3段階に働く気筒休止システム「VCM」とは?かつてホンダが開発
更新日:2024.09.09
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気筒休止システムと言えば、1980年代にキャデラックのV8エンジンに始まり、世界中に波及。マツダがCX-5に採用したニュースは記憶に新しいところです。その気筒休止システムは、一時期ホンダが注力しており、3段階に働く気筒休止システムをつくり出し、2007年にアコードに初めて採用されました。この3段階の気筒休止システムとは、どのような働きをし、どのようなメリットがあったのでしょうか。
ホンダの気筒休止システム「VCM」とは?
ホンダは、気筒休止システムをVCM(ヴァリアブル・シリンダー・マネージメント)と名づけています。これは走行中、エンジンのいくつかの気筒を休止させ、燃費を向上(ガソリンを節約)するものです。
VCMは、比較的トルクに余裕のある3.5LのV型6気筒エンジンに採用され、6気筒、4気筒、3気筒の3段階の気筒休止を、走行状況によって切り替えます。
VCMは、比較的トルクに余裕のある3.5LのV型6気筒エンジンに採用され、6気筒、4気筒、3気筒の3段階の気筒休止を、走行状況によって切り替えます。
「VCM」はどんなときに機能する?
"気筒休止システム"と言えば、それまでほとんどのエンジンが、高速巡行時のエンジンに負荷がかからないときにしか作動しないものでした。しかし、VCMは市街地の走行でも積極的に気筒を休止します。これは、3.5L V6という余裕のある排気量であったことも要因でしょう。
例えば、市街地や巡航速度が一定の低い出力で走れる条件下では3気筒になり、高速巡航時のおだやかな加速で4気筒で走行。発進や加速、登攀時は、6気筒と切り替わります。それをドライバーに意識させることなく、アクセルの踏み込み量に応じて自動で行っているのです。
VCMによって休止した気筒の吸排気バルブは、閉じたままになります。これには、VTECの存在が貢献しています。
例えば、市街地や巡航速度が一定の低い出力で走れる条件下では3気筒になり、高速巡航時のおだやかな加速で4気筒で走行。発進や加速、登攀時は、6気筒と切り替わります。それをドライバーに意識させることなく、アクセルの踏み込み量に応じて自動で行っているのです。
VCMによって休止した気筒の吸排気バルブは、閉じたままになります。これには、VTECの存在が貢献しています。
なぜ気筒休止で燃費が良くなるのか?
バルブを閉じてしまうとピストンが上昇するときに抵抗になりますが、シリンダー内で圧縮された空気はピストンを押し下げる力にもなるので、この分のロスはほぼゼロ。さらにバルブを閉じることが、ポンピングロスの低減につながり、結果、燃費が向上します。
さらに3気筒燃焼時はスロットルを開き気味にすることで、燃焼している気筒に吸気がしやすい状態を作り出し、ここでも吸気のポンピングロス低減が起こり、燃費の向上につなげているのです。
さらに3気筒燃焼時はスロットルを開き気味にすることで、燃焼している気筒に吸気がしやすい状態を作り出し、ここでも吸気のポンピングロス低減が起こり、燃費の向上につなげているのです。
3段階の気筒休止システムは、ホンダだけの技術
エンジン性能に関して、評価の高いホンダならではともいえるVCMは、他社の気筒休止システムとはひと味違った仕上がりでした。ただ大排気量のV6ということもあり、搭載はアコードやインスパイアなどのやや高級な車種に限られていました。
複雑でコストがかかりそうなVCMですが、現行型NSXのV6エンジンと組み合わせれば、より燃費に優れたスポーツカーを作ることができるのではないでしょうか。
複雑でコストがかかりそうなVCMですが、現行型NSXのV6エンジンと組み合わせれば、より燃費に優れたスポーツカーを作ることができるのではないでしょうか。