忘れられないこの1台 vol.71 ポルシェ 911S
更新日:2024.09.09
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忘れられない1台を遡るために写真の整理を始めた。様々なクルマに乗ったが、これほど印象に残っているクルマはない。それは1967年式のポルシェ911S、通称〝67のS〟である。写真の年号を見ると1991年となっているが、その1年ぐらい前に手に入れて13年ぐらい所有していた。
text:松本英雄 [aheadアーカイブス vol.149 2015年4月号]
text:松本英雄 [aheadアーカイブス vol.149 2015年4月号]
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- vol.71 ポルシェ 911S
vol.71 ポルシェ 911S
▶︎'67の911Sは911の高性能版として1966年7月に発表した。最高出力は6600回転で160馬力(DIN)を発揮。時速200kmまで34.4秒で到達した。
この当時のポルシェはドアを開けたヒンジの付け根にアルミプレートがリベットで打たれており、出荷当時の色が判るリファレンスナンバーとモデルが判るシリアルナンバーが刻印されていた。
〝アイリッシュグリーン〟のモデル〝S〟である。当時のままのカラーリングで内装はタンであった。レカロ製のシートはお世辞にもホールド性は良いとは言えない。シートベルトで締め上げてドライブした。気難しいエンジンとシャシーは乗り手を選ぶ。
ダウンドラフトトリプルチョークのウェーバーは911S専用に造られた。〝IDS〟という加速ポンプのノズルが上から下へインマニへダイレクトに入るような形状が特別だ。
自宅からすぐの第三京浜と東名を走るのが好きだった。エンジンをOHして判ったのだが、僕のは当時のレーシングカムが装着されていた。ブリッピングしたときのレスポンスは針が見えないほどで、ピストンとバルブがギリギリのカムのプロフィールだ。
この当時のポルシェはドアを開けたヒンジの付け根にアルミプレートがリベットで打たれており、出荷当時の色が判るリファレンスナンバーとモデルが判るシリアルナンバーが刻印されていた。
〝アイリッシュグリーン〟のモデル〝S〟である。当時のままのカラーリングで内装はタンであった。レカロ製のシートはお世辞にもホールド性は良いとは言えない。シートベルトで締め上げてドライブした。気難しいエンジンとシャシーは乗り手を選ぶ。
ダウンドラフトトリプルチョークのウェーバーは911S専用に造られた。〝IDS〟という加速ポンプのノズルが上から下へインマニへダイレクトに入るような形状が特別だ。
自宅からすぐの第三京浜と東名を走るのが好きだった。エンジンをOHして判ったのだが、僕のは当時のレーシングカムが装着されていた。ブリッピングしたときのレスポンスは針が見えないほどで、ピストンとバルブがギリギリのカムのプロフィールだ。
▶︎この写真はミニカーで、カリスマモデラーとして有名な松本州平さんによる67の911S。400円のプラモデルから完成させた。
ワンミスのシフトでオーバーレブを起こせばオシャカであるカミソリエンジンだ。しかしこのシュツットガルトのじゃじゃ馬を操った時の達成感は他では得られない。コーナー手前でアクセルを急に抜くとリアが飛び出てくる。
かといってアクセルオンでもオーバーステアになる。ステアリングはきっかけにすぎず、細かなアクセルワークがコーナーでは必須だった。特に好きなのは第三京浜の上野毛方面から入る螺旋複合コーナーである。オーバーレブを抑えながらブレーキとアクセルをヒール&トゥでコントロールしてコーナーに姿勢を整える。
アクセルのみでコントロールし、ステアリングはそのままにしたゼロカウンターで抜ける。ここはTRD綱島チューンのセリカGTVで慣らしたコーナーだ。加速する時の壁にこだまするエンジン音は、まさに映画〝栄光のル・マン〟に出てくる917クルツそのものなのだ。気持ちだけはマックイーン扮するマイケル・デラニーと重なった。
運動性とオリジナルを損なわないようにホイールを鍛造4.5Jから5.5Jに変更した。ホイールの軽さと出来映えは最高だ。NATO関連の軍需品を製造していた鍛造メーカーフックス社製のモノである。内装は簡素であったが性能にコストをかけるメーカーだとその時感じた。現代のポルシェもその心は変わっていないと信じたい。
ワンミスのシフトでオーバーレブを起こせばオシャカであるカミソリエンジンだ。しかしこのシュツットガルトのじゃじゃ馬を操った時の達成感は他では得られない。コーナー手前でアクセルを急に抜くとリアが飛び出てくる。
かといってアクセルオンでもオーバーステアになる。ステアリングはきっかけにすぎず、細かなアクセルワークがコーナーでは必須だった。特に好きなのは第三京浜の上野毛方面から入る螺旋複合コーナーである。オーバーレブを抑えながらブレーキとアクセルをヒール&トゥでコントロールしてコーナーに姿勢を整える。
アクセルのみでコントロールし、ステアリングはそのままにしたゼロカウンターで抜ける。ここはTRD綱島チューンのセリカGTVで慣らしたコーナーだ。加速する時の壁にこだまするエンジン音は、まさに映画〝栄光のル・マン〟に出てくる917クルツそのものなのだ。気持ちだけはマックイーン扮するマイケル・デラニーと重なった。
運動性とオリジナルを損なわないようにホイールを鍛造4.5Jから5.5Jに変更した。ホイールの軽さと出来映えは最高だ。NATO関連の軍需品を製造していた鍛造メーカーフックス社製のモノである。内装は簡素であったが性能にコストをかけるメーカーだとその時感じた。現代のポルシェもその心は変わっていないと信じたい。
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text:松本英雄/Hideo Matsumoto
自動車ジャーナリスト。1966年生まれ。主にCarSensor、CarSensorEDGE、ルボランにて執筆。著者に「クルマニホン人」二玄社など多数。
text:松本英雄/Hideo Matsumoto
自動車ジャーナリスト。1966年生まれ。主にCarSensor、CarSensorEDGE、ルボランにて執筆。著者に「クルマニホン人」二玄社など多数。