キャデラック・XT6は欧州SUVと勝負になるか?アメリカンSUVの雄、キャデラック XT6を徹底試乗

【アメリカンSUV・キャデラック・XT6】
SUVはもともとアメリカ生まれのジャンルなのに、いまの日本市場は日本製SUVとヨーロッパ製SUVに席巻されている状態。ジープを別にすると、全般的にいってアメリカ生まれのSUVからは強い存在感が伝わってこないように思う。キャデラックXT6は、そんな日本のSUV市場に一石を投じそうなニューモデルである。

文:大谷 達也 写真:CarMe編集部、GMジャパン

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キャデラックはアメリカのプレミアムブランドの代表格
キャデラック・XT6のインテリアは若干、最新の欧州SUVより古い印象か
キャデラック・XT6のハンドリング・乗り心地はロール感はあるものの、ソフトな乗り心地がXT6らしさ
3.6リッターV6エンジン、314馬力&トルク375Nm は、XT6に対して余裕の走りをみせる
【動画・アメ車の3列シートSUV】キャデラック XT6を28分大谷達也が徹底解説!

キャデラックはアメリカのプレミアムブランドの代表格

キャデラック エスカレード 写真:萩原 文博

アメリカのプレミアムブランドとして長い歴史を誇るキャデラックといえば、日本ではフルサイズSUVのエスカレードが有名。

大きくて力強いボディはいかにもアメリカ的だが、洗練されたデザインのインテリアはヨーロッパのセンスにも通ずるところがあるいっぽうで、ドイツ車のように暗くて閉鎖的な印象が薄く、明るく開放的。

この辺がキャデラック独自のキャラクターといえそうだ。

いっぽうのXT6は、エスカレードに比べてボディはひとまわりコンパクトで、全長は30cm以上も短い5060mm、全幅も2mを切る1960mmに収められている。

もちろん、それでも十分に大きいけれど、たとえばBMW X5とほとんど変わらないサイズで、むしろ全幅はX5が2005mmとXT6を上回っているほど。だから、決して持て余してしまうほど大きいとはいえないだろう。

いっぽうで、前述したとおり洗練されたデザインはキャデラックの大きな魅力で、この個性はXT6にもしっかりと受け継がれている。

メーカー自身がクロスオーバーと呼んでいるようにXT6は伝統的なSUVに比べると進歩的で、オンロード性能によりフォーカスしたモデルであることがエクステリアデザインからもうかがわれる。

 キャデラック・XT6のボディサイズは、全長×全幅×全高:5060×1960×1775mm

そのスタイリングは、キャラクターラインなどの装飾が極めて少ないシンプルなもので、エレガントであると同時に未来的な雰囲気を漂わせる。バランスのいいプロポーションも美しさを際立たせる秘訣のようだ。

キャデラック・XT6のインテリアは若干、最新の欧州SUVより古い印象か

明るい色調でまとめられたインテリアはさらに魅力的で、ドイツ車とは大きく異なる開放感に溢れている。レザーの色調やウッドの木目などが、その端的な例だろう。

いっぽうでメーター周りやインフォテイメントの操作系などは、最新のドイツ車に比べると一世代古い印象がなくもないが、なにもかもドイツ車を基準に語る必要はなかろう。

やや文字が小さいことやナビ類の反応が鈍いことも弱点だが、現代的な装備はひととおり揃っている。

キャデラック・XT6のハンドリング・乗り心地はロール感はあるものの、ソフトな乗り心地がXT6らしさ

これに比べると乗り心地やハンドリングははるかに現代的。特にロードノイズが低く抑えられている点は高く評価できる。

サスペンションは、かつてのアメ車ほどではないにしてもソフト傾向で、軽いピッチングやローリングを許すものの、これがほどよいリラックス感を生み出しているのは事実で、明るい室内にはゆったりとした時間が流れているように感じられる。

このテンポ感が心地いいと思える人にとって、この乗り心地は掛け替えのない魅力であるはずだ。

ハンドリングも穏やか。ただし、一定の正確さも備えているので、市街地や高速道路では日本製やドイツ製のSUVと同じごく自然な運転感覚で操れる。

ステアリングが取り立ててシャープだったりレスポンスが鋭かったりすることはないものの、裏を返せばそれだけリラックスして操れるのも事実。この辺も乗り心地のテンポ感に通ずるところがある。

3.6リッターV6エンジン、314馬力&トルク375Nm は、XT6に対して余裕の走りをみせる

排気量3.6ℓのV6エンジンは最高出力314ps、最大トルク375Nmとそのパフォーマンスに特筆すべきところはないものの、前述のとおり静粛性に優れているほか、実用域のレスポンスやトルク感にも不満は抱かなかった。

いっぽうで、スロットルペダルを大きく踏み込むと9速ATが素早く反応。レスポンスよくキックダウンしてエンジン回転数を高めると、猛然と加速し始める敏捷さを持つ。

普段のおっとりとした印象とは別物の力強さだ。

総じてXT6は重厚な雰囲気のドイツ車とは対極にある明るさ、開放感に大きな魅力がある。

クルージング時の静粛性は高く、その穏やかな乗り心地を味わっていると、ストレスで凝り固まった心が次第に解きほぐされていくような気がするほど。

前述のとおりインフォテイメント系の操作性などに弱点はあるものの、この独特の空気感、テンポ感に惹かれるドライバーも少なくないはず。

ヨーロッパ製SUVの価値観をアメリカ人の感覚で解釈し直したXT6は、「ドイツ製SUV特有の重厚感が苦手」と感じている人にこそ試して欲しい1台といえるだろう。

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大谷達也 | TATSUYA OTANI

大谷達也(TATSUYA OTANI) 大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌「CAR GRAPHIC」の編集部員へと転身。同誌副編集長に就任した後、2010年に退職し、フリーランスの自動車ライターとなる。現在はラグジュアリーカーを中心に軽自動車まで幅広く取材。先端技術やモータースポーツ関連の原稿執筆も数多く手がける。2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考員、日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本モータースポーツ記者会会員。

大谷達也 | TATSUYA OTANI