スバル 初代BRZのシートアレンジをチェック!使い方次第ではフラット空間に?(DBA-ZC6/4BA-ZC6型)

スバル 初代BRZ

トヨタとの共同開発で生まれた異色のクルマ、スバル 初代BRZ(DBA-ZC6/4BA-ZC6型)には、ほかのスポーツカーにはない魅力がたくさんあります。

中でも注目したいのが、便利なシートアレンジ機能。うまく使えば車中泊ができるとの噂もありますが、本当のところはどうなのでしょうか。

そこで今回は、BRZのシートアレンジの機能性と、本当に車中泊はできるのかについて詳しく解説しています。

Chapter
スバル 初代BRZとはどんなクルマなの?
スバル 初代BRZのリアシートのシートアレンジをチェック!
スバル 初代BRZのリアシートはそもそもシートアレンジすることを想定している
スバル 初代BRZのシートアレンジで車中泊はできるのか?
スバル 初代BRZのシートアレンジがほかのスポーツカーより優れている理由は?

スバル 初代BRZとはどんなクルマなの?

BRZは、当時富士重工と名乗っていたスバルと、日本の自動車トップメーカーであるトヨタが共同開発したクルマです。

委託を受けて他社ブランド製品として売ってもらうOEM(Original Equipment Manufacturer)ではなく、完全な共同開発によって誕生した1台なのです。

スバルが持っていた「FB20型」と呼ばれる水平対向エンジンをベースに、トヨタが持っていた燃料噴射制御技術「D-4S」を掛け合わせたことで生まれたエンジン「FA20型」の開発が、そもそものきっかけでした。

新型エンジンの開発成功を受けて、スバルはBRZ、トヨタは86を発売しました。デザインはトヨタ、技術はスバルという、クルマ好きには嬉しい組み合わせでの共同開発です。

姉妹車であるBRZと86には、乗り味に若干の違いがあるといわれています。実際、この2台のクルマはサスペンションが違います。

86はフロントサスペンションが硬め、リアサスペンションには柔らかい部品が採用されており、ドリフトなどのサーキット走行が得意な設計に仕上がっています。一方BRZはフロントサスペンションが柔らかく、リアサスペンションが硬めの設計で、街乗りなどに適した安定した走行が可能になっているのです。

その差はわずかで、あまりクルマに詳しくない方、乗り慣れていない方が乗っても気が付くことはないでしょう。現にプロトタイプでのテスト走行の際、プロドライバーが乗り比べても「差はなかった」と証言している記録もあります。

しかし、BRZと86はまったく同じクルマではない点は覚えておくと良いでしょう。

BRZの駆動方式はFR(後輪駆動)で、スバルが市販車でFRを採用したのはBRZが初めてなのです。BRZは共同開発した「FA20型」エンジンのおかげで重心が低く乗りやすい特徴があり、それでいてパワーも十分な1台です。

排気量は2.0Lと大きな部類には入りませんが、街乗りメインで楽しんだり、たまにサーキット走行を楽しむ程度なら十分でしょう。また、まもなく発売される2代目BRZは排気量が2.4Lとさらにアップしており、どんな乗り味のクルマに仕上がっているか期待が高まりそうです。

スバル 初代BRZのリアシートのシートアレンジをチェック!

まずは、BRZのリアシート(後席)のシートアレンジについて見ていきましょう。BRZのリアシートはスポーツカーに共通した狭い設計で、人を乗せることはできますがあまりおすすめできるものではないでしょう。

座り心地は悪くないもののクルマ全体の高さが低く、足元スペースが狭いことが最大の原因です。小さなお子さんが乗るのならまだしも、大人を乗せるとなると使い勝手はよくありません。

そこでおすすめなのが、シートアレンジを行ってリアシートを荷室(ラゲッジルーム)の一部として使用する方法です。BRZのリアシートは一体可倒式になっており、左右どちらかだけを倒せる独立可倒式ではないため不便に感じる方もいるかもしれません。

しかし、BRZにはちょうどいい設計と機構の組み合わせなのです。独立可倒式にしてもメリットがないというのが最大の理由ですが、何よりもひとつの操作でシートアレンジが完了することが便利なポイントといえるでしょう。

2ドアしかないBRZのリアシートに何度も出入りする必要もなく、リアシートを完全に倒せば、荷室から続く完全なフラット空間が生まれます。

リアシートをアレンジするだけで、通常は載せられないゴルフバックを2つ載せられたり、レース用のタイヤ4本を載せることが可能となるのです。

シートアレンジが必須とはいえ、スポーツカーとしてこれだけの大荷物を積載できるBRZは非常に優秀なクルマといえるでしょう。

スバル 初代BRZのリアシートはそもそもシートアレンジすることを想定している

BRZに関わらず、スポーツカーのリアシートに機能性はあまりありません。

近年ではリアシートの乗り心地も追求されるようにはなりましたが、それでもスポーツカーのリアシートの利便性は高いとはいえず、今でも「おまけ」と評する口コミが存在するのです。

ではBRZのリアシートはどうなのかというと、ディーラーのカタログを見る限りはシートアレンジ前提で考えられているような印象を受けるでしょう。

これは前項で解説したゴルフバッグやタイヤの積載が、「シートアレンジすることで可能になる」と書かれていることからも推察できます。

つまりBRZのリアシートは、人を乗せるよりもシートアレンジで荷室の補助的な使い方をするのが吉といえるのかもしれません。

リアシートを全面に倒し切ることでフルフラットになるクルマはスポーツカー以外を含めても少なく、BRZのシートアレンジの魅力的な点でもあります。

リアシートの乗車性と荷室の使い勝手の良さを天秤にかけると、シートアレンジで荷室をさらに拡張する方がおすすめといえそうです。

後ろに人を乗せる予定がない場合は、常にシートを倒したままでも良いかもしれません。

スバル 初代BRZのシートアレンジで車中泊はできるのか?

BRZはあくまでも走るため、普段使いのためのクルマなので、コンパクトワゴンやSUVのようにアウトドア目的で買う方はまずいないのではないでしょうか。

そもそものコンセプトが違いすぎるため一概には比較できませんが、中には「BRZで車中泊をした」という口コミもありました。

本当にBRZで車中泊は可能なのか、考察していきましょう。

大前提として、BRZで車中泊をするとなれば人が無理なく横になれるだけのスペースが必要です。

「ゴルフバックが難なく積める」と解説しましたが、ゴルフバックの標準的な長さは130cm程度です。ゴルフバッグより成人男女の身長の方が大きいので、基本的には身をかがめて1人で寝ることが前提になるでしょう。

この際荷室を使用することにもなりますが、荷室は高さがないため、足をむけるなどの工夫は必要になってきます。仮に斜めに横になったとしても窮屈さは変わらないので、複数人での車中泊はできないと考えると良いでしょう。

加えて2ドアというBRZの特性上、寝台にしたリアスペースへのアクセスも大変なため、積極的に「車中泊ができる」と勧められるものではないと考えるべきです。

しかし、BRZでの車中泊はまったくもって不可能というわけではなく、身をかがめたりすることに不満がなければ十分使える機能といえます。

もちろん積極的に使うには少々分が悪いと言わざるを得ず、災害時などの非常時以外での車中泊利用は、控えた方が良いかもしれません。

スバル 初代BRZのシートアレンジがほかのスポーツカーより優れている理由は?

BRZのシートアレンジが他のスポーツカーよりも優れている点に関しては、前項までで少しだけ触れました。

姉妹車であるトヨタ 86も同様ですが、その背景にはモデルになった2台のクルマの存在があります。

それがトヨタ カローラレビントヨタ スプリンタートレノで、どちらも名車と呼ばれる存在ですがスポーツカーではなくクーペに分類されるクルマです。

つまり、ベースにはクーペとしての性能があり、スポーツカーへと昇華したクルマがBRZと86なのです。

クーペとスポーツカーの違いは何となくわかるかもしれませんが、クーペによく似た存在であるセダンとの違いがわからない方も多いでしょう。

セダンとの大きな違いはずばり、室内空間が分離されているかどうかです。

クーペはフロントシートから荷室までがすべてつながっており、シートアレンジによって荷室の広さを拡張できるタイプのクルマです。

それに対してセダンは乗車スペースと荷室が完全に独立しており、シートアレンジができない設計になっています。

クーペの特徴を受け継いだBRZと86は、シートアレンジができるスポーツカーへと進化しました。

結果、ほかのスポーツカーにはない室内空間を生み出すシートアレンジができるようになったのです。

BRZはシートアレンジによってほかのスポーツカーよりは広いスペースを生み出すことはできますが、車中泊そのものにはあまり向いていないことがわかりました。

BRZはそもそも走りを楽しむ目的で作られたスポーツカーなので仕方のない側面もありますが、シートアレンジの活用によって窮屈ながらも寝泊りができ積載能力も比較的高いBRZは、スポーツカーに実用性を求める人にはうってつけの1台といえるのではないでしょうか。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道