TUVってなに?メンテナンスをしてもらう工場を選ぶ上で大切なキーワード

TUV

TUVという言葉は、2017年にマツダが初代ロードスターのレストアサービスを発表した際、ニュースで初めて耳にした人が多いかと思います。

ここではTUVとはどんなものかという基本的な情報から、TUVによるメリットなど、TUVに関することを一からおさらいしてみましょう。

Chapter
TUVとは?
日本国内におけるTUVの歴史
TUV認証を受けていることによるメリットは?

TUVとは?

TUV はドイツに拠点をもつ認証機関で、主に技術や安全・証明の認証を行っています。

現在、TUVの名を冠するグループ会社は7つの拠点があり、それぞれで多岐にわたる検査や認証を行う中、自動車のアフターマーケット関連の検査を手がける企業としてTUVラインランドがあります。

TUVは2017年、マツダの「クラシックカーガレージ認証」で大きく知られるようになると、板金・塗装を中心としたクルマのメンテナンス分野において一気に知名度がアップしました。

日本にはこれまで板金塗装工場の認証制度がありませんでしたが、見た目だけでなく安全性を確保した修理が求められる現代では、修理工場の良し悪しで選ぶための基準として「TUV認証」が用いられるようになったのです。

TUVの認証は、最新かつ高品質の修理ができる技術をもつという証になります。

もちろん板金・塗装の分野に限らず、TUVの認証制度はクルマやそのサービスの質を証明するものとして、現代では幅広く採用されています。

日本国内におけるTUVの歴史

TUVラインランドジャパンは、TUVグループの日本企業として1983年に創立されました。

2000年に行われた2度目の社名変更で、現在の社名になっています。

自動車の分野に限っても、ヴィンテージカーの査定や電気自動車の試験認証など幅広く事業を手がけています。

そのひとつとしてBMW/MINI認定鈑金工場制度の監査および第三者認証があり、BMWジャパンからの委託により2013年度から実施しており、2017年にマツダ・初代ロードスターの「クラシックカーガレージ認証」で広く知られることとなったのは、前述のとおりです。

その後2018年、ヤナセオートシステムズが「ヤナセクラシックカーセンター」を展開することに伴い認証取得するなど、TUVの認証取得の動きが徐々に拡大していきました。

TUV拡大の流れは自動車保険の分野にも及び、ソニー損害保険が提携工場の認証取得を推進したり、SBI損害保険が事故車両の入庫先として認証を取得した工場を優先的に選んだりするようになりました。

さらに2020年、クラシックカーガレージ認証を受けた工場でレストアを受けたクラシックカーの価値増加を認め車両保険金額へ反映する、という画期的な仕組みをChubb損害保険が取り入れています。

板金・塗装に加え、TUV認証の取り組みはカー用品店のオートバックスでも展開されているのをはじめ、認証を取得する工場やショップは着実に増加しているのです。

TUV認証を受けていることによるメリットは?

前項で述べたように、自動車分野でもTUVの認証を取得する動きが広がっていますが、その理由は「技術やサービスの品質が評価を受ける」という点に尽きるでしょう。

TUVは自動車メーカーや整備工場・ユーザーいずれの側にも立たない第三者機関として認証するので、主観性の入る余地がなく、認証という形のお墨付きを得ることで、サービスや商品に高い価値や存在意義が付加されることになります。

その認証を取得するための要件や監査項目は多岐にわたりますが、板金塗装工場認証基準の最高ランクである「プラチナ認証」取得の要件は極めて高いです。

大型欧州車も修理できる作業スペースや設備・修理品質の社内管理体制・従業員に対する継続的なトレーニングなどの数多くのハードルを越えてはじめて、優れた工場としての認証を受けられるのです。

また、TUV認証の信頼が高いことは、認証制度が有期限であることも影響しています。

認証は2年ごとに更新しますが、更新時に認証要件をクリアできなければ認証が無効になります。

しかもその要件や監査項目は常にアップデートされているため、認証を受けている工場でも常に最高・最新のサービス提供のための努力を続けなければいけません。

つまりTUV認証を受けているという事実は、工場が提供する質の高いサービスをキープしていることを意味しており、認証を受ける工場なら安心して修理を依頼することができるのです。

クルマに関する認証制度を中心に、TUVの概要をご紹介しました。

日々進化する自動車の開発技術に対応するため、整備工場にも最新技術の追求が求められており、TUV認証はその技術をもつ証として、日本国内でも既に市民権を獲得しているといえます。

技術の多様化で目安となる「ものさし」がわからなくなりつつある中、TUVはスタンダードなものさしとして、整備工場や関連サービスの質を表す有効な手段として、今後ますます浸透していくことが見込まれるでしょう。

※2021年6月現在

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道