まるでかぼちゃの馬車?トヨタの異業種合同プロジェクトで生まれたWiLL Viはどんなクルマ?

Will Vi トヨタ

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過去を振り返れば、鳴り物入りで華々しくデビューを飾ったものの振るわず、姿を消していったモデルも数多く存在します。

今回ご紹介するトヨタのWiLL Viもそんな1台。

誕生秘話や仕様の紹介などと併せてWiLL Viはどんなクルマだったのか、じっくり見ていきましょう。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
Chapter
大企業が参加したプロジェクトから生まれたトヨタ WiLL Vi
かぼちゃの馬車に例えられるエクステリアがポイント!
販売自体は低迷していたトヨタ WiLL Vi

大企業が参加したプロジェクトから生まれたトヨタ WiLL Vi

トヨタのWiLL Viは、2000年の1月にデビューしたノッチバックの4ドアセダンです。

4ドアセダンに分類されてはいるものの、ヴィッツのプラットフォームをベースとして採用。

トヨタ自動車がWiLLブランドの一番槍として開発したモデルです。

このWiLLというのは、1999年から2004年にかけて計画されていた異業種合同プロジェクトのこと
参加していたのは国内の有名・大手企業ばかりであり、旗頭のトヨタを始めとして花王・アサヒビール・パナソニック(当時は松下電器産業)・近畿日本ツーリストという日本に住んでいる方であれば、一度は名前を聞いたことがあるであろう名だたる企業が名を連ねるプロジェクトでした。

後に、文房具やオフィス家具を製造しているコクヨや、食品メーカーの江崎グリコもプロジェクトに参加しています。

WiLLブランド立ち上げの狙いは、2000年代当時20~30歳の若年層、いわゆるニュージェネレーション世代に向けた商品の開発を行うこと。

その第一弾として企画されたのが、WiLL Viだったのです。

かぼちゃの馬車に例えられるエクステリアがポイント!

WiLL Vi最大の特徴は、かぼちゃの馬車と例えられるほどかわいらしいデザインのエクステリア(外装)です。

ヴィッツのプラットフォームを基に、クリフカット(リアのウインドウが普通とは逆の傾きになっていること)のリアウインドウを採用。

トヨタが製造・販売を行っていたモデルのほか、ダイハツ オプティのドアミラーやユーノス ロードスターのウインカーといった、他メーカーに使われている純正パーツを組み合わせていたことも話題となりました。

通常使用のハードトップに加え、オープンにできるキャンバストップ仕様も存在しています。
また、あくまでもWiLL ViはWiLLブランドから生み出されたクルマであるというコンセプトから、トヨタのエンブレムは不採用。

一方、インテリア(内装)ではとことん丸みを追求し、温かみのあるブラウンを基調としたカラーリングで、シートはホワイトに設定されています。

インパネ周辺はフランスパンをモチーフとした造形となっており、現代のクルマのメカ二カルな要素を極力排した柔らかなイメージとなっているのです。

搭載されていたパワートレーンは、初代ヴィッツと同様の1.3L 直列4気筒DOHCエンジンであり、最高出力88ps/最大トルク12.5kgmを発揮します。

販売自体は低迷していたトヨタ WiLL Vi

多くの大企業が参加・企画し、いよいよ販売開始したWiLL Viですが、デビューしたおよそ2年後の2001年末には生産を終了。ほどなくして販売終了のアナウンスがなされることになります。

WiLL Viはそれほど人気が出ず、あまり売れなかったクルマなのです

その理由はいくつかあり、そもそもベースのヴィッツが80万円代から購入できたのにも関わらず、WiLL Viは130万円からと当時としては少々強気な価格設定であった点が挙げられるでしょう。

また、一見するとかわいらしいかぼちゃの馬車風スタイリングも、好き嫌いを大きく二分する結果となってしまいました。特殊と言わざるを得ないクリフカットも不評の原因だったようです。
しかし、WiLLブランドのクルマはこのWiLL Viだけに留まらず、2001年には5ドアハッチバックのスポーティなWiLL VSや、2002年には5人乗りハッチバックのWiLL サイファをデビューさせています。
なによりもデザイン優先、若者の感覚に合うよう作られたWiLL Vi。

そのコンセプトを、企業が手を取り合って生み出すのは大変素敵なことですが、それだけでは売れるクルマにはならないことも同時に証明してしまいました。

WiLL Viは自動車の歴史に燦然と輝く名車ではないかもしれませんが、誰かの記憶には残っている特別なクルマだといえるのではないでしょうか。

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