トヨタ センチュリーを中古で買ってみた

トヨタ センチュリー

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本編に入る前に、センチュリーを買うことを決めるまでのいきさつを少しお話ししたいと思います。私はクルマに関わる、見ること、運転すること、しゃべること、すべてが好きなのですが、中でも運転することが一番好きです。

クルマ好きの自分が欲しいと思うクルマがトヨタ車にはなかったので、日本でトヨタ車を好きで買うことは恐らくないだろうと思っていました。しかし一方で、ある年齢になったらトヨタ車を一度は買おうと思ってもいました。矛盾しますが。

買うときは、運転して楽しかろうが楽しくなかろうが、その時点で最新のトヨタ車、それもニッポン代表たる4C(=車名の頭にCがつくカローラ・コロナ(今はカムリ)・クラウン・センチュリー)の中から選ぶつもりでした。そのためにトヨタ車貯金もしていました。やはり日本人なら一度はトヨタ車に乗らないと、という思いで。

4Cの中から選ぶと決めていた理由は、世界中で売っているトヨタ車だから。やはり作りの本気度が違うと感じていたからです。時代と輸出地域限定だったクラウンと、ごく少数輸出されていただけの先代(GZG50型)は世界中でとまでは言えないでしょうけど、一応は代表車種なので。

文/写真・大田中 秀一

大田中 秀一|おおたなか しゅういち

乗りもの、特にクルマ好きで、見ること、乗ること、しゃべることすべてが好き。5年間のレース参戦経験を活かし、レーシングスクールインストラクターも時々務める。大型二種免許も所有していることもあり、運転技術に関しての研究も行なう。モビリティに関わることすべてを興味のままに取材、自動車専門誌並びにweb、経済ニュースサイトなどに寄稿している。世界のマイナーモーターショーウォッチャー、アセアン・ジャパニーズ・モータージャーナリスト・アソシエーション会長、インドネシアにも拠点がある無意識アセアンウォッチャー。

大田中 秀一
Chapter
車種選択の段になって急展開
どれを買うか?
結局どんな個体を買ったのか?

車種選択の段になって急展開

さて、年齢と貯金額共に設定したところに到達したので、いよいよ買う決断をして車種選定を始めました。折しもカローラ・スポーツとクラウンが新型に切り替わった直後です。マイナーチェンジが近いとの噂も出ていたカムリも、ちょっとカッコいいなとも思っていたので選択肢に入ります。

センチュリーは価格が別格過ぎてどうにもならないので圏外になりました。ハイブリッドは好きじゃないので除きます。
ハイブリッドしかないカムリ(その後海外向けV6エンジン車をベースにしたTOM’S C35が出ましたが)も除き、4気筒エンジンに500万円以上払いたくないという理由でクラウンも全滅になったので、残ったのはカローラ・スポーツ1.2だけでした。

なかなか楽しいクルマだったのでそれに決めようかというところまでいったのですが、セダンが遅れて発売されると聞き長考状態になってしまいました。そんなこんなのある日ふと、「あ、センチュリーの中古はどうだろう?」と思ったのです。
時は平成が終わり、令和になろうというころ。天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う国の儀式等がニュースで報道されるたびにたくさんのセンチュリーを目にしていました。悪友から“フーテンの皇太子”とありがたくないあだ名をつけられていたこともあり、乗るなら“今でしょ!”と、意識は急速にそちらに傾いていったのです。

もちろん、クルマとしても魅力を感じていました。恐らく最初で最後、二度と出ないだろうと思われる専用のV12エンジン、片バンクの6気筒でも走れることをはじめとした重要部分の二重系統、トヨタの職人の手作り、ボディに映った姿に歪みがない平滑性と深みにこだわった5層5ベイク塗装などくすぐられる特別感がたくさんありました。

どれを買うか?

どの店でどんな個体を買うか?です。

バリエーションは少ないので、フェンダーミラーかドアミラーか、コラムシフトかフロアシフトか、シートは本皮かファブリックか、前期型(1997年~2005年)か後期型(2005年~2017年)かくらいしか大きな違いがありません。

オプションも少なく、ステアリングは革巻きか本木目+革巻きか、後席右側ライティングテーブルや後席フットレスト、スポットライトの有無といった小さなもの。

ボディカラーは圧倒的に神威エターナルブラック、次いで摩周シリーンブルーマイカ。鸞鳳グロリアスグレーメタリックモリブデン・醍醐ウェルシーグリーンマイカP.I.O.(前期型のみ)・精華レイディエントシルバーメタリック(後期型のみ)・瑞雲デミュアーブルーマイカメタリックモリブデンはほとんど見ない。
醍醐は1台しか見なかったので全塗装かと疑ったほど。肝心の価格は、年式や走行距離、ワンオーナーかそれ以上か、トヨタのディーラーなのか一般中古車店なのかによってバラバラ。30万円から700万円までと幅広い。例えばこんな感じです。

1997年式/走行距離20万キロ/複数オーナー/一般中古車店/価格60万円
1997年式/走行距離10万キロ/複数オーナー/一般中古車店/価格30万円
2005年式/走行距離25万キロ/法人ワンオーナー/修復歴なし/トヨタ中古車店/価格250万円
2015年式/走行距離3万キロ/法人ワンオーナー/修復歴なし/一般中古車店/価格680万円
2014年式/走行距離5万キロ/法人ワンオーナー/修復歴なし/トヨタ中古車店/価格500万円
2014年式/走行距離10万キロ/法人ワンオーナー/修復歴なし/トヨタ中古車店/価格324万円

ネットでみただけでは程度も店の雰囲気もよくわからないので、50台以上はチェックした中から20台くらいは現車確認と運転席と後席試乗をしました。
実車を見るとやはり法人ワンオーナーか複数オーナーかで程度が全然違います。前者個体は専属運転手によって運転・掃除・ワックスがけが丁寧にされているし、メンテナンスもきっちりされているだろうということが雰囲気から感じられます。説明書類も揃っているし、記録簿にもトヨタディーラーでの整備記録が残っているケースがほとんどです。
後者の場合は、セカンド以降のオーナーがどんな整備や乗り方をしているかわからないし、乗りっぱなしに感じられる個体が多かった。販売店は、やはりトヨタの中古車店の方が安心できます。新車で販売したディーラーの中古車店に並ぶことが多いので素性や程度はいい。買った後の面倒見も確実。ただし価格は高め。

じゃあ一般中古車店はだめかというとそうでもなく、センチュリーが好きだとかこだわりがあって仕入れているという店もあるのでそんなに悪くはない感じです。価格もお得感があるし。そんな店は中古車情報をしばらくウォッチしているとなんとなくわかります。常に複数台の在庫があるとか、比較的回転が早いとか。

これだけの台数を見て乗って買ってみた経験からのおすすめは、トヨタ系の中古車販売店で法人ワンオーナーの後期型を買うこと。当たり前といえば当たり前ですが。
私は、せっかく買うのだから、よりセンチュリーらしい状態のものを買いたいと思い、法人ワンオーナーで修復歴なし、より雰囲気がいいファブリックシート、フェンダーミラー仕様の後期型と条件を決め、購入時期も決めて探しました。後期型はATが6速になったのとヘッドライトがHID化されているのが実用上いいと思ったからです。
前期型でも、もしかしたら醍醐という珍しい色が見つかるかもしれないし、自動車電話や自動車FAX、VHSビデオデッキなどもはや今は使えないけど見ることもなくなった昭和の贅沢装備がついている個体も多いので往時の雰囲気を楽しむこともできますから、そういうアイテムがお好きな方にはおもしろいかもしれません。

結局どんな個体を買ったのか?

上述の“2014年式/走行距離10万キロ/法人ワンオーナー/修復歴なし/トヨタ中古車店/価格324万円”を買いました。神威エターナルブラックでドアミラーや本革シート、オプションのライティングテーブルつきでした。

条件に合わない部分もありましたが、一期一会の中古車では妥協しないといつまで経っても買えないので、基本的な条件と出会ったタイミングで決めました。オーナーとなってみてどうだったのか?は、続編”中古のセンチュリーに乗ってみてどうだったのか?”につづきます。
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