スバル初のプラグインハイブリッドが日本上陸、2モーターの電気式CVTのAWD仕様

スバル クロストレックハイブリッド 2019

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2019年もパシフィコ横浜にて人とくるまのテクノロジー展2019横浜(主催:公益社団法人 自動車技術会)が開催されました。大小さまざまな自動車技術に関連した600社を超える出展者が集まった日本最大の自動車技術展です。

その会場にはクルマ好きであれば興味深いパーツやアイデアがいっぱいでしたが、なかでも気になったのはスバルが展示していた「CROSSTREK HYBRID(クロストレック ハイブリッド)」です。

文/写・山本 晋也
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北米では「クロストレック ハイブリッド」として販売
水平対向エンジンは特別なアトキンソンサイクル仕様
電気式リニアトロニックは2つのモーターを内蔵する

北米では「クロストレック ハイブリッド」として販売

これは北米で販売されているプラグインハイブリッドカー。クロストレックというのは日本でいうとSUBARU XVのことですが、このクロストレック ハイブリッドが搭載しているハイブリッドシステムは日本仕様に積まれるe-BOXERとは完全に別物です。

e-BOXERは水平対向エンジンCVTのパワートレインにワンモーターをプラスしたマイルドハイブリッドに分類される構成ですが、クロストレック ハイブリッドのシステムはエンジンを発電と駆動の両方につかうスプリットタイプのストロングハイブリッドといえるもの。

わかりやすくいうとプリウスなどトヨタのハイブリッドシステムと似ています。実際、クロストレック ハイブリッドの開発においてはアライアンスを利用してトヨタの技術を利用していますから、偶然似ているわけではなく、必然として似ているのです。

水平対向エンジンは特別なアトキンソンサイクル仕様

しかし、スバルのプラグインハイブリッドはトヨタとは異なります。たしかに2つのモーターと動力分割機構についてはトヨタの技術を利用していますが、AWDシステムなどはスバル独自ですし、もちろんエンジンもスバルのアイデンティティである水平対向エンジンを搭載しています。

そのエンジンは、総排気量1,995ccのFB20型を搭載していますが、エンジンルームの眺めはかなり異なります。まずエンジンの上にエアコンの電動コンプレッサーが乗っているのが確認できます。これはEV走行時でも空調を効かせるための変更点で、ヒートポンプ式を使っています。

さらにエンジン本体も他のグレードとは異なるといいます。クランクシャフトのメタルサイズを変更することでフリクションを減らしたり、カムシャフトのプロフィールによりアトキンソンサイクルとしたりといった変更がなされているのです。

スプリット型ハイブリッドはエンジンで駆動する領域もありますが、エンジンで発電してモーターが駆動を担う領域もあります。全体を考えると、アトキンソンサイクルにして効率を上げることがプラグインハイブリッドらしい燃費性能につながるというわけです。

電気式リニアトロニックは2つのモーターを内蔵する

発電用と駆動用、2つのモーターと動力分割機構を内蔵した電気式CVTは「TH2A」という名前が与えられています。このトランスミッションの後ろについているのが電動カップリングです。

他のスバル車では油圧によって前後駆動力配分などを制御するカップリングですが、フルハイブリッド化に合わせて、こちらも電動タイプとなっています。

燃費を稼ぐには2WD(二輪駆動)のほうが有利と思えますが、プラグインハイブリッドであってもスバルらしい走りの安定感を生むにはAWDが必須ということで専用のカップリングが与えられているのです。

また、AWDとすることで減速エネルギーによってバッテリーを充電する回生ブレーキが効果的に利用できるといいます。電動カップリングの制御には、そうしたロジックが込められています。トヨタの技術を利用はしていますが、しっかりとスバルのマインドによるプラグインハイブリッドというわけです。
なお、クロストレック ハイブリッドのリリースには北米での規制に対応するという意味が強く、日本での発売は未定ということですが、こうして日本で展示したということは国内投入についての可能性がゼロというわけではなさそうです。期待しましょう。
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