ホンダ S2000(ABA-AP2型)のインパネはスポーティかつ見やすい! 運転席まわりの機能も紹介

ホンダ S2000

今回は、ホンダ S2000(ABA-AP2型)のインパネを中心にコックピットまわりについて紹介していきます。

ホンダ S2000は、純粋な2シーターオープンスポーツカーです。エンジン性能もサスペンション性能も、ボディフレームの設計も全て走りに特化したものとなっています。走りを楽しむクルマには、やはり乗っていて楽しいコックピットというのが求められるものです。

ホンダ S2000のインパネやコックピットは、乗っていて楽しいものとなっているのでしょうか。そして、操作しやすいようにつくられているのか、じっくりとチェックしていきましょう。

Chapter
そもそもホンダ S2000ってどういうクルマ?
ホンダ S2000のインパネのデザイン・機能性をチェック
ホンダ S2000のコックピットの操作系統をチェック
ホンダ S2000の音響をチェック
ホンダ S2000のコックピットまわりの機能・装備をチェック

そもそもホンダ S2000ってどういうクルマ?

まずは、ホンダ S2000の概要について説明します。

S2000は、1999年に発売されたFRレイアウトの2シーターオープンスポーツカーです。ホンダがFRレイアウトのスポーツカーを出したのは、S800以来、実に29年ぶりのことでした。

限定車ではなく量産スポーツカーとして生み出されたのですが、S2000には他の量産車にはない特徴を備えていたのです。

量産車を作る際、生産台数が多いクルマなどからパーツを流用します。逆に言えば、生産台数が伸びるであろうジャンルのクルマをつくるときは、他のクルマに流用できるようにつくられることが多いです。そうしてコストカットをはかることにより、量産できるようになります。

しかし、S2000のパーツの多くは、専用パーツです。

まず、クルマの心臓とも言えるエンジン。これを構成する各部品は、小型軽量化しつつ強度を確保するためにつくられた専用パーツとなっています。当時は少なかった6速MTも、S2000のために自社開発されたもので、もちろん専用品となっています。

さらに、ボディも専用設計されました。オープンカーは、クローズドカーと比べて、どうしても強度が劣ります。これは仕方のないことだと受け入れるユーザーが多いでしょうが、ホンダは妥協せず、ボディ強度という弱点を克服するためのボディ設計を行ったのです。

フロアトンネルをメインフレームの一部として考える「ハイXボーンフレーム」というボディフレームで、これにより当時のクローズドボディのクルマと比べても同等以上の高剛性を誇るクルマとなりました。

とても素晴らしい設計ですが、オープンカーのために設計された特殊なものなので、他に流用するのは難しいです。

サスペンションもこだわりをもってつくられており、ほぼ専用仕様です。そのうえ「Type S」には専用チューニングを施したサスペンションを搭載させ、純正アクセサリーでもチューニングされたサスペンションを用意しています。

こだわり抜かれたS2000は、量産機でありながらワンオフ機と言える唯一無二のクルマとなったのです。

ただ、それゆえに短命となってしまいました。

2代目をつくろうと思っても、これ以上のクルマを実現するのは難しいです。装備等を現代仕様に一新するだけでもファンは喜ぶかもしれませんが、それではホンダとしては納得いかないでしょう。

ホンダ S2000のインパネのデザイン・機能性をチェック

ホンダ S2000のインパネは、とてもシンプルです。位置はステアリングホイールの上部奥側に、すっぽりとおさまる形になっています。比較的着座位置の低いクルマですが、自然と視線を少し下に向けるだけで見られるところが便利です。

メーターの配置は、とてもシンプル。上部にタコメーターがあり、中央にデジタルスピードメーターがあります。スポーツカーは両方アナログにすることも多いですが、デジタルにすることでステアリングホイールを窓として視認性を向上させたのでしょう。

スピードメーター下部には、時間表示・外気温表示とオドメーターとトリップメーターがあります。若干見づらいかもしれませんが、頻繁に確認しなければならないものでもないので、不便さは感じにくいでしょう。

右側上部には水温計、下部には燃料計もあります。これらは半円形のアナログ表示になっており、感覚的に読み取ることが可能です。

最下部には左側にCLOCKスイッチ、イルミネーションコントロールスイッチ、右上側にTRIPスイッチとスイッチ類が並んでいます。

走りを楽しむ際に最も気になるタコメーターとスピードメーターの見やすさを重視した設計となっており、スポーツカーらしいデザイン・機能性だと言えるのではないでしょうか。

ホンダ S2000のコックピットの操作系統をチェック

ホンダ S2000のコックピットを見てみましょう。

シフトノブはアルミ製で、本革が巻かれています。ペダルも全てスポーツ仕様でアルミ製となっており、スポーツカーが好きな人には嬉しいところでしょう。その他スイッチ類は、ほとんどがステアリングホイール左右に割り振られています。

エンジンスタートスイッチやエアコンの操作ボタンが、比較的押しやすい外側に配置されているのがポイントです。ライトスイッチとウインカースイッチは当然ステアリングに付いています。

オーディオリモコンスイッチも操作しやすい位置にあり、押す頻度が高いものや重要性の高いものは全て操作しやすい場所にあるのが好印象。内側はほとんどステアリングホイール直下のところにあるので、意外と押しにくいですから、徹底的に外側に置くのはありがたいでしょう。

ホンダ S2000の音響をチェック

ホンダ S2000は、音響もこだわられています。

スピーカー数は4つと、特別多いとは言えません。もちろん、2シーターオープンカーなので多ければ良いというわけではなく、4つが適切な位置に配置されていればそれで十分だと言えるでしょう。

ただ、運転席と助手席のヘッドレスト後方にはサテライトスピーカーが標準で搭載されています。これは4つのスピーカーとは別です。たとえばフルオープンにしている際に風音や環境音なので音楽が聞こえないというときに、首元で鳴ってくれるため比較的聞きやすくなります。

オープンカーの醍醐味は風を切ることを実感することにより得られる走りの爽快感と、楽しさでしょう。エンジンサウンドも、走りの楽しさのひとつ。運転する際に気分を盛り上げるのはエンジンサウンドだけではなく、音響も同じです。

コーナーを攻めるときはユーロビートを流したい、自分の好きな音楽を流しながら高速を走りたい…。

そんな人の欲求を、オープンにしていてもしっかり叶えてくれます。しかも、サテライトスピーカーは首元で鳴っているため、外部には漏れにくいです。

USJに行ったことのある人は、ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドのスピーカーをイメージするとわかりやすいかもしれません。ジェットコースターという悲鳴と風音で何がなんだかわからなくなる環境でも、しっかり聞こえます。それと似たような感覚でしょう。

ホンダ S2000のコックピットまわりの機能・装備をチェック

ホンダ S2000は、とにかくコックピットの快適性にこだわられています。

まず、シートです。

公式ページには記載がありますが、取扱説明書を見ると運転席はわずかながらにも調整ができるようになっています。レバーを引き上げながら前後にスライドさせることが可能で、背もたれもレバーで調節可能です。この4ウェイのみとなっているものの、どんな体型でも理想的な着座姿勢が取れるのではないでしょうか。

シートはスポーツタイプのホールド感が高いものなので、深く腰掛けて背筋を伸ばすことで快適性が増します。

ステアリングホイールを握った際にひじが少し曲がり、背筋を伸ばした際に背もたれに軽く背中がくっつく程度が望ましいです。

スライドと背もたれの調整によって、自分の体型にあったポジションを取りましょう。

さらに、トップを全開にしたときの風の流れにも気を配っています。

オープンカーの中には、トップを全開にすると風を巻き込んでしまって少し不快感があるという車種もあるでしょう。これがトップ全開にしてスピードを出すのを億劫にし、せっかくのオープンスポーツカーという特性が台無しになってしまうことがあります。

この不快な風の巻き込みを抑えるためのボディシェイプ設計をされているうえ、左右シートの間にウインドディフレクターを標準搭載しているのです。これにより、風の巻き込みがあまり起こらず、オープンスポーツカーの醍醐味を楽しみやすくなっています。

そして、冷暖房も特徴的です。高性能のエアコンを基本としつつ、膝・腰を集中的に暖めてくれるミドルエアアウトレットを搭載し、寒い季節にトップをオープンにしていても最適な空調効果が得られるようなモード選択も可能となっています。

ホンダ S2000のインパネは、アナログメーターとデジタルメーターをうまく使い分けています。タコメーターはアナログで直感的に見られるようにし、スピードメーターはデジタルで正確性を重視。水温計や燃料計などおおまかにでもわかれば良いものは、全てアナログです。

正確性と直感性を両方大事にした、非常に合理的なメーターだと言えます。

操作系統の配置も秀逸で、コックピットの装備も充実。

S2000は、走りを楽しむのに特化したクルマとしてとてもクオリティの高いクルマだと言えるのではないでしょうか。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道