アウディ Q8はSUVクーペの新時代を切り開くフラグシップモデル!?

SUVを示すアウディQモデルのフラッグシップがアウディQ8です。その中でも今回はさらにワンランク上の「S line」モデルに乗ることが出来ました。フラッグシップであると同時にアウディ自ら「SUVクーペ」を謳うスタイリッシュなフォルムを持っているのが特徴です。

文・斎藤 聡/写真・宮越 孝政

Chapter
アウディ Q8は筋肉ムキムキのマッチョなボディーのベビーフェイス?
インテリア(内装)はラグジュアリーサルーンを思わせるデザイン
クルマの重さを感じないトルクフルなエンジン!
強力な制動力とキビキビと走る運動性能
オールホイールステアリングによる取り回しの良さと安心感

アウディ Q8は筋肉ムキムキのマッチョなボディーのベビーフェイス?

もう少し見た印象をそのまま言葉にすると、ボディーは相当に大きく感じます。近くに寄ると威圧感を覚えるほどで、質量感があります。それでいながらキャビンはシュッとしていて小さく、流れるようなスマートなデザインになっています。

さしずめ筋肉ムキムキのマッチョなボディーのベビーフェイス、そんな印象があります。改めてカタログを見てみると、ボディサイズは全長5,005mm×全幅1,995mm×全高1705mm。ホイールベースは2,995mmあります。

今回、試乗したS lineは、ノーマルよりも全長が10mm長くなっていて、車両重量が10kg軽い2,200kgとなっているのが特徴です。乗用車でいうと、メルセデスベンツのSクラス、BMWの7シリーズ、アウディならA8のラグジュアリーセダンのサイズです。

インテリア(内装)はラグジュアリーサルーンを思わせるデザイン

インテリアもモダンで上質なラグジュアリーセダンを思わせるデザインです。武骨さは微塵もありません。センターコンソールにはインフォテインメント用の10.1インチのアッパースクリーンと、空調用の8.6インチのローワースクリーンと2つのモニターが配置されています。

メーターパネルもバーチャルコックピットと呼ばれる12.3インチのカラー液晶フルデジタルディスプレイで、メーターやマップが表示されます。このコックピットから外を見ていると、その快適な居住性とモダンなインテリアから、車高の高いラグジュアリーサルーンに乗っているかのようです。

クルマの重さを感じないトルクフルなエンジン!

先にマッチョなボディーのベビーフェイスと書きましたが、走らせた印象もそのままといったものです。

搭載するエンジンは3L V6DOHCツインターボで最高出力340ps。最大トルクは500Nmを発揮します。しかも、このパワートレインはリチウムイオンバッテリーを使った48Vのマイルドハイブリッドなので、シチュエーションに応じてモーターが駆動力をアシストしてくれます。

具体的には、発進やフル加速時の駆動アシストです。最高出力・最大トルクに差は現れませんが、実用領域の特にモーターが得意とする発進や低速走行時のトルクのかさ上げ効果があります。なにしろ走っていて、ボディ重量が2,200kgもあることをほとんど感じさせません。

たいてい発進や低速の低いエンジン回転から加速するときに、クルマの重さを意識させられることが多いのですが、そんな場面でもクルマを重いと感じないのです。

強力な制動力とキビキビと走る運動性能

減速も、強力なブレーキでしっかり減速してくれるので、普通に走っている限りはストッピングパワーの不足は感じません。きつめの下り坂で、速いスピードでブレーキをかけても、感覚以上の質量を減速させてくれます。

足腰もしっかりしています。駆動方式はクワトロ4WD。駆動トルク配分40対60を基本に、最大15対85から70対30まで駆動配分が変化するタイプです。これを実現しているのが、センターデフに採用されているトルセンセンターデフによるものです。

この4WDシステムの良さは、電子制御によるブレーキコントロールは行っていますが、4WDシステム自体は機械式によって前後駆動力配分をプログレッシブに変化させるので、作動がとてもナチュラルであることです。

また、センターデフにはイニシャルトルクがかかっていないので、左右方向への動きがとても軽いのも特徴の一つ。巨体をフットワーク良く走らせてくれる要因の一つでもあります。

オールホイールステアリングによる取り回しの良さと安心感

フットワークについてもう少し掘り下げると、重要なメカニズムが一つ搭載されています。それはオールホイールステアリング(オプション)です。最大5度後輪が操舵することが出来る4輪操舵システムです。

実際に走らせた印象でいうと、タイトな低速コーナーでは後輪はハンドルを切ったのと逆方向(逆位相)に切れ、まるでホイールベースが短くなったかのような軽快な身のこなしを見せてくれます。

ちなみに最小回転半径は、オールホイールステアリング無しが6.2mに対し、有りだと5.2mです。Uターンはちょっと厳しいかな?と思うような道路でもスルリとUターンできてしまう取り回しの良さもあります。

一般的に4輪操舵がついたクルマは、カーブでハンドルを切ると、クルマが予想より内側に寄ってしまったり、クルマの動きに違和感を覚えるのですが、Q8に搭載されている4輪操舵は不思議なくらい違和感がありません。これはQ7・A8に採用されているものと同じで、いずれもとてもナチュラルなドライブフィールを持っています。

また一般道を走っている時に感じることは少ないですが、高速コーナーに行くと今度はタイヤが基本的には同じ方向(同位相)に切れます。まるでホイールベースが伸びたかのような、ドシッとした安心感が加わります。

ともかく、必要な場面では機敏に。安心感が欲しい場面ではどっしりとした乗り味を作り出してくれます。ボディサイズからは考えられないくらいの取り回しの良さと軽快なフットワークを持っています。

今回、試乗して感じたのは、「Audi Q8はSUVクーペという新たな時代を切り拓く、至高のフラッグシップモデル」と謳うだけのクルマだ!と、いう一言に尽きます。1000万円を超える車両価格ですが、乗れば納得できる。むしろおトクなクルマだ、と感じられるはずです。

諸元表

試乗車
アウディQ8 55 TFSI Quattro debut package S Line + comfort assistance  package

エンジン
V型6気筒DOHC インタークーラー付ターボチャージャー(1気筒=4バルブ)
総排気量
2,994 cc
最高出力[ネット]
250(340)/ 5,200 - 6,400  kW (PS) / rpm
最大トルク[ネット]
500(51)/ 1,370 - 4,500  Nm (kgm) / rpm
トランスミッション
8速 ティプトロニックトランスミッション

タイヤ

275/50 R20

ボディサイズ

全長5,005mm×全幅1,995mm×全高1705mm
ホイールベース
2,995mm

車両重量

2,140 kg

トランク容量

605 L (VDA値)

燃料タンク容量
85 L
燃費
10.3 km / L (JC08モード)

斎藤 聡 | SATOSHI SAITO

モータージャーナリスト。車両のインプレッションはもちろん、タイヤやサスペンションについて造詣が深く、業界内でも頼りにされている存在。多数の自動車雑誌やWEBマガジンで活躍中。某メーカーのドライビングインストラクターを務めるなど、わかりやすい解説も人気のヒミツ。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カーオブザイヤー選考委員。

斎藤 聡 | SATOSHI SAITO