WLTCモード?JC08モード?燃費の数値の違いとは何?

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今回はカタログに表記されている燃費数値の、WLTCモードとJC08モードの違いを解説していきます。

どちらもカタログに載っている場合、またはどちらか一方しか載っていない場合とありますが、何が違うのか、どちらを見れば良いのか意外と分からないものです。

それぞれの燃費基準がどのように算出されているのかをご紹介します。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
Chapter
JC08モード(ジェイシー ゼロハチモード)とは?
WLTCモード(Worldwide harmonized Light Vehicle Test Cycles)は?
JC08モードとWLTCモードの違いは?

JC08モード(ジェイシー ゼロハチモード)とは?

日本独自の検査基準であるJC08モードは、1Lの燃料で何キロメートル走行できるかをいくつかの走行パターンから測定する燃費基準の数値です。

日本において普通自動車の燃費は、運輸省が1991年に制定した「10・15モード燃費」により測定されていましたが、2011年4月以降に型式認定された新車に義務付けされたより実践的なJC08モードへ移行し、長らくカタログ燃費として購入者の基準となっていました。

JC08モードの算出特徴としては、平均速度24.4km/h、最高速度81.6km/h、所要時間1204秒、走行距離8.172kmでの試験となり、今まで採用されていた10・15モード燃費よりも、より実践的な数値として期待をされていました。

測定方法としては、独立行政法人交通安全環境研究所で、市街地や郊外などでの走行を想定した検査を行い測定します。
測定は試験場内でシャシダイナモメーターという計測器のローラーの上に車を載せ、車両ごとに重量を負荷させた上でタイヤを回転して行っていました。

テストコースなどで実際に走行をして測定をしているかと思っていた方も多いかと思いますが、実際は道路上ではなく試験場内のローラーの上で、ハンドル操作なしに行われていました。

事実、10・15モード燃費よりは実際の燃費数値に近づいたとはいえ、カタログ記載のJC08モードとユーザーが実際に走行した燃費とはまだ乖離があり、筆者もディーラー勤務時代は、実際はJC08モードよりも2割減くらいでお考えくださいと話していました。

その要因としては、ストップアンドゴーの多い日本の道路事情と、測定状況の差があることや、測定時はエアコンなどの電装品は全てオフの状態で走行されるため実燃費とはかけ離れた数値が測定されてしまうと言われていました。

長らく日本における燃費基準として測定されてきたJC08モードですが、新しく国際基準の燃費測定方法のWLTCモードが世界的に導入される流れの中で、日本においても2018年10月よりWLTCモードへ完全移行するとし、実際にまだカタログに載っている車種もありますが、その歴史に幕を閉じました。

WLTCモード(Worldwide harmonized Light Vehicle Test Cycles)は?

日本国内において、2018年10月より完全移行した新燃費基準表示のWLTCモードは、市街地、郊外、高速道路といった走行モードで構成された国際的な測定方法です。

WLTCモードに基づく燃費(WLTCモード燃費)に加え、構成する3つの走行モード毎の燃費について、カタログへ表示することとなりました。今までのJC08モードが日本独自の試験方法だったのに対して、国際的な試験法であるWLTCモードを導入したことで、実燃費との乖離を無くしていくことが期待されます。

WLTCモードのカタログ燃費表記は4つとなります。

市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードであるWLTCモード
信号や渋滞の影響を受ける比較的低速な走行を想定した、市街地モード
信号や渋滞の影響をあまり受けない走行を想定した、郊外モード
高速道路等での走行を想定した、高速道路モードとなります。

このように全てのモードを平均した燃費値も表示されれば、市街地を走行時の平均燃費も表示されるため、ユーザーは自身のカーライフに合わせた燃費の確認が行えるようになりました。

JC08モードとWLTCモードの違いは?

多様な燃費表示で実燃費に近い数値を表示することができるようになりましたが、実際に何が違うのかトピックに分けて紹介していきます。

1.コールドスタートを厳格に測定
燃費は、エンジンが温まっている状態より、冷え切った状態(コールドスタート)からスタートした方が悪くなります。JC08モードではコールドスタート25%、ホットスタート75%の配分で測定していましたが、WLTCモードではコールドスタートのみの測定のため、より厳格な測定となります。

2.検査車両の重量をより重く
WLTCモードはJC08モードよりも検査車両の重量を重くして測定するので、JC08よりも厳格に燃費が測定されます。

3.シャシダイナモメーターの負荷を増加
燃費測定には車をローラー上に載せて測定するシャシダイナモ式が採用されていますが、WLTCモードは負荷を増やすことができるため、実際に公道を走行したときのような負荷を車にかけ、より厳格に測定をしています。
JC08モードと、それに代わる新燃費基準のWLTCモードはどういった点が異なるのかをお伝えしてきました。

今までよりもより実用的な数値に近くなったWLTCモードの数値。きっとクルマの検討の際に役立つと思います。
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