NISSAN SERENA ミニバンってなに?
更新日:2024.09.09
※この記事には広告が含まれます
読者の中には「ミニバン、好きじゃない」という人もいるかもしれない。でもクルマに関する市場調査などでは「所有するクルマ」の上位に必ずミニバンが入っているし、それだけではなくて、ここが重要なのだが、「好きなクルマの車種」でも1位にあがったりするのだ。ミニバンは日本のユーザーを引きつける何かを持っていて、実際、売れている。ゆえにメーカーは情熱をもって開発するという好循環が生まれているのだ。ミニバンの魅力ってなんだろう?
text:まるも亜希子 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.167 2016年10月号]
text:まるも亜希子 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.167 2016年10月号]
- Chapter
- ミニバンってなに?
ミニバンってなに?
ほんの半年前のアルバムを見返しただけで、子どもの目覚ましい成長にいつも驚かされる。みんなで浴衣を着た花火大会、子どもたちで田舎の祖母を囲むリビング、50mものすべり台に興じた山の上の公園。
いろんな体験を全身で吸収して、子どもはひと回りもふた回りも大きくなっていく。そして、写真に写ることはなくても、こうした体験ができたのはすべて、ミニバンがあったおかげかもしれないと考える。
例えば祖父母や従兄弟を乗せて、一緒に行動できること。その車内では、三世代・四世代が同じ景色を眺め、同じ音を聴き、そこから生まれる会話を楽しんでいる。それは離れていた家族をひとつにするとともに、その絆を深めるかげがえのない時間。それを可能とする空間をくれるのが、ミニバンという乗り物だ。
だからその空間では、なるべく全員が同じように快適に過ごし、移動という行為から生じる負担や我慢が取り払われることが望ましい。ミニバンはそのために広い室内を求め、ほかのカテゴリーのクルマにはない機能が投入されてきた。
それらは「便利」という言葉に集約されてしまいがちだが、実際に長くミニバンを生活の中に取り入れてみると、そんな言葉だけではくくれない、もっと根本的なところがミニバンの良さなのだと気づく。
独身時代、クルマはデザインやカラーや性能で自分を主張するものであり、それを走らせることは自分の欲求を満たすためのものだった。誰かを乗せなくても、気の利いた機能など室内になくても、自分がよければ何の不便もなかった。
でもミニバンはちがう。誰かを乗せることが前提にあり、その誰かがいつも笑っていてくれることで自分も満たされ、目的地に着いてからの時間を充実させるために、機能をフル活用する。
こうした視点で見てみると、とても感心したのが新型セレナの3列目シートだ。どうしても、ミニバンの2列目シートと3列目シートには「格差」がある。広さや乗り心地、開放感や装備などが、3列目は明らかに格下で、祖父母や友人といったゲストに薦めるには気が引けることが多い。
それが、ホイールハウスの出っ張りを叩いてスペースを広げ、天井を伸びやかな形状にして開放感を出し、ドリンクホルダーやテーブル、USBポートも用意されている。2列目のシートベルトをシート内蔵としたり、3列目から押せる位置にオートスライドドアの開閉スイッチを備えたりと、3列目への乗降性も劇的に向上した。
また、真後ろにクルマが止まっていたり、壁際といった狭い場所でバックドア全体が開けられない時に、上半分だけを開閉して荷物の出し入れができたり、荷物を満載にした状態での荷崩れを防いだり、大きなバックドアゆえの弱点を払拭してくれたこともありがたい。
力の弱い人がバックドアの重さに耐えなくてもいいし、これなら子どもを抱いたままでもラクに使うことができる。そして荷物はバックドアからだけでなく、スライドドアから出し入れすることも多い。
そのため、両手が塞がっていても足の動作で開閉できる、ハンズフリーオートスライドドアを国産で初採用。こうした機能は、子育て中は負担が大きくなりがちな女性にとっても嬉しい配慮だ。
家族の一人ひとりに関わる時間を大切にすると、3列目シートや荷室の役割はとても大きい。新型セレナはそれを知っている人が、本当に必要としている人に向けて創ったミニバンだと感じている。
ミニバンは決して主役ではない。でも、ミニバンだからできることがある。みんなで行ける場所や一緒に過ごす時間は、確実に増える。家族を主役にして、「今」という舞台をとびきり輝かせたい。二度と戻らない宝物をたくさん集めたい。きっとミニバンとはそう願う人が手にする、クルマの姿をしたひとつの「愛」なのだ。
いろんな体験を全身で吸収して、子どもはひと回りもふた回りも大きくなっていく。そして、写真に写ることはなくても、こうした体験ができたのはすべて、ミニバンがあったおかげかもしれないと考える。
例えば祖父母や従兄弟を乗せて、一緒に行動できること。その車内では、三世代・四世代が同じ景色を眺め、同じ音を聴き、そこから生まれる会話を楽しんでいる。それは離れていた家族をひとつにするとともに、その絆を深めるかげがえのない時間。それを可能とする空間をくれるのが、ミニバンという乗り物だ。
だからその空間では、なるべく全員が同じように快適に過ごし、移動という行為から生じる負担や我慢が取り払われることが望ましい。ミニバンはそのために広い室内を求め、ほかのカテゴリーのクルマにはない機能が投入されてきた。
それらは「便利」という言葉に集約されてしまいがちだが、実際に長くミニバンを生活の中に取り入れてみると、そんな言葉だけではくくれない、もっと根本的なところがミニバンの良さなのだと気づく。
独身時代、クルマはデザインやカラーや性能で自分を主張するものであり、それを走らせることは自分の欲求を満たすためのものだった。誰かを乗せなくても、気の利いた機能など室内になくても、自分がよければ何の不便もなかった。
でもミニバンはちがう。誰かを乗せることが前提にあり、その誰かがいつも笑っていてくれることで自分も満たされ、目的地に着いてからの時間を充実させるために、機能をフル活用する。
こうした視点で見てみると、とても感心したのが新型セレナの3列目シートだ。どうしても、ミニバンの2列目シートと3列目シートには「格差」がある。広さや乗り心地、開放感や装備などが、3列目は明らかに格下で、祖父母や友人といったゲストに薦めるには気が引けることが多い。
それが、ホイールハウスの出っ張りを叩いてスペースを広げ、天井を伸びやかな形状にして開放感を出し、ドリンクホルダーやテーブル、USBポートも用意されている。2列目のシートベルトをシート内蔵としたり、3列目から押せる位置にオートスライドドアの開閉スイッチを備えたりと、3列目への乗降性も劇的に向上した。
また、真後ろにクルマが止まっていたり、壁際といった狭い場所でバックドア全体が開けられない時に、上半分だけを開閉して荷物の出し入れができたり、荷物を満載にした状態での荷崩れを防いだり、大きなバックドアゆえの弱点を払拭してくれたこともありがたい。
力の弱い人がバックドアの重さに耐えなくてもいいし、これなら子どもを抱いたままでもラクに使うことができる。そして荷物はバックドアからだけでなく、スライドドアから出し入れすることも多い。
そのため、両手が塞がっていても足の動作で開閉できる、ハンズフリーオートスライドドアを国産で初採用。こうした機能は、子育て中は負担が大きくなりがちな女性にとっても嬉しい配慮だ。
家族の一人ひとりに関わる時間を大切にすると、3列目シートや荷室の役割はとても大きい。新型セレナはそれを知っている人が、本当に必要としている人に向けて創ったミニバンだと感じている。
ミニバンは決して主役ではない。でも、ミニバンだからできることがある。みんなで行ける場所や一緒に過ごす時間は、確実に増える。家族を主役にして、「今」という舞台をとびきり輝かせたい。二度と戻らない宝物をたくさん集めたい。きっとミニバンとはそう願う人が手にする、クルマの姿をしたひとつの「愛」なのだ。
❶2列目シートにはシートベルトが内蔵されており、チャイルドシートを装着したままでも3列目への乗り込みが可能。
❷2列目シートを前に出すと、運転席とこんなに近くなる。スマートマルチセンターシートのおかげで、シートアレンジが多彩だ。
❸人や荷物で後方視界が確保できないときは、ワンタッチでカメラ映像に切り替えてクリアな後方視界にチェンジできる。
❹後ろのクルマや壁が近いときにも開けられるハーフバックドアは開閉に必要な力も半分で済む。
❺フタを開いたらそのまま給油ノズルを差し込むだけのキャップレス給油口。手が汚れないのはうれしい。
❻足先をスッと入れて引くだけでドアが自動開閉する。子供を抱いたりして手が塞がっているとき本当に便利。
●セレナ
車両本体価格:¥2,916,000
(ハイウェイスター プロパイロットエディション、2WD、税込)
総排気量:1,997L
[エンジン]
最高出力:110kW(150ps)/6,000rpm
最大トルク:200Nm(20.4kgm)/4,400rpm
[モーター]
最高出力:1.9kW(2.6ps)
最大トルク:48Nm(4.9kgm)
燃費(JC08 モード):16.6km/ℓ
車両本体価格:¥2,916,000
(ハイウェイスター プロパイロットエディション、2WD、税込)
総排気量:1,997L
[エンジン]
最高出力:110kW(150ps)/6,000rpm
最大トルク:200Nm(20.4kgm)/4,400rpm
[モーター]
最高出力:1.9kW(2.6ps)
最大トルク:48Nm(4.9kgm)
燃費(JC08 モード):16.6km/ℓ
----------------------------------------------
text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。
text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。