ホンダ S2000(ABA-AP2型)の特別仕様車「ジオーレ」とは? 性能・デザインなどを紹介!

ホンダ S2000

ホンダ S2000(ABA-AP2型)には、一度だけ特別仕様車が設定されたことがあります。その名は、「ジオーレ」。2002年10月に300台限定で発売された特別仕様車です。1999年のS2000発売以来初となる特別仕様車に、注目が集まりました。

ただ、どんな特徴があるのか、通常モデルとどこが違うのかを詳しく知る人は決して多くはないでしょう。

そこで今回は、S2000の特別仕様車「ジオーレ」の特徴を、通常モデルと比較しながら紹介します。

Chapter
そもそもホンダ S2000はどんなクルマ?
ホンダ S2000の特別仕様車「ジオーレ」の概要を紹介
ホンダ S2000の特別仕様車「ジオーレ」のエクステリアを通常モデルと比較
ホンダ S2000の特別仕様車「ジオーレ」のインテリアを通常モデルと比較
ホンダ S2000の特別仕様車「ジオーレ」の性能を通常モデルと比較

そもそもホンダ S2000はどんなクルマ?

比較するなら、通常モデルと特別仕様車それぞれの概要を語らねばなりません。まずは、ホンダ S2000の通常モデルの概要を、歴史とともに紹介します。

S2000は、1999年春に発売された2シーターオープンスポーツカーです。

他の量産スポーツカーと違うのは、他の車種からのパーツ流用がほとんどないと言っても過言ではない点となっています。

ボディフレームは、前後2本ずつのサイドメンバーを平断面フロアトンネルを介し、クロスさせるようにして水平に連結したハイXボーンフレームというものが専用設計されました。フロアトンネルをメインフレームの一部と考える特殊なもので、これに大断面サイドシルを組み合わせることでオープンボディのS2000が、クローズドボディのクルマと同等以上のボディ剛性を得ているのです。

エンジンは、専用の2L直列4気筒DOHC VTEC「F20C」を縦置き似搭載しています。これは、レスポンスの鋭さを重視して設計された専用設計のVTECです。DBWという、アクセルペダルの踏み込み量をセンサーで検知してコンピューターが理想的なスロットル制御を行ってくれるシステムを搭載しています。

クルマの命とも言える部分のほとんどが専用設計となっており、おいそれと他の車種に流用することはできません。量産されたワンオフ機のような、浪漫あふれる車種です。

このような特殊なつくりをしているためか、2代目は絶望的だと言われています。S2000がこの特殊なつくりにより高い性能を得すぎたため、2代目に求められるハードルが高くなりすぎているのです。

そのうえ、また専用設計するとなるとお金もかかります。

1999年当時よりクルマが売れにくくなっている昨今、ピュアスポーツカーはなおさら厳しいです。ファミリーカーですら昔より売れず、公共交通機関の整備やレンタカー、カーシェアリングの台頭などによってメーカーは厳しい状況となっています。

S2000の専用パーツを盛った設計と時代背景が理由で、二度とは作れないだろう車種になってしまいました。

ホンダ S2000の特別仕様車「ジオーレ」の概要を紹介

ホンダ S2000特別仕様車「ジオーレ」は、2002年10月に発売されました。ベースグレードおよび「Type-V」をベースとし、専用シートや個性的なボディカラーなどでドレスアップされています。

モデル名となった「ジオーレ」は、イタリア語で「喜ぶ」「楽しむ」という意味の言葉です。

ベースの一つである「S2000 Type-V」は、世界初のステアリング機構となったVGSを搭載したモデルです。発売年は2000年となります。S2000の走る楽しさ、操る喜びをよりブラッシュアップさせるため、車速と舵角に応じてステアリングのギヤ比を無段階に変化させるというものです。

これにより、どのような運転状況でも理想的なハンドリングを実現することができるようになります。また、S2000の特徴だったレスポンスの良さも向上しました。

ノーマルグレードと、走る楽しさと操る喜びを向上させた「Type-V」をベースとした特別仕様車に「ジオーレ」という名を付けるのが粋を感じさせます。

ホンダ S2000の特別仕様車「ジオーレ」のエクステリアを通常モデルと比較

ホンダ S2000特別仕様車「ジオーレ」で特徴的なのは、エクステリアです。ボディカラーは、ゴールドピンストライプ付の専用ボディカラーとなっています。ゴールドのストライプと言っても目立つものでは決して無く、言わばモールドにゴールドで墨入れしたようなものです。これがとても良いアクセントになり、エクステリア全体を引き締めてくれています。

専用カラーは、2色設定されました。

深いワインレッドのような色味が特徴的なダークカーディナルレッド・パール、若干メタリックカラーにも見える綺羅びやかかつ深みを帯びた青が特徴のローヤルネイビーブルー・パールの2色です。

よりゴールドピンストライプが目立つのはダークカーディナルレッド・パールという印象がありますが、どちらもゴールドとうまく調和するようにつくられています。

さらに、ドアミラーはクロームメッキ加工を施された専用の装備。ボディカラーもそうですが、全体的に若干メタリックが入っているような印象があります。

BBS鍛造アルミホイールにはゴールドの色が入り、ゴージャスになりました。

専用カラーの選定、色づくり、組み合わせ、どれを取ってもヨーロピアンテイストなのが特徴的です。「ジオーレ」というイタリア語由来のモデル名に、よく似合ったエクステリアだと言えるでしょう。

一方、通常モデルはどうでしょうか。

基本的にボディカラーは単色成形で、ストライプ等の柄はありません。ホワイト、レッド、ムーンロック・メタリック、ブラック、イエロー、シルバー・メタリックなど、カラーの選択肢がとても多いです。どれもどことなくイタリア車チックな色味となっています。

フロントフェイス等は、基本的に変わっていません。

ホンダ S2000の特別仕様車「ジオーレ」のインテリアを通常モデルと比較

ホンダ S2000特別仕様車「ジオーレ」のインテリアは、専用タン内装が特徴的です。専用の本革シートが用意されています。通常モデルはファブリックシートが標準搭載されていて、シートやインテリア各部のファブリック素材を本革に変えるオプションが設定されていました。

色は、タン内装というだけあり、淡い茶色(タンカラー)です。皮革のなめしに使うタンナム(オーク樹皮)にちなんだ色味で、本革素材との相性は抜群。

タンカラーはドアライニングセンターパッド、センターコンソールに採用されています。タンカラー内装は、裏表の布の間に中綿などの素材を挟んでミシン縫いするというキルティング加工がされているのも特徴的です。

キルティング加工は身近なものだと、コートなどによく使われています。

キルティング加工によって、保温効果とクッション性が向上。S2000にはシートの膝あたりを集中的に温めてくれる空調モードがありますが、それとうまく合致するのではないでしょうか。

さらに、ステアリングホイールは専用革巻仕様となっています。カラーもタンカラーとブラックとの2トーンとなっており、高級感が演出されているのが魅力的です。

そして、フロアカーペットも標準搭載されています。

これらのカラー設定・加工・本革仕様などは、全て標準モデルにはなかったものです。

ホンダ S2000の特別仕様車「ジオーレ」の性能を通常モデルと比較

まずは、ホンダ S2000の通常モデルベースグレードと「Type-V」の性能から見ていきます。

ベースグレードと「Type-V」に搭載されているエンジンは、「F20C」。最高出力184kW(250PS)/8,300rpm、最大トルク218N・m(22.2kg・m)/6,500〜7,500rpmという性能を誇ります。当時、量産車としては世界最高水準のスペックを誇りました。

小型軽量化しながら高出力とレスポンスの高さを実現した、画期的なVTECエンジンです。特徴的なのは、新設計されたローラー同軸VTECロッカーアーム。フリクションを低減するためカムとの接触部にローラーを適用し、慣性重量を減らすためローターの中にVTEC切り替えよう連結ピンを内蔵させた一体構造が特徴でした。

「ジオーレ」はというと、「Type-V」と同じスペックです。エンジンや足回りなどは「Type-V」から変わっていません。

つまり、走りなどクルマの根幹をなす部分をブラッシュアップするのではなく、あくまでも内外装の特別感を演出した特別仕様車だということです。2000年に登場した「Type-V」の時点で、性能面に関しては完成されていたとも言えるでしょう。

ホンダ S2000の特別仕様車「ジオーレ」は、ノーマルグレードと「Type-V」をベースとしています。「Type-V」は2000年に登場した、ステアリング機構VGSを搭載したモデルです。これによりレスポンス性が向上しています。そのうえエンジンの性能も上がっているため、より走りの楽しさと操る喜びを感じやすいクルマとなりました。

ホンダ S2000「ジオーレ」は性能面ではType-Vと変わらないモデルもあり、内外装のカラーリングや加工にとても力が入っています。

このヨーロピアンテイストなカラーリングと、高級感があり質感が良い内装とが気になる方は中古車市場をチェックしてみてはいかがでしょうか。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道