私が首都高を好きになった理由 〜首都っ娘〜

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「“首都っ娘”っていうキャラクターを創った女子大学院生がいるそうなんだけど、取材に行かない?」 編集部でそう尋ねられた時、頭の中は「?」で一杯になった。どちらかと言えば運転や道の難しさで注目されがちな首都高。それゆえキャラクターを制作してしまうほど愛着を持つ若い女性がいることに、意外さと不思議さを感じたのだ。

text : 村上智子 photo : 菅原康太 [aheadアーカイブス vol.140 2014年7月号]
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私が首都高を好きになった理由 〜首都っ娘〜

私が首都高を好きになった理由 〜首都っ娘〜

取材当日、待ち合わせ場所に現れたのは、小柄で可愛らしい女性だった。彼女は町田美菜穂さん。東京芸術大学で環境設計を学ぶ大学院生だ。

聞くと、大学のツーリングに毎年参加するほどのバイク好きで、首都高に興味を持ったのもバイクがきっかけだったという。

「初めてバイクで首都高を走った時、普段とは違う景色に驚いたんです。突然空だけが現れたり、東京タワーが上半分だけ切り取られていたり…。生まれ育った東京なのに、全然違う見え方に感動しました」

父親に先導されての首都高デビューということもあったのだろう。怖さよりも、新鮮さのほうが痛烈に残った。確かに道はややこしかったが、それもまた克服しがいがある。さらに自分でも走れるようになりたいと調べるうちに、“首都高”という存在と街のつながりにも魅力を感じ始め、「首都高はただの通路じゃない」と大学院で研究テーマにまで取り上げ、今に至る。

とすると“首都っ娘”は趣味が高じたものなのだろうか。アニメも好きなの? と尋ねると、首を振りながら「全然分からないので勉強しながら制作しました。キャラクターの力を借りれば、少しでも首都高の取っ付きにくさを払拭したり、愛着や関心を持ってもらえると考えて」との答が返ってきた。その裏には、首都高の現実と評価にギャップがある、との思いがあったという。

「コンビニにいつでも商品が並ぶのも、ネットで注文した商品がすぐ届くのも、首都高に支えてもらっているからですよね。なのに正当に評価されていない気がして、もったいないな、って思います」

もっと関心を持ってほしい。彼女がキャラクターに拘った理由はここにあった。制作にあたっては、人々がイメージしやすいよう、街から見える各路線の首都高の側面(ファサード)の色や形を、実際に歩きながら記録。周辺地域の雰囲気も踏まえ、例えば首都高6号向島線なら隅田川花火大会にちなんだ浴衣姿、といった具合に各路線のルックスや個性を練り上げた。

今後の展開は決まっていないが、まずは全路線のキャラを完成させるのが目標だそう。「9月までにはリサーチを終えたいです」

今年はスケッチブック片手に、首都高に捧げる夏休みとなりそうだ。
大学時代の作品集の表紙を自身のバイク姿にするほど、バイクに大きく影響された町田さん。現在の愛車は、バイク屋で一目惚れした'94年型CBR400RR。最初はアメリカンタイプに乗っていたが、ずっとレーサーレプリカに憧れていたこと、身長150㎝と小柄な彼女でも足つきがよかったことが購入の決め手となった。

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