世界が求めるプレミアムSUV
更新日:2024.09.09
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以前はトラックと同じフレーム構造だったSUVを乗用車と同じモノコック構造にしてオンロードユースに適したクロスオーバーSUVを初めて仕立てたのは1994年登場のトヨタRAV4だ。さらにトヨタは1997年に高級という概念も採り入れたハリアーを発売、アメリカでも想像を超えたスマッシュヒットとなった。
text:石井昌道 [aheadアーカイブス vol.170 2017年1月号]
text:石井昌道 [aheadアーカイブス vol.170 2017年1月号]
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世界が求めるプレミアムSUV
これを見た欧州プレミアム勢がフォロワーとして続々と参入。2000年登場のBMW・X5は背高で重いというSUVのデメリットを吹き飛ばすほどに走りが良く、プレミアムなクロスオーバーSUVのブームの火付け役ともなった。
その後、いくつかのライバルが出現したが、2002年に登場したポルシェ・カイエンはエポックメイキングなモデルの一つだった。スポーツカー専門メーカーがクロスオーバーSUVを発売したことがまずはショッキングだったうえに、売れに売れてポルシェの業績を大きく伸ばしたからだ。
今ではクロスオーバーSUVを持っていないプレミアム・ブランドを探すのが難しいぐらいになっている。また、ブームの震源地がアメリカだったことから初期は大型モデルが多かったが、じょじょにコンパクト系にも波及していき、今ではBセグメント(VWポロ級)でもラインアップは増えている。
どこの地域でも人気は本物であり、一過性のブームではなく、もはや乗用車の主流になりつつある。自動車に対しては比較的に保守的であり、背高モデルが敬遠されてきた欧州でも、今やBセグメントのハッチバックよりもSUV全体のほうが販売台数が多いぐらいだ。
各種アンケートでも、次に欲しいクルマにSUVをあげる自動車ユーザーはトップを占めるようになっている。
その後、いくつかのライバルが出現したが、2002年に登場したポルシェ・カイエンはエポックメイキングなモデルの一つだった。スポーツカー専門メーカーがクロスオーバーSUVを発売したことがまずはショッキングだったうえに、売れに売れてポルシェの業績を大きく伸ばしたからだ。
今ではクロスオーバーSUVを持っていないプレミアム・ブランドを探すのが難しいぐらいになっている。また、ブームの震源地がアメリカだったことから初期は大型モデルが多かったが、じょじょにコンパクト系にも波及していき、今ではBセグメント(VWポロ級)でもラインアップは増えている。
どこの地域でも人気は本物であり、一過性のブームではなく、もはや乗用車の主流になりつつある。自動車に対しては比較的に保守的であり、背高モデルが敬遠されてきた欧州でも、今やBセグメントのハッチバックよりもSUV全体のほうが販売台数が多いぐらいだ。
各種アンケートでも、次に欲しいクルマにSUVをあげる自動車ユーザーはトップを占めるようになっている。
昔のSUVは背高で重いことから、オンロードでは走りを良くすると乗り心地が硬い傾向にあったが技術の進歩でその心配もなくなった。X5やカイエンも第一世代はスポーツカー顔負けのコーナリングスピードを誇る反面、ゴツゴツとした突き上げが気になったものだが、現行モデルはサルーン並に快適だ。
軽量・高剛性なボディ造りや可変ダンパーに可変スタビライザーといったハイテク技術が快適性とスポーツ性という相反する要素の両立に役立ってきたが、最近ではノンプレミアム・ブランドのコンベンショナルなモデルでもそれなりに高度なレベルのシャシー性能を確保するようになってきている。
それでいて道を選ばずどこにでも踏み入っていけるオールラウンダー的な役割も果たしてくれるのが人気の理由。アイポイントが高くて見晴らしがいいことから、運転に自信がない人からも支持を受けている。
2000年以降は低燃費性能に焦点があたっていたため、重いSUVは不利で人気の足を引っ張ってきた面もあるのだが、それもパワートレーンの進化で折り合いがついてきた。
自動車メーカー側にとっても、これから需要増が見込める新興国市場の整備されていない道路に適していること、年々厳しさを増す衝突安全性能基準への対応やハイブリッド化のための搭載スペースが稼げることを考えると、クロスオーバーSUVは都合がいい。もはや、背の低いコンサバなモデルの存在理由が見当たらなくなってきたほどなのだ。
ただし、個人的にはまだセダンやクーペ、ハッチバックなどへの愛着は強い。ステアリングを切った瞬間の素直で俊敏な動き、安定感としなやかさの両立など動的質感の高さは、どうしたって背が低いほうが有利だからだ。マイノリティになろうとも、まだ抵抗を続けるつもりでいる。
軽量・高剛性なボディ造りや可変ダンパーに可変スタビライザーといったハイテク技術が快適性とスポーツ性という相反する要素の両立に役立ってきたが、最近ではノンプレミアム・ブランドのコンベンショナルなモデルでもそれなりに高度なレベルのシャシー性能を確保するようになってきている。
それでいて道を選ばずどこにでも踏み入っていけるオールラウンダー的な役割も果たしてくれるのが人気の理由。アイポイントが高くて見晴らしがいいことから、運転に自信がない人からも支持を受けている。
2000年以降は低燃費性能に焦点があたっていたため、重いSUVは不利で人気の足を引っ張ってきた面もあるのだが、それもパワートレーンの進化で折り合いがついてきた。
自動車メーカー側にとっても、これから需要増が見込める新興国市場の整備されていない道路に適していること、年々厳しさを増す衝突安全性能基準への対応やハイブリッド化のための搭載スペースが稼げることを考えると、クロスオーバーSUVは都合がいい。もはや、背の低いコンサバなモデルの存在理由が見当たらなくなってきたほどなのだ。
ただし、個人的にはまだセダンやクーペ、ハッチバックなどへの愛着は強い。ステアリングを切った瞬間の素直で俊敏な動き、安定感としなやかさの両立など動的質感の高さは、どうしたって背が低いほうが有利だからだ。マイノリティになろうとも、まだ抵抗を続けるつもりでいる。
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text:石井昌道/Masamichi Ishii
自動車専門誌編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦経験も豊富。エコドライブの研究にも熱心で、エコドライブを広く普及させるための活動にも力を注いでいる。
text:石井昌道/Masamichi Ishii
自動車専門誌編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦経験も豊富。エコドライブの研究にも熱心で、エコドライブを広く普及させるための活動にも力を注いでいる。