、ホンダ S2000(ABA-AP2型)の乗り心地・快適性について解説していきます。

S2000は、2シーターオープンスポーツカーです。このタイプのクルマの中には、乗り心地や快適性がオミットされているケースも少なからずあります。

ただ、走りの楽しさは乗り心地の良さや快適性があってこそです。オープンカーにしても、たとえば空調がうまくきかなかったりするとオープンにするのが億劫になり、結局はソフトトップを閉めっぱなしにしているという人も少なくはないでしょう。

S2000はどうなのか? じっくりと紹介していきます。

Chapter
ホンダ S2000ってどんなクルマ?
ホンダ S2000のシートの形状・調節機構をチェック
ホンダ S2000のオープンにしたときの快適性をチェック
ホンダ S2000のオーディオをチェック
ホンダ S2000のエンジン・足回りをチェック

ホンダ S2000ってどんなクルマ?

まずは、ホンダ S2000の概要について説明していきます。

S2000が発売されたのは、1999年4月です。ホンダとしては29年ぶりのFR車となりました。環境性能を良くしつつ機敏なレスポンスと小型軽量化を追求し、走る楽しさと操る喜びを重視してつくられたクルマです。当時の基準である10・15モード燃費は、11km/Lとなっています。

特徴的なのが、ボディフレーム。前後2本ずつのサイドメンバーを平断面フロアトンネルを介し、クロス状に水平に連結し、大断面サイドシルを組み合わせています。これによりオープンボディでありながら、クローズドボディと同等以上のボディ剛性を実現したのです。

エンジンや足回りなど、重要な部分はほとんどが新たに設計されたパーツとなっています。他の車種からのパーツ流用を極力せずに、専用パーツ・新設計パーツで揃えているというのが他のオープンスポーツカーとの違いです。

たいていのオープンスポーツカーは、量産しやすいようにファミリーカーなど生産台数の多い車種のパーツを流用します。ボディに関しても、他のクルマのボディをもとにしてオープン化することが多いです。

2シーターオープンカーは各メーカーにそこまでたくさんのラインナップがあるわけではなく、決して売れ筋モデルというわけでもありません。2シーターオープンカーの専用パーツを作っても、他に流用しにくいためあまり専用設計パーツは使いたがらないのです。

そんな中、S2000は専用パーツだらけとなっています。当時のホンダの本気度がわかるクルマだと言えるでしょう。

ただ、その特殊なつくりにより2代目をつくることは難しいです。実際、S2000は2代目にモデルチェンジすることなく生産販売が終了となりました。現在では中古車市場をチェックするしか手に入れる方法が無く、新たに2シーターオープンカーの魅力を知りS2000に興味をいだいた人にとっては敷居が少し高い状況です。

また、S2000の2代目や後継機ともなると期待値が高くなりすぎます。そのため、今後も2代目や後継機が登場する可能性は、絶望的です。

とはいえ、決してホンダから不遇の扱いを受けているわけではありません。S2000が20周年となった2019年には、記念アクセサリーがいくつも販売されました。販売終了になってもなお、メーカー・ユーザー両者から愛されているクルマだと言えるのではないでしょうか。

ホンダ S2000のシートの形状・調節機構をチェック

ホンダ S2000のシートは、標準だとファブリックシートになっています。メーカーオプションでインテリア(内装)のファブリック部分の多くを本革に変えるものがあるので、本革仕様の中古車も少なからず出回っている可能性があるでしょう。

シート形状は、よくあるスポーツタイプのバケットシートといったところです。サイドサポートがそれなりに大きく、波打つような形となっています。この形状のほうが、まっすぐとしたサイドサポートよりホールド性が高く、人間工学的なデザインだと言えるでしょう。

背もたれ部分は若干多面構造ぽくなっており、これもホールド性が高いです。ヘッドレストの角度が少し特徴的となっています。しっかりと首の曲線に沿ってサポートしてくれるようになっているのではないでしょうか。

一見ほとんどシートを動かすことができなさそうですが、実は前後スライドと背もたれの角度を調整することができます。全て手動でレバーを引きながら動かさなければならないのですが、その分勝手に戻るということもないので常に自分に合ったポジションにしておけば良いでしょう。

加速時・コーナリング時のG負荷もしっかりと軽減してくれる形状であり、ポジション調節もできるのでシートの乗り心地・座り心地は良いと言えるのではないでしょうか。

ホンダ S2000のオープンにしたときの快適性をチェック

ホンダ S2000は、オープンカーです。オープンにしたときも快適に乗れるようでなければ、楽しさが半減してしまうでしょう。

S2000のソフトトップは、一部手動の電動式となっています。頭上にある2ヶ所のロックを手動で解除したら、あとはスイッチを押すだけのシンプル操作で開閉可能です。ロックは室内側にあるため、乗りながら開閉できます。閉めるときは伸びてきたロックを手動でかければ、OKです。

開閉にかかる時間は約6秒ということで、不満に感じることはないでしょう。

問題の空調ですが、これに関してもしっかりとケアされています。

不快な風の巻き込みがなるべく起きないように、数多の風洞実験とテスト走行を行ってボディシェイプのデザインがされているのです。

そのうえ、コックピットの左右シートの間には、高速での風の巻き込みを低減してくれるウインドディフレクターが標準搭載されています。これで風の巻き込みによる不快感を抱くことは、少なくなるでしょう。

そして、空調システムの性能も高いです。膝や腰を集中的にあたためてくれるミドルエアアウトレットを設定し、寒い季節にオープンにしていても最適な空調効果が得られるオープンモードも用意されています。

これらの特徴により、オープンカーのオンシーズンである春夏ももちろん、寒くて閉める人も多い秋冬でも快適に楽しむことが可能です。

ホンダ S2000のオーディオをチェック

今度は、ホンダ S2000のオーディオもクルマの楽しみのひとつであり、快適性を左右する部分だと言えます。特にオープンにしたとき、風切り音や環境音などでかき消されてしまうようでは快適で楽しいドライブとは言えなくなるでしょう。

S2000に搭載されているスピーカーは、4つです。ドアにはツイーターが搭載されています。そのうえ、運転席と助手席のヘッドレスト後方にはサテライトスピーカーが標準搭載されているのです。

サテライトスピーカーというのは、簡単に言ってしまえばサラウンドシステムを組み込んだ小型スピーカーのようなもの。臨場感のある音が特徴となっており、商業施設・ホームシアターなどによく設置されています。

USJに行ったことのある人は、ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドの首の後ろにあるスピーカーを思い浮かべてみてください。ジェットコースターという風切り音と悲鳴とで騒音レベルが高い乗り物でも、しっかりと音楽が聞こえるようになっています。

それと同様に、S2000もオープンにしていて風切り音や環境音があったとしても、しっかりと音楽が聞こえるようになっているのです。

そのうえ、閉めているときにも恩恵があります。サテライトスピーカーがあることにより、表現できる音域が広がり、音にメリハリが生まれ、迫力が増すのです。これにより、とても4スピーカーとは思えないほどの音の臨場感を楽しむことができます。

S2000は音響面でも、快適性が高いと言えるでしょう。

ホンダ S2000のエンジン・足回りをチェック

ホンダ S2000に搭載されているのは、2.2L直列4気筒DOHC VTECエンジン・F22Cです。配置は縦置きとなっています。これはS2000のために開発されたと言っても良いもので、当時の基準では量産車としては世界最高水準の性能を発揮していました。

これは、1999年発売当時に搭載されていたF20Cというエンジンを改良・進化させたものです。

速いだけでなく楽しいと思える性能を追求して、つくられています。

最高出力は178kW(242PS)/7,800rpm、最大トルクは221N・m(22.5kg・m)/6,500〜7,500rpmです。

高回転域で痛快な伸びの良い加速をしてくれるようなエンジンとなっています。まさに、スポーティな走りです。それでいて、低回転・中回転域でのトルクを高め、スムーズに高回転域まで繋いでくれるようになっています。低速でも渋みを一切感じることなく、楽しめるでしょう。

さらに、DBWというペダルの踏み込み量をセンサーが検知し、コンピューターが理想的なスロットル制御を自動的に行ってくれるシステムを搭載しています。これにより、高速域での加速感をよりダイレクトにし、低速域でのコントロール性能を高めているのです。

そのうえ、レスポンスも機敏。

サスペンションはホンダにとって伝統的な4輪ダブルウィッシュボーン・サスペンションというものを搭載しています。これは高級4輪車によく採用されている高級サスペンションで、アームの形が鳥の胸骨(ウィッシュボーン)と似ているために名付けられたものです。

このサスペンションは、操舵と衝撃吸収とをそれぞれ独立して行う構造なのが特徴です。一般的なサスペンションであるテレスコピック式フロントフォークの場合、これらの機能を2本のフロントフォークそれぞれで行います。

この構造からして、異なるのです。そして2本のアームにより前後剛性・横剛性も強化され、乗り心地が良くなります。

そんなダブルウィッシュボーンのメリットは、ハンドルへの振動が極限まで抑えられること。長距離ドライブでも、手が疲れにくくなります。そのうえステアリング操作がスムーズになるのです。

もちろん、乗り心地の良さにも良い影響を与えてくれます。

S2000の走行時の乗り心地は、このエンジンとサスペンションへのこだわりにより、極限まで高められていると言っても過言ではないでしょう。

ホンダ S2000の乗り心地は、とても良いです。加速G・横Gの負荷を軽減してくれるシート形状に、簡単なシートポジション調節。トップをオープンにしても空調がしっかりと効果を発揮してくれるうえ、オーディオも楽しむことができます。

そして何よりも、専用設計のVTECエンジンを搭載することによる高い走行性能に、ダブルウィッシュボーンサスペンションによる安定感が魅力的です。

ホンダ S2000は、2シーターオープンスポーツカーとして、乗り心地という面でもとてもクオリティの高いクルマだと言えるのではないでしょうか。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道