トルクを集める新型オイル 〜MOTUL 300V FACTORY LINE

ahead オイル

※この記事には広告が含まれます

クルマ、バイクを問わず、キャリアのある人はエンジンオイルの銘柄を変えることを嫌がる。特にエンジンの中身に精通している人ほど新しいモノを受け付けない傾向が強い。

text:神尾 成 [aheadアーカイブス vol.129 2013年8月号]
Chapter
トルクを集める新型オイル 〜MOTUL 300V FACTORY LINE

トルクを集める新型オイル 〜MOTUL 300V FACTORY LINE

▶︎先頃発表されたSUZUKIの次期モトGPマシンにもMOTULのロゴが入る。レース専用エンジンの開発にはオイルメーカーの全面的な協力が必要となるのだ。トップカテゴリーの世界でオイルは、エンジンパーツとして重要な役割を占めている。


彼らは高価なオイルでもエンジンと相性が悪ければ、パフォーマンスが落ちるだけでなく、エンジンの寿命を縮めることをよく知っているからだ。かく言う自分も使用した経験のないオイルに交換するのは抵抗感がある。過去に宣伝文句に踊らされて何度か痛い目にあってきた。雑誌の企画とはいえ、自腹を切って買った自分の愛車に、実績のないオイルは入れたくないのが本音だ。

しかし今回、MOTULの新型オイル「300V FACTORY LINE」を、現在所有する「DAYTONA675」に入れてみることにした。察しの通り、営業的な兼ね合いという理由もあるが、それ以上に「300V FACTORY LINE」は、今までの「300V」のウイークポイントを改善したと聞いたので試してみたくなったのだ。
 
実は10年ほど前に当時の「300V」を使用した際、オイルが原因と思われる不具合に悩まされた。高回転まで回る160psオーバーのエンジンに入れたことや、サーキットでの使用が多かったことなど、様々な事情が重なったものの、結果として納得できる性能ではなかった。

そういう個人的な見解は別としても、「300V FACTORY LINE」は、7年の歳月を掛けてそれまでの問題点を克服し、理想の「オンロードスポーツ専用オイル」を開発したというのだから期待してしまう。全く不安がなかったわけではないが、モトGPマシンの開発に参加したノウハウを反映しているということも安心材料となった。
 
実際に「DAYTONA675」に入れてみると、メカニカルノイズは硬質になったが、フリクションが極端に減ったように感じられる。この手のオイルらしく吹け上がりが鋭くなるのは当然として、アクセルを戻したときの回転の落ちもかなり早い。そして特筆すべきは、全閉時の「バラララッー」の状態から、開け始めて「フォーン」とエンジン音がまとまるまでの時間が、今までより圧倒的に短くなった点だ。

トルクが沸き上がってくる〝待ち〟の時間が少ない分、ダイレクト感が強まって車体姿勢を変えやすく、車重が軽くなったようにさえ思える。さらにトルクの谷がボカされ、フラットなレスポンスに変化したのでこれまでより躊躇なく開けていけるのだ。
 
「300V FACTORY LINE」の使用を開始して約1000キロ、2ヵ月ほど経つが、今のところネガティブな印象は持っていない。副産物として水温が安定したことで電動ファンの始動回数が減り、内圧も上がらないのかエンジンのタレを感じることも少なくなった。また最近では、メカニカルノイズの角も取れてきたように思う。

この「300V FACTORY LINE」は高価なオイルだが、スポーツライディングを趣味としているのなら試してみる価値が充分にあるチューニングパーツだ。老舗オイルブランドの底力を見せつけられた気がした。

MOTULはYAMAHA系のモトGPチーム「TECH(テック)3」を長年サポートしている。このフランスの名門は、サテライトながらワークスイーターとして注目される存在。今期も「カル・クラッチロー」選手が何度も表彰台に立つ活躍をみせる。
MOTUL 300V FACTORY LINE
ファクトリーチームとのパートナーシップによって培った「エステルコアテクノロジー」から誕生したオートバイ専用の100%化学合成油。従来品と比べて1.3%の出力向上と2.5%のトルクアップを達成した。耐摩耗性を損ねることなくギア保護性能と湿式クラッチ性能を維持。オン、オフそれぞれの専用品をラインアップする。

問い合わせ:テクノイル・ジャポンK.K.
フリーダイヤル:0120(359)300 www.motul.com
---------------------------------
text:神尾 成/Sei Kamio 
1964年生まれ。神戸市出身。新聞社のプレスライダー、大型バイク用品店の開発、アフターバイクパーツの企画開発、カスタムバイクのセットアップ等に携わり、2010年3月号から2017年1月号に渡りahead編集長を務めた。現在もプランナーとしてaheadに関わっている。
【お得情報あり】CarMe & CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細