R75を進化させたもうひとつのX 〜アライ・アストラルX

アヘッド アライ・アストラルX

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アライを選択するトップライダーが例外なく被っているヘルメット。それが昨年ラインアップに加えられたRX-7Xだ。これはレーシングカテゴリーのハイエンドモデルとして開発されたものだが、今回そのノウハウがツーリング向けにも投入され、アストラルXの名で6月下旬からの発売が予定されることになった。

text:伊丹孝裕 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.162 2016年5月号]
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R75を進化させたもうひとつのX 〜アライ・アストラルX

R75を進化させたもうひとつのX 〜アライ・アストラルX

ある種の究極を意味する〝X〟の文字が製品名にもたらされたのはRX-7Xに続いてこれが2つ目。つまり、現在考え得る最良の安全性と機能がそこに盛り込まれていると言ってもいいだろう。

その最たる例がVAS(ヴァス)と呼ばれるシールドシステムで、これによって帽体の極めて低い位置にその開閉機構を設けることが可能になった。実際、シールドホルダーは従来モデル比で最大24‌㎜も下方に移設されるなど、これまでは物理的に不可能だと考えられていた場所にそれはあるのだ。

そのメリットは大きく、シールドと帽体の段差が減少し、その形状がより滑らかになった他、低重心化にも貢献。アクシデントの際にヘルメットが路面や障害物に引っ掛かる可能性を少しでも排除しようとするメーカーの強い信念が見て取れる。頑強な構造で衝撃から頭部を守るのはもちろんのこと、まずはそこに至るまでに力をできるだけ分散してかわす。それこそが40年に渡ってアライがこだわってきたポリシーなのだ。

とはいえ、それだけではツーリングモデルの特色とは言えない。そこでアストラルXの開発時に与えられたテーマが「いかに上質で快適であるか」というものだった。

例えばそれは走行中の静粛性や快適な被り心地、長時間着用時の疲労軽減といったもので、そのためにRX-7Xには装着されていた大型の「エアディフューザー」をシンプルなデザインに変更。しかもその開閉スイッチを小型化し、目立たないようにすることで空気抵抗と風切音の軽減が図られているというきめ細やかさだ。

結果的に突起物が極力廃された外観になり、視覚的にも丸みを帯びたコンパクトなデザインを実現。風の抵抗を巧みに受け流し、首に対する負担も少なくなるなど、すべてがプラスに働いている。

もうひとつ注目すべきは全天候型のシールド、VAS-Vプロシェードシステムを標準装備している点だ。これは天候や時間の変化、トンネルの通過時など、必要に応じてシールドをスモークにもクリアにも切り換えられ、ピーク(庇)としても使えるもので空気抵抗にも配慮。安全性の観点から日常的に備えておきたいシステムだ。

バイクとの時間を長く安全に楽しみたいツーリング派のために開発された次世代のツアラーヘルメット。それが体感できるのはもうすぐだ。

▶︎アライXシリーズのシールド交換は、これまでと違ってシールドホルダーを外しておこなう。目で見て確認しながら作業ができるので、シールド交換が苦手だった人には朗報だ。取り付けのポイントになる部分を色付けしているので分りやすい。
▶︎今までは、オプションだったフルカバードタイプのエアロフラップが簡易脱着式となり同梱される。口元にこもった熱気をアゴ下から首周りへ導風させる効果だけでなく、風切り音をシャットアウトするので長距離でも疲れ難い。また寒さを低減させる。
▶︎「衝撃をかわす」というこだわりから生まれたR75シェイプを推し進めたXシリーズ帽体。丸く滑らかな75R以上の球面を連続させたフォルムは、衝撃を受け止める前に衝撃をできるだけかわして分散させるためにある。内部に見えるのは内部換気用通路。

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text:伊丹孝裕/Takahiro Itami
1971年生まれ。二輪専門誌『クラブマン』の編集長を務めた後にフリーランスのモーターサイクルジャーナリストへ転向。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク、鈴鹿八耐を始めとする国内外のレースに参戦してきた。国際A級ライダー。
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