ゼロヨンとは何か|0-400mドラッグレースの基礎知識

日産 GT-R

※この記事には広告が含まれます

クルマ好きの間でしばしば耳にする「ゼロヨン」という言葉があります。その意味や魅力をご存じでしょうか?

ゼロヨンとは、自動車の加速力を示す一つの指標であり、モータースポーツの一種でもあります。

本記事では「ゼロヨン」の意味(定義や由来)から、その魅力(なぜ人気なのか)、さらにゼロヨンが速い国産車の代表例まで、初心者にもわかりやすく解説します。読み終えれば、ゼロヨンの世界にぐっと興味が湧くことでしょう。

CARPRIME編集部

クルマ情報マガジン CARPRIME[カープライム]を運営。
「カーライフを楽しむ全ての人に」を理念に掲げ、編集に取り組んでいます。

CARPRIME編集部
Chapter
ゼロヨンとは?
ゼロヨンが人気の理由|短距離加速競技が人々を魅了するワケ
ゼロヨン最速クラスの国産車5選|GT-RからGRスープラまで
ゼロヨン入門まとめ|400mに賭ける「速さのロマン」

ゼロヨンとは?

「ゼロヨン」とは、停止状態から400mの距離をいかに速く走り抜けるか、その加速タイムを競う自動車レース、いわゆる「ドラッグレース」の日本における通称です。

その距離は、ドラッグレースの本場アメリカでの基準である約1/4マイル(約402.3m)に由来します。基本的には直線コースで2台の車が同時にスタートし、ゴールするまでの時間(タイム)と、ゴール時の速度を競います。とてもシンプルなルールで、どちらの車が速いか一目でわかるのが特徴です。


「ゼロヨン」という名称は、その名の通り「0(ゼロ)から400m」の略称です。発祥はアメリカで、1950〜60年代頃に若者たちが、街の信号から次の信号までの間など、身近な距離で速さを競うストリートレースを行っていたことが起源の一つと言われています。こうした文化が発展し、後に「ドラッグレース」という正式なモータースポーツ競技へと昇華しました。

米国では、全米ホットロッド協会(NHRA)といった統括団体が存在し、細かくクラス分けされたプロのドラッグレース競技が確立されたスポーツとして人気を博しています。日本でも、1970年代に国内初の常設ドラッグレースコースが開設されるなど、公式競技として開催された時期がありました。

しかしその一方で、公道での違法なストリートレースとしても行われた歴史があり、深夜に一般道を占拠して0-400mのタイムを競う暴走行為が「ゼロヨン」と呼ばれることもありました。もちろん、公道でのレース行為は極めて危険で許されない犯罪ですが、それほどまでに当時の若者が自動車の加速競争に熱中していた時代背景がうかがえます。


ゼロヨンは、かつてクルマの動力性能を分かりやすく示す重要な指標でした。実際、1960年代後半から1980年代頃にかけては、多くの自動車メーカーが自社のスポーツモデルや高性能グレードの性能をアピールするために、カタログや広告に最高速度と並んで「0→400m加速 ○○秒」というデータを積極的に掲載していました。

当時は、スポーティなファミリーセダンやクーペなど、走りを意識した幅広い車種でこのタイムが競われ、クルマ選びにおける重要な目安の一つとなっていたのです。こうした背景から、ゼロヨンタイムは一時期、車のセールスポイントとして大きな役割を担っていました。

ゼロヨンが人気の理由|短距離加速競技が人々を魅了するワケ

ゼロヨン(ドラッグレース)が人気を集める理由は、そのわかりやすさと凝縮されたスリルにあります。勝敗は、車種にもよりますが、ほんの十数秒で決まる短期決戦。スタートの合図からゴールまで、息をのむ間に一気に勝負がつくため、そのスピード感は抜群です。
複雑なコーナリング技術や長時間の駆け引きは必要なく、「どちらの車が速く400mを走り抜けるか」という極めてシンプルな競走なので、モータースポーツに詳しくない初心者でも直感的に楽しめるのが大きな魅力です。

また、競技中の光景も非常に迫力があります。スタート時にタイヤを空転させて暖め、もうもうと立ち上る白煙(バーンアウト)。エンジンが発する轟音とともに、マシンが猛然と加速していく姿は、見る者に強烈な印象を与えます。
直線をただひたすら真っ直ぐに駆け抜けるというシンプルさゆえに、マシンの持つ純粋なパワーや、それを路面に伝えるドライバーのテクニック(スタート時の反応速度やシフトチェンジの精度など)が凝縮されて発揮され、観客は純粋に「速さ」という魅力を堪能できます。

さらに、ゼロヨンは誰にでも結果がはっきりと分かる競技でもあります。先に述べたようにルールが単純明快なので、詳しい知識がなくても「速い車ってすごい」と素直に盛り上がれる点も人気の理由でしょう。

映画やゲームなどでドラッグレースのシーンが描かれることも多く(有名な映画『ワイルド・スピード』シリーズの序盤でもゼロヨン勝負が登場します)、そうしたメディアを通じてゼロヨンの存在を知り、興味を持つ人もいます。短い時間で最大のインパクトを味わえるゼロヨンは、まさにスピード好きにはたまらない見どころに溢れた競技なのです。


ゼロヨン最速クラスの国産車5選|GT-RからGRスープラまで

  • 日産 GT-R(R35)|0-400m 10-11秒台の国産最速マシン
  • ホンダ NSX(2代目)|ハイブリッド4WDで10秒台を叩き出すスーパースポーツ
  • スバル WRX STI|0-400m 約13秒台のラリーベーススポーツ
  • 三菱 ランサーエボリューション|12〜13秒台を誇る4WDターボ
  • トヨタ GRスープラ|0-400m 12秒台前半を記録するFRスポーツ

※上記のタイムは、プロドライバーによる国内外のメディアでのテスト結果や、一般的な参考値の一例です。車両の年式やグレード、コンディション、路面状況、気候などによってタイムは変動します。改造無しの市販状態でこれだけのタイムを叩き出す国産車が存在するのは驚きですね。

ゼロヨン入門まとめ|400mに賭ける「速さのロマン」

ここまでゼロヨンの意味や由来、そしてその魅力と、優れた加速性能を持つ国産車の例について解説しました。ゼロヨンは、停止状態から400m先まで一気に駆け抜けるというシンプルさゆえに、クルマの持つ純粋な加速性能とパワーを体感できる魅力的な世界です

かつては自動車カタログに載るほど重視された性能指標でしたが、現代では0-100km/h加速タイムや、追い越し加速など実用域での速さを示す指標がより注目される傾向もあり、ゼロヨンタイム自体の注目度は以前より少し落ち着いているのが実情かもしれません。

しかし、だからといってゼロヨンの面白さが色あせたわけではありません。短い直線距離に技術と情熱を注ぎ込み、ほんの数秒にすべてを賭けるドラマは、今もなお多くの人々を惹きつけます。


もし機会があれば、ぜひゼロヨン(ドラッグレース)の映像やイベントなどをチェックしてみてください。きっと、その圧倒的な「速さの魅力」にワクワクするはずです。

ゼロヨンの世界は、初心者でも直感的に楽しめる奥深いクルマ文化の一つとして、これからもファンの間で密かに息づいていくことでしょう。
【お得情報あり】CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細