ボーダーレスの時代

アヘッド ボーダーレスの時代

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カテゴリやジャンルがはっきりしていれば、相手に伝わりやすく、理解されやすい。そして受け入れる側も迷いを持たずにすむ。しかしここ数年、カテゴリの区分けが難しいモノや、新しいジャンルも増えてきた。クルマやオートバイに限った話ではないが、数字だけでは計れない部分や、言葉化しにくいニュアンスこそが判断の決め手だったりもする。感性を研ぎ澄まし、自らの意思や価値観で物事を判断していくことが必要な時代になってきているのだ。

text:世良耕太、藤原よしお、森口将之 photo:渕本智信、藤原よしお [aheadアーカイブス vol.134 2014年1月号]
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排気量神話の崩壊 世良耕太
テイストで守られるレギュレーション 藤原よしお
ボーダーを埋める時代 森口将之

排気量神話の崩壊 世良耕太

東京モーターショーの展示車両や、その前後の国産自動車メーカーの動きから感じたのは、国産ブランドもようやく過給ダウンサイジングに向けて舵を切り始めたということだ。2012年に日産が「エコスーパーチャージャー」を謳ってノートに1.2ℓの過給ダウンサイジングエンジンを搭載してみたが、フォロワーは現れなかった。ところがここにきて、大きな波が来ているのを感じる。

過給ダウンサイジングとは、エンジンの排気量を小さくするかわりにターボチャージャースーパーチャージャーといった過給機を取り付け、排気量減少分の出力とトルクを補うという考え方だ。仮に、出力のピークが過給機を取り付けない自然吸気エンジンと同じだったとしても、トルクは自然吸気エンジンより太く、しかも低回転から発生するのがメリットになる。

過給機の効果で、発進した直後から力強いし、何より運転していて気持ちが良い。低回転から力強いディーゼルエンジンの走りに慣れたヨーロッパで、ガソリン過給ダウンサイジングが定着しているのは、ここに理由がある。

過給ダウンサイジングのメリットは他にもある。低い回転域から力があるので、高回転まで回す必要がない。高速道路を定速で走りつづけるような状況では、自然吸気エンジンより低い回転で巡航することができる。このおかげで燃料の消費が少なくて済み、燃費が良くなるのだ。

つまり、過給ダウンサイジングエンジンは、気持ち良く走れて燃費に優れるパワーユニットということになる。良いことずくめのようだが、日本市場ではなかなか浸透しなかった。というより、日本の自動車メーカーは「浸透しないだろう」と決めつけて、過給ダウンサイジングに本腰を入れて取り組んでこなかった。なぜなら、国内市場ではエコといえばハイブリッドのイメージが定着していたし、ターボといえば'80年代から'90年代にかけての〝昔のターボ〟を思い起こさせ、「燃費が悪い」と決めつける風潮が残っていたからだ。それに、「排気量は大きい方がエライ」という価値観が幅を利かせていたというのもある。

初代トヨタ・カローラが「プラス100ccの余裕」という広告コピーで登場したのは昭和41年のこと。排気量1ℓの日産サニーを多分に意識しての広告戦略だった。昭和45年にデビューした二代目のサニーは、1.1ℓのカローラに対抗して排気量を1.2ℓに引き上げ、「隣のクルマが小さく見えます」の広告コピーで逆襲した。以来、日本人の中に、排気量は大きい方がエライとする排気量神話が刷り込まれていく。

意識の変化を促したのはフォルクスワーゲン(以下VW)のゴルフだ。VWは'05年、1.4ℓ直4直噴エンジンに過給機を組み合わせた「TSI」を5代目ゴルフに載せた。伝達効率に優れたDCT(デュアルクラッチトランスミッション)との組み合わせもユーザーの意識を変化させるのに役立った。排気量が大きければ力は出るけれど、燃費の悪化を覚悟しなければならない。ところが最新の過給機付きエンジンは、直噴システムの効果により、大きな排気量と同等の力を低い回転域から得られて燃費も良い。それに制御技術の進化により、ターボの弱点だった応答遅れ(ターボラグ)も感じない。

過給ダウンサイジングを取り入れたモデルはその後、BMWやメルセデス・ベンツ、プジョーやルノー、フィアット、アルファロメオなどが相次いで投入した。

海外ブランドの地道な攻勢により、大きな排気量のクルマを手に入れて見栄を張るより、小さな排気量で気持ち良く走って財布にも優しいクルマを選んだ方が賢いという意識が浸透しだした。国産メーカーも今なら大丈夫、と踏んだのかもしれない。トヨタといえばハイブリッドのイメージが強いが、プレミアムブランドのレクサスは、SUVのコンセプトカーに搭載する想定で、2ℓ・直4直噴ターボの実機を東京モーターショーに展示した。

三菱は3台のコンセプトカーを展示したが、搭載するのはすべて過給ダウンサイジングエンジンである。ホンダはモーターショーにこそ展示していなかったが、開幕直前に、1ℓの3気筒、1.5ℓと2ℓの直列4気筒の3機種の直噴ターボエンジンを一挙に発表した。スバルのレヴォーグは大ヒットした頃のレガシィの再来として話題を集めているが、注目は新開発の1・6ℓ水平対向4気筒直噴ターボをラインアップに加えたことだ。

過給ダウンサイジングエンジンを選ぶユーザーが主流になったとき、国内マーケットを支配していた排気量神話は崩壊したことになる。

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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/

MERCEDES BENZ E250

メルセデス・ベンツ E250
▶E250は兄弟車に3.5ℓV6(NA)を積むE300が存在するが、車両のサイズ(全長4,880mm)から考えるとE250の方が適正だと思われる。2ℓ・直4ターボを積むE250の最大トルクは350Nm。3.5ℓより低回転から太いトルクを発生する。

VW PASSART

フォルクス・ワーゲン パサート
▶全長は4,785mmで車両サイズ的にはメルセデス・ベンツEクラスと同等。にも関わらず、1.4ℓ直4ターボ(90kW/200Nm)で何ら力不足は感じない。最大トルクが低い回転(1,500rpm)で発生するからだ。

VW GOLF

フォルクス・ワーゲン ゴルフ
▶5代目ゴルフのTSI(過給エンジンの総称)が過給ダウンサイジングブームの火付け役になった。伝達効率の良いDSGと呼ばれるデュアルクラッチトランスミッション(通常DCT)と共に、現在の7代目(写真)にも継承されている。

CITOROEN C5

シトロエン C5
▶BMWと共同開発した1.6ℓ・直4ターボ(115kW/240Nm)を積む。全長は4,795mmで、Eクラスやパサートと同じ。日本車に当てはめればクラウンサイズだが、過給エンジンなら排気量は2ℓ以下で十分である。

PEUGEOT 508

プジョー 508
▶パワートレインはシトロエンC5と共通の1.6ℓターボ。6速ATはアイシン・エィ・ダブリュ製。上質な走りを生むには、エンジンやトランスミッションの制御も重要になるのだ。効率だけを追い求めれば良いわけではない。

FIAT 500 twinAir

フィアット500 ツインエア
▶875ccの直列2気筒エンジンを搭載。1ℓ以下の排気量で2気筒、3気筒、4気筒と比較検討した結果、最も燃焼効率が高い2気筒を選択した。振動面で課題が残るが、それをエンジンの鼓動と捉える向きもある。

PEUGEOT 508

プジョー 508
▶パワートレインはシトロエンC5と共通の1.6ℓターボ。6速ATはアイシン・エィ・ダブリュ製。上質な走りを生むには、エンジンやトランスミッションの制御も重要になるのだ。効率だけを追い求めれば良いわけではない。

FIAT 500 twinAir

フィアット500 ツインエア
▶875ccの直列2気筒エンジンを搭載。1ℓ以下の排気量で2気筒、3気筒、4気筒と比較検討した結果、最も燃焼効率が高い2気筒を選択した。振動面で課題が残るが、それをエンジンの鼓動と捉える向きもある。

JAGUAR XJ

ジャガー XJ
▶2013年モデルからパワーユニットを一新し、3ℓ・V6自然吸気エンジンを2ℓの直4直噴ターボに置き換えた。大衆ブランドだけでなくプレミアムブランドも過給ダウンサイジングに向かうのが、ヨーロッパのトレンドだ。

FORD EXPLORER

フォード エクスプローラー
▶アメリカのクルマといえば大排気量エンジンをイメージしがちだが、過給ダウンサイジング化が活発に進む。エクスプローラーもその1台だ。全長5m超、車重2t超だが、2ℓの直4ターボで179kW/366Nmも発生するので十二分にパワフル。

FORD FIESTA

フォード フィエスタ
▶フォードは小さなクルマから大きなクルマまで「エコブースト」と名付けた過給エンジンの投入を推し進めている。その最小版が1ℓ3気筒(74kW/170Nm)。6速DCTとの組み合わせでもうすぐ日本に上陸する予定。

LEXUS LF-NX

レクサス LF-NX
▶レクサス(トヨタ)もいよいよ過給ダウンサイジングに殴り込みをかける。「後発だけに負けるわけにはいかない」と開発担当者。ミドルサイズのSUVに2ℓ・直4ターボを組み合わせる。車体に対するレスポンスにも気を配って開発しているという。

NISSAN NOTE

日産 ノート
▶過給機付きのエンジンは燃費が悪いという固まったイメージを払拭するために、「エコスーパーチャージャー」という愛称を付けて売り出した。燃費が良いだけでなく、よく走るのも過給ダウンサイジングエンジンの魅力だと訴えた国産車のパイオニア。

テイストで守られるレギュレーション 藤原よしお

一見、何も変わらないように見える旧いクルマの世界にも、様々なトレンドが存在する。

その中で、いま世界的にブームになっているのが、〝ヒストリックなヒストリックイベント〟である。これは以前本誌でも紹介した「グッドウッド・リバイバル・ミーティング」のように、参加するクルマやバイクだけでなくエントラントや会場の雰囲気までもヒストリックなものに統一するというスタイルのイベントだ。広義でいえば、1980年代からイタリアで開催されている「ミッレミリア」もそれに当てはまるが、やはりその先鞭をつけたのは、1998年に始まった「グッドウッド・リバイバル」と言っていいだろう。

グッドウッド以降ヨーロッパを中心に広まったヒストリックをフィーチャーしたイベントに、〝ヒストリックな装いで参加する〟というスタイルは、いまや自転車の世界にまで波及。イタリアではヴィンテージ・ロードレーサーによるサイクルレース「エロイカ」、フランスではヴィンテージ・サイクルによるロードイベント「アンジュー・ヴェロ・ヴィンテージ」が開催され、好評を博している。

無論そうした流れは日本にも広まりつつある。その急先鋒といえるのが春と秋の2回、千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイを舞台に開催されている〝ヒストリック2&4レース〟「Festival of SIDEWAY TROPHY」だ。

サイドウェイ──つまり、タイヤのグリップに任せて走るのではなく、積極的にスライドコントロールさせてクルマを御する往時のドライビングテクニックをその名に冠したこのレースは、グッドウッド・リバイバルに範を倣いクルマの雰囲気からエントラントの服装まで、すべて'50〜'60年代のスタイルにすることを推奨して開催されているイベントである。2&4のイベントとして独立して開催されたのは昨年からだが、4輪レースの方は、他イベントと併催する形で2004年から行われ、年々その賛同者を増やして来た。

その最大の特徴は、着順やラップタイムといったレース的な要素よりも、その空間自体の雰囲気を重視するという一貫した姿勢にある。例えばスポーツカークラスとツーリングカークラスの分けられる4輪レースの場合、レギュレーションとして厳格に決められているのは、バイアス構造のダンロップ・レーシングタイヤを装着すること、消火器、牽引フックを装備すること、という三点だけ。もちろんロールバーや安全タンク、室外から操作できるカットオフスイッチなどの安全装備を装着することは推奨されているものの、他のメカニカルパートとともに、それらの対策はオーナーの良識に委ねられている。一方で、例え完璧にレース仕様に仕立てられていても、当時の雰囲気にそぐわない改造やカラーリングを施されたマシンは、参加を認められない。
 
そう聞いて「装備より雰囲気を重視するなんて本末転倒なのでは?」という意見があるかもしれない。しかし、様々な事項をこと細かに明文化して縛り上げるのではなく、雰囲気を良くすることで、参加者や観客を含めた人々の意識を高めて行くというスタンスは、本国グッドウッドも同様だ。確かに自動車趣味が〝成熟したホビー〟であるならば、このアプローチは至極真っ当だと思う。

実際彼らの取り組みは徐々に浸透し、いまや各クラスともに20台以上のエントラントを集めるうえ、回を追う毎にエントラントのスキルがアップ。要所要所で見応えのあるジェントルなバトルが展開されるようになった。また、それに比例するかのようにパドックの雰囲気も良くなっている。さる11月に行われたイベントでは、2輪のエントラントも4輪のエントラントもそれぞれに趣向を凝らした出で立ちで現れたほか、受け入れる主催者側も看板や印刷物、トロフィーといった備品からグリッドガールに至るまで、拘りのある演出で応えるといった、見事な相乗効果が繰り広げられている。

そんな雰囲気に魅せられたエントラントのひとりに、あの生沢徹がいる。生沢といえば1963年の第1回日本グランプリから4輪レースに参戦。'66年からは単身英国に渡り日本人として初めてF3、F2に挑戦。様々な金字塔を打ち立てた日本レース界のパイオニアである。現在71歳になる彼は、'68年式のポルシェ911Tを仕立て、このシリーズで現役レーサーとしての活動を再開。わざわざこのレースのためにチームクルーのウェアを新調するほどの入れ込みようで、「日本で開催されているイベントの中でコレが一番好き」と公言する。

このサイドウェイ・トロフィーを語るにあたり、'60年代の本場のレースシーンを知る生沢の言葉ほど説得力のあるものはないだろう。単なるスペックや価値だけでは推し量れない魅力をもつヒストリックカーだからこそ、楽しむために必要なのは、型にハマった既成概念ではなく、自由で豊かなアイデアなのだ。

ボーダーを埋める時代 森口将之

女性の男性化と、男性の女性化。最近ことあるごとに出てくる話題だが、僕はこれを当然の成り行きだと考えている。

大昔がどうだったかは知る由もないけれど、第2次世界大戦後、男女格差が以前より小さくなり、自由に恋愛できるようになったおかげで、いままでより異性を深く知ることになった。その結果、相手の良い部分に気付き、羨ましいと考えたりするようになったのだ。これが女性の男性化や男性の女性化につながっているのではないだろうか。

男女に限った話ではない。異なる2つのモノが存在すると、時が経つにつれ、相手に影響されたり影響を与えたりして、互いの距離が縮まり、隙間が埋められていくのは、自然の摂理ではないかと思う。

とくに〝モノづくり〟は、同じジャンルに後から参入しても勝ち目は薄いことから、一部の作り手はニッチ狙いに走ることがある。一方のユーザーは、生活が豊かになるにつれて、無い物ねだりの要望を出してきたりする。なかにはそれが大化けして、ひとつのジャンルにまで成長したりするから、ぞんざいに扱えない。最近で言えばタブレット端末やミラーレス一眼レフが好例だ。

もちろんクルマの世界でも、ニッチ商品が次々に登場している。いちばん分かりやすいのは、その名も〝クロスオーバービークル〟ではないだろうか。ハッチバックやワゴンとSUVの間に位置する乗り物だ。SUVという言葉が日本ではまだ一般的ではなく、クロスカントリービークルと呼ばれていた頃、それはハッチバックやワゴンとは、メカニズムからドライブフィールまで、まるで違うクルマだった。前者はオンロード、後者はオフロードを活躍の場と想定していたのだから当然だ。

ところが多くの人は、オフロードへ行くにはオンロードを走らねばならない。さらにはSUVの逞しいカタチは好きなので、大味な走りを何とかしてくれというワガママも出てくる。そこで舗装路での乗り心地やハンドリングを重視するSUVが出始めたのだ。

それらはたちまち支持されて、近年はハッチバックやワゴンをベースにオフロード能力をトッピングした逆転の発想的モデルまで出てきた。いまやハッチバックやワゴンとSUVの間はビッシリ埋め尽くされて、隙間など存在しないかのようだ。

それでいい。それだけ多くの人にとっての理想の1台が生まれているはずなのだから。逆に首を傾げてしまうのは、個々のモデルについて、「これはSUVなのか?」とか「ワゴンなのかSUVなのか分からない!」とツッコミを入れる人たちだ。

ジャンルって、そんなに大切なものなのだろうか。ジャンルに振り回されて、モノの本質を理解できなくなってはいないだろうか。ジャンルの境目が見えにくくなったら、ノージャンルで考えればいい話ではないだろうか。
 
たとえばコートを買うときに、トレンチにするかダッフルにするか、ジャンルを決めてから買う人は多いかもしれない。ところが雑誌で見たトレンチを買おうと決めて行った店で、違うジャンルでそれ以上の逸品に出会うこともある。そんなとき、決め撃ちで買い物に行ったときほど、気持ちの切り替えに苦労するだろう。そもそも買い物とは、自由な行為だったはず。なけなしのお金をはたいて手に入れるわけだから、ジャンルなんかにとらわれず、自分の好きなものをストレートに買えばいいだけのことじゃないか。

僕自身、どのジャンルに入るか分からないクルマに乗っている。〝ミニバンがベースのクーペ〟という、前代未聞のコンセプトで生まれた「ルノー・アヴァンタイム」だ。世界レベルでは圧倒的な不人気車で、2年間に約8000台を作っただけで生産を終えてしまった。失敗作なので追従者は出なかった。ジャンルで捜しはじめたら辿り着けない1台だっただろう。そんなクルマに、かれこれ10年乗っている。背が高いほうが使いやすいけれど、ミニバンは生活臭が強すぎるので乗りたくない。2人家族だからドアは2枚でいいけれど、ネコも2匹いて一緒に旅行するから荷室は広いほうがいい。そんな要求にドンピシャなのだ。しかもミニバンのクーペはこれだけ。 代わりがないから乗り続けるしかない。いわゆるニッチ指向ではない。ハッチバックやセダンの本流を極めたようなクルマにも好意は持っている。ようするに本流か亜流かは関係なく、自分が欲しいクルマを追い求めて行った結果なのである。

ジャンルがきっちり分かれていた方が、それに頼ってモノ選びをすればいいので楽かもしれない。でもノンジャンルなプロダクトが増えた今、その方式は通用しにくくなっている。というか、理想の1台を取り逃がす恐れさえある。

じゃあどうすればいいか。感性を研ぎ澄ますこと。それに尽きる。自分はクルマに何を求めるのか。どんな場面で乗るのか、それをとことん考えて、最適の1台をとことん捜すのだ。こんなに多種多彩な顔ぶれなのだから、たぶん理想の1台と出会えるはず。ジャンルで捜しても理想のパートナーは見つからない。それは人もクルマも同じだ。
電動3輪コンセプトヴィークル 『kawasaki J(カワサキ ジェイ)』
電動3輪コンセプトヴィークル『トヨタ i-ROAD(アイロード)』
日産EVコンセプトカー『Blade Glider(ブレイド・グライダー)』
Renault AVANTIME(ルノー・アヴァンタイム)
1999年のジュネーブショーで発表されたプロトタイプほぼそのままに2001年に発売された。ルノーのミニバンとも言える「エスパス」のプラットフォームをベースに造られた稀少車。
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text:森口将之/Masayuki Moriguchi
1962年東京生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・テレビ・ラジオ・講演などで発表。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、グッドデザイン賞審査委員を務める。著作に「パリ流 環境社会への挑戦」「これから始まる自動運転 社会はどうなる!?」など
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