【プロ解説】プラグイン ハイブリッドSUV対決!トヨタ RAV4 PHVと三菱 アウトランダー PHEVはどこが違うか?

トヨタ RAV4 PHVと三菱 アウトランダー PHEV、どちらも共通点はプラグイン ハイブリッドのSUVという点。今回はこの2モデルを比較し、スペックから安全装備、そして乗り味までレポートしていきます。

文・鈴木ケンイチ

Chapter
トヨタ RAV4 PHVと三菱 アウトランダー PHEV とはどんなモデルなのか?
最新のTNGAから生まれたトヨタ RAV4 PHV
デビューから8年の歴史を持つ三菱 アウトランダー PHV
トヨタ RAV4 PHVと三菱 アウトランダー PHEV…同じSUVのプラグイン・ハイブリッドでもフィーリングは意外と違う

トヨタ RAV4 PHVと三菱 アウトランダー PHEV とはどんなモデルなのか?

トヨタのミドルSUVであるRAV4に、2020年6月8日、最上級モデルとしてRAV4 PHVが追加されました。大きな電池と強力なモーターを積んだプラグイン ハイブリッドです。

ところが発売開始するとすぐに注文が殺到。なんと1年分の生産予定分が売り切れてしまい、現在は注文を停止しているそうです。今後の注文再開はトヨタHPにてお知らせになるとのこと。(2020年10月現在)

今回は、そんな大人気のRAV4 PHVのライバルとなる、同じSUVのプラグイン ハイブリッド車の三菱自動車のアウトランダーPHEVとの比較をレポートしたいと思います。

SUVのプラグイン ハイブリッド車は、欧州ブランドで人気のジャンルですが、普通のハイブリッド車が多い日本車では少数派で、プラグイン ハイブリッド自体が希少な存在です。そのためプラグイン ハイブリッドであり、かつSUVでもあるというと、現在のところ三菱自動車のアウトランダーPHEVしか存在しないということになります。
(2020年10月現在)

最新のTNGAから生まれたトヨタ RAV4 PHV

最初に2台のアウトラインを紹介しましょう。まず、RAV4 PHVは、2019年4月に発売された5代目RAV4のプラグイン・ハイブリッドバージョンです。ベースとなったRAV4は、最新のカムリやプリウスと同じTNGAというトヨタの最新技術アーキテクチャーから生まれたモデル。言ってしまえば乗用車をベースにしたSUVです。

ただし、現在のRAV4はアメリカ市場でも非常に数多く売れるクルマであるため、凝った4WDシステムを採用するなど、オフロードの走りの良さも特徴のひとつとなっています。

パワートレインには、新開発されたプラグイン ハイブリッド・システムのTHS2 Plug-inを採用。システムは2.5Lガソリンエンジンとモーター、そしてリチウムイオン電池を組み合わせたもの。従来のRAV4ハイブリッドと比べると、モーターとインバーターの出力をアップさせています。4WDシステムは、後輪をモーター駆動とするE-Fourを採用しています。

これらが組み合わされたRAV4 PHVのシステム最高出力は225kW(306PS)にも達しました。ちなみに、パワートレインそれぞれの出力は以下の通り

エンジン出力 130kW(177PS)
フロントモーター出力 134kW(182PS)
リアモーター出力 40kW(54PS)

システム最高出力が、個々の出力の合計ではないのは、電力供給の都合や、それぞれのパワートレインの最高出力を出せる回転数の違いなどが理由となります。とはいえ、RAV4クラスのサイズで、システム出力306馬力は過分と言えるほど大きな数字です。RAV4の最上級にふさわしい俊足ぶりを発揮します。

そのほか細かなスペックは以下の通り

リチウムイオン電池の搭載量 18.1kWh
EV走行航続距離 95㎞
ハイブリッド・モード時の燃費 22.2㎞/L。
ボディサイズ 全長4600mm×全幅1855mm×全高1690㎜。
車両重量1900~1920㎏

デビューから8年の歴史を持つ三菱 アウトランダー PHV

アウトランダーPHEVは、三菱自動車のミドルSUVであるアウトランダーの派生モデルとして2012年12月に発売となりました。アウトランダーのガソリンエンジン車の販売から2か月後のことでした。

特徴は日本車として、プリウス プラグイン ハイブリッドに次いで2番目となるプラグイン ハイブリッドであったこと。また、フロントにエンジン+モーターのハイブリッド機構を持つだけでなく、後輪にもモーターを搭載する4WDであることです。国産SUVのプラグイン ハイブリッドとしては、アウトランダーPHEVが第一号となっています。

ちなみに、アウトランダーPHEVは、急速充電が可能となっているのも特徴です。そのため高速道路のSAなどに設定してあるEV用の急速充電設備が使えるのもアウトランダーPHEVの利点と言えます。ただし、この機能のおかげで、同じように急速充電設備を使うEVオーナーからは不満の声も聞こえます。

「EVの急速充電の利用は必須。一方、アウトランダーPHEVは、急速充電しなくても走れる。急速充電の利用が混むときは、アウトランダーPHEVは控えてほしい」という意見です。こうした声の対応のためか、RAV4 PHVには急速充電の装置がついていません。このあたりの違いも2台の個性となります。

8年も前にデビューしたアウトランダーPHEVですが、2015年、2017年、2018年、2019年と何度かの改良が実施されています。特に2018年の改良は大幅で、プラグイン ハイブリッド システムの主要部品の9割を変更。エンジンも2.4Lに排気量をアップして、走行性能を各段とアップさせています。各システムの最高出力とスペックは以下の通り

エンジン出力 94kW(128PS)
フロントモーター出力 60kW(82PS)
リアモーター出力70kW(95PS)
リチウムイオンバッテリー 13.8kWhEV
EV走行航続距離 65km
WLTCモードハイブリッド燃費 16.4km/L
ボディサイズ 全長4695mm×全幅1800mm×全高1710mm
車両重量は1860~1930㎏

システム最高出力は公開されていませんが、アウトランダーPHEVはモーター駆動でのシリーズ・ハイブリッド走行を主とするため、前後モーターの出力の合計である130kW(177PS)程度で走っていると考えていいでしょう。

トヨタ RAV4 PHVと三菱 アウトランダー PHEV…同じSUVのプラグイン・ハイブリッドでもフィーリングは意外と違う

同じようなサイズ感のSUVであり、どちらもエンジンと2つのモーターを備えた4WDのプラグイン ハイブリッド車。RAV4 PHVとアウトランダーPHEVの内容は、非常に似たものです。ところが、実際に乗ってみるとフィーリングは大きく異なります。

まず、RAV4 PHVは、非常にスポーティな印象。インテリアのデザインもそうですが、ステアリング操作に対するクルマの反応もダイレクト感があります。一方でアウトランダーPHEVは、インテリアの質感が高いことに感心しますが、ステアリング操作に対する動きは、いかにもSUVといった、ちょっとのんびりとしたもの。

乗用車にも使われるTNGAの最新のプラットフォームを使うRAV4 PHVと、古いSUVシャシーを使うアウトランダーPHEVの差と言えるでしょう。ただし、個人的にはゆったりとしたフィーリングの強いアウトランダーPHEVの動きも嫌いなわけではありません。助手席や後部座席に乗る人であれば、アウトランダーPHEVのゆったりさが好ましく思う人も多いはずです。

パワートレインのフィーリングも大違いです。スペック的には圧倒的にRAV4 PHVの方が勝っているのですが、意外にもアウトランダーPHEVの方が軽快感があります。2台とも、バッテリーの充電がたっぷりあれば、ほとんどEV走行が基本なのですが、加速の最初の一歩目がアウトランダーPHEVの方が強く、まるで飛び出すかのような印象です。

もちろん、アクセルを深く踏み込めば、スペックに優れるRAV4 PHVの加速が勝りますが、街中の走りではアウトランダーPHEVも負けていません。印象でいえば、RAV4 PHVはハイブリッドカーを基本としながら、EV走行モードを多くしたクルマ。一方で、アウトランダーPHEVは、EV風の走りを基本にして、足りないときにエンジンが出てくるというもの。同じようにEV走行を行うのですが、2台がEV走行に対するアプローチが、真逆といった感想を持ちました。

ちなみに先進運転支援システムの装備の差は意外にもそれほどありません。8年も前に登場したアウトランダーPHEVですが、それでも「サポカーSワイド」に相当する内容となっています。何度かの改良を通して、衝突被害軽減ブレーキなどの機能が追加されています。とはいえ、細かな部分を見れば、当然、新しいRAV4 PHVの方が上。

RAV4 PHVに装備された走行車線をキープするために、ステアリングの操作をアシストする機能はアウトランダー PHEVには備わっていません。また、出力だけでなく、EV航続距離、ハイブリッド燃費性能も圧倒的にRAV4 PHVが勝っています。

細かなスペックを見比べれば、もちろん最新モデルであるRAV4 PHVが勝るのは当然です。しかし、アウトランダーPHEVがまったくダメというわけではありません。

乗用車ベースのハイブリッドカーからEV走行を多くしたRAV4 PHV。一方、アウトランダーPHEVは、EVベースのSUVが基本。比較すると、勝ち負けではなく、個性の差のような2台でありました。そういう意味では、デビュー8年にもなるアウトランダーPHEVも、まだまだ競争力十分と言えるのではないでしょうか。

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鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ