私の永遠の1台 VOL.22 ポルシェ 911(993)

アヘッド ポルシェ  911(993)

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私にとっての「永遠の1台」はポルシェ911。そして本当に抜群のタイミングなのだが、私はその長年憧れ続けた〝空冷〟を、つい先日手に入れたばかりである。

text:山田弘樹 [aheadアーカイブス vol.182 2018年1月号]
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VOL.22 ポルシェ 911(993)

VOL.22 ポルシェ 911(993)

▶︎4代目の993型は、マニアの間では最後の911と呼ばれている。同モデルの生産終了により、30年以上に渡るポルシェの空冷エンジンが幕を下ろした。室内レイアウトにおいてもナローを受け継いできた最後のモデル。1993年~1997年。


〝空冷〟の妄想にとりつかれた人なら分かるだろうが、今の相場は我々からすれば異常だ。それでも「最近は落ち着いてきたみたいよ?」なんて言う人もいるが、そんなの所詮他人事の軽口だ。今のデフレ・ニッポンで、最終型でさえ約20年経っている中古車に600万円以上の値段が付くのは、やっぱり何度考えても狂気の沙汰としか思えない。

「じゃあなぜお前買ったんだよ?」と言われれば、出会いとしか言いようがない。ただその出会いは、毎日アホみたいにカーセンサーやグーワールドをチェックし、何度も試算しては「無理に決まってんじゃん!」とひとりでぷんすか怒りながら原稿を書いた夜があったからこそである。

ちなみに私の911は(うぅ、嬉しくて泣けてくる)'95年式のカレラ、タイプ993と呼ばれる911。排気量は3.6リッターとシリーズで一番小さく、パワーは285馬力。可変吸気機構「ヴァリオラム」も付かない前期型だ。実はこの993を手に入れる前に、2件ほどニアミスがあった。1台は964カレラ2で、悩んでいたら売れてしまった。もう1台はその反省からネットで見た途端に電話をしたが「昨日売れちゃいました…」と言われた。

ただ、こういうときは勢いがあるというか何かが降りる。パチンコでいうと〝確変〟というヤツか? そしてやっぱり連続でスロットは周り、この993の数字が揃った。予算は少しオーバーしていたのだけれどもう出てこない気がして「買います」と、恐る恐る手を上げた。

本気で願えば手に入る、なんてツマラナイことは言わない。ただ自分でも呆れるほど欲しがって四六時中そのことを考えていると、突破口が見つかりやすいのだと思う。

またボクはいわゆる〝役付き〟には興味がなく「平凡な空冷のカレラ」が欲しかったのだが、今後の相場やリセール、財テクのようなことを考えて「996GT3前期型なんて手もあるなぁ…」なんて惑っていたら、それこそ「永遠に手に入らない1台」になっていた気がする。

さてボクにはこれから、ローンという険しい道のりが待っている。こんなご時世だからいつヘコたれてしまうかわからないけれど、当分はこのカレラを「永遠の1台」と思ってつきあうつもりだ。仕事柄色んなクルマに乗るけれど、ボクは惚れたら一途なタイプなのである。

そして最後にひとつ。憧れ続けたクルマを手に入れるのって、本当に最高だ…。だからみんなも諦めないで!

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text:山田弘樹/Koki Yamada
自動車雑誌「Tipo」編集部在籍後フリーに。GTI CUPレースを皮切りにスーパー耐久等に出場し、その経験を活かして執筆活動を行うが、本人的には“プロのクルマ好き”スタンス。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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