2代目フィアット ムルティプラとは|思わず二度見する強烈な個性!

フィアット ムルティプラ

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フィアット ムルティプラ。ミニバンなのに、すれ違った瞬間、思わず二度見してしまう。そんな強烈な個性を持ったイタリア車が、かつて存在しました。いわば普通の実用車でありながら、日本メーカーには真似できないスタイリングで登場した、超個性派、フィアット ムルティプラについて初代 フィアット 600 ムルティプラ、マイナーチェンジを果たし、フェイスリフトをしたフィアット ムルティプラもあわせて紹介します。

文・西山昭智
Chapter
フィアット ムルティプラの誕生
30年の時を超えて復活したフィアット ムルティプラは、かわいい?ダサい?などデザインは賛否両論だった
マイナーチェンジをしフェイスリフトしたフィアット ムルティプラ
2代目 フィアット ムルティプラ 画像
3代目 フィアット ムルティプラ 2004年モデル 画像
2代目も3代目も、フィアット ムルティプラは時代を先取りしすぎたミニバン?
2代目 フィアット ムルティプラ
フェイスリフトを果たした フィアット ムルティプラ

フィアット ムルティプラの誕生

フィアット ムルティプラという名前は、往年のラテン車好きの方にとっては懐かしい名前でしょう。トポリーノの愛称で有名な初代フィアット500が生産を終了した1955年、フィアット 600という車が登場したことが初代 フィアット ムルティプラが誕生するきっかけとなりました。

フィアットにおける最初のリアエンジン車であった600(セイチェント)は、1957年に発売され、大ヒットとなるヌォーバ500の上級車種として、当時のソ連でもライセンス生産がされるほどの人気でした。そのセイチェントの派生型モデルとして、1956年に初代 フィアット ムルティプラが誕生するのです。

RR(リアエンジンリアドライブ)のレイアウトを活かしたフィアット 600 ムルティプラは、2座×3列=6人乗りのピープルムーバー(ミニバン)として開発されました。

ボンネットのないワンボックススタイルは、どこか可愛げでユーモラスな印象。名前は、イタリア語で「多目的な」という意味でした。

30年の時を超えて復活したフィアット ムルティプラは、かわいい?ダサい?などデザインは賛否両論だった

初代 フィアット ムルティプラの誕生からおよそ30年後の1998年に、フィアットからふたたびムルティプラの名前を冠したモデルが発表されました。しかしその見た目は、初代とはまったくかけ離れた奇妙な出で立ちで、発表当時はダサい?かわいい?など、賛否両論さまざまだったと言われています。

一般的な車はボンネットからAピラーまで流れるようなラインを描いていますが、フィアット ムルティプラはAピラーの根もと部分にあえて段を設け、そこからフロントウィンドウが始まっているのです。しかもその段の部分にハイビーム用のライトを埋め込むという、独創的なスタイリングとなっていました。
2代目 フィアット ムルティプラは、全長3,995mm×全幅1,870mm×全高1,670mmと、全長が極端に短いサイコロのようなフォルムは、全長4メートルを超えると欧州のカーフェリー料金が高くなることを考慮したものでした。
2代目 フィアット ムルティプラは、フロントマスクだけでなくリアスタイルも真四角に近い強烈なカタチをしており、テールレンズの処理もじつに個性的。
内装は、3列シートに合わせてセンターコンソールにシフトレバーが配置され、センターメーターまわりにエアコンの吹き出し口や各種スイッチが並ぶという、こちらも負けず劣らずの変わりっぷりでした。
ちなみにフィアットのエンブレムは、ボンネット先端にはなく、ハイビームの間(フロントウインドウの下)という位置についています。

マイナーチェンジをしフェイスリフトしたフィアット ムルティプラ

強烈なスタイリングを持つムルティプラ。しかし周囲の酷評に影響されてしまったのか、2004年のマイナーチェンジでフェイスリフトを敢行。没個性的なミニバンとなってしまい、ムルティプラのファンをがっかりさせる結果となってしまいました。

2代目 フィアット ムルティプラ 画像

3代目 フィアット ムルティプラ 2004年モデル 画像

2代目も3代目も、フィアット ムルティプラは時代を先取りしすぎたミニバン?

2代目 フィアット ムルティプラ

フェイスリフトを果たした フィアット ムルティプラ

6座すべてが独立シートを備え、運転席以外は折りたためるだけでなく取り外すことができるなど、実用性の高さではかなり秀逸だった2代目ムルティプラ。

駆動方式はFFレイアウトを採用しているものの、6名乗車という初代の伝統はしっかりと守っています(ただしこちらは3座×2列)。
車両価格もベースグレードのELXが¥2,490,000と控えめで、十分国産のミニバンにも対抗しうるポテンシャルを秘めていたものの、MTのみの設定でAT仕様が無かったことと、アクの強すぎるスタイリングが災いしたのか、残念ながら日本で人気が出ることはありませんでした。

とはいえ、ミニカー向き?とも言える、その独創的なアイディアはのちのミニバンにも通じるものがあり、センターメーターをいち早く導入するなど、時代を先取りしていた1台と言えるでしょう。
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