フレンチスポーツの雄、アルピーヌとは何か

アヘッド アルピーヌ

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アルピーヌとは何か──?

好き者にしてみれば、その問いに対する回答は幾通りでも用意できるところだけれど、今このタイミングで最も意味合いの強い答えはどれかといえば、それは〝フレンチ・スポーツカーの未来に向けた希望〟という言葉だろう。

text: 嶋田智之 [aheadアーカイブス vol.168 2016年11月号]

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フレンチスポーツの雄、アルピーヌとは何か

フレンチスポーツの雄、アルピーヌとは何か

パナール、DB、ドラージュ、ドライエ、ファセル・ヴェガ、マトラ、リジェ、シムカ、ヴェンチュリ──。かつてフランスに存在した自動車メーカー達も、昔は素晴らしいスポーツカーを作っていた。

フランスはモータースポーツ王国であり、貴族文化も色濃く残した国であり、ざっくりな言い方だけど、そうしたところに根ざしたスポーツカーをたくさん生み出してきた国でもあったのだ。ルノー、プジョー、シトロエンといった今も健在な自動車メーカーも、スポーツ心を持ったモデルを継続的に(あるいは断続的に)作り続けてきてる。

が、スポーツカーを柱に活動するフレンチ・ブランドといえば、ブガッティのみだった。1台数億円のスーパー・スポーツカーには夢こそあるが、手に入れられる希望はどうかといえば、僕達のような庶民にとっては自力で空を飛ぶことを願うのに等しい。

けれど、2012年に復活宣言がなされたアルピーヌは、自分達の歴史をなぞるようなスポーツカー・ブランドとしての歩みを進めてる。しかも、今こうして目の前に佇んでいるアルピーヌのコンセプトカーは、2017年に市販モデルが披露されるときには荒唐無稽とはいえない値段がアナウンスされるだろうといわれている。
10月11日、都内某所にて、新生アルピーヌの市販を前提としたコンセプトカー〝ヴィジョン〟の内覧会が、限られた一部の関係者とメディア向けに行われた。

御存知ない方がおられることを前提に軽く触れておくが、アルピーヌは1955年に最初のモデルを送り出し1995年に最後のモデルの生産を止めるまで、スポーツカーのみを作り続けてきたブランドだ。

黎明期からルノーと協力関係にあり、1973年以降は傘下に収まり、モータースポーツの分野でルノーの名前を不動のものにした立役者でもある。ラリーの世界では数え切れないほどの勝ち星を挙げ、ル・マン24時間レースでも総合優勝を果たすなど、モータースポーツに深く根ざしたスポーツカー・ブランドだったのだ。

新生アルピーヌが最初の一歩として目指したのは、ラリーの分野で猛威を奮い、今では伝説的な名車となっている 〝A110〟というライトウエイト・クーペを現代流に解釈し直して世に送り出すこと。お披露目されたヴィジョンは、そのコンセプトを形にしたものだ。

現代のクルマゆえ車体は2回りほど大きいが、そのスタイリングはA110の劣化レプリカではなく、特有の不思議な美しさを今風のデザインで巧みに再現している。単純にカッコイイなと思えるのだ。

それはインテリアも同様で、A110の特徴的たった部分をモチーフに据えつつ、スポーティでエレガントな仕立てとされている。

メカニズム的には現時点で判っていることは、A110のRRレイアウトとは異なりリア・ミドシップとなること、そして4気筒ターボ+2ペダルDCTが搭載され、車重は1トン+α、0|100㎞/h加速が4・5秒、といったところか。アルファ4Cやポルシェ・ケイマン辺りが好敵手だろう。

古くからのアルピーヌ・ファンとしては嫌でも胸が躍ってしまうのだが、ヴィジョンの市販版を予定通りリリースすること以外にも計画があるというのがまた嬉しい。

詳細は明らかにされなかったが、欧州からの噂によれば、格上のスポーツカーや、スポーツカー好きのための実用車としてSUVがプランニングされているようだ。

アルピーヌは〝過去の栄光〟ではなく、〝フレンチ・スポーツカーの未来に向けた希望〟へと、もはや立ち位置を変えているのだ。
アルピーヌブランド復活の中心的存在であるコンセプトモデル「アルピーヌ・ヴィジョン」のお披露目は欧州以外では日本が最初となった。

アルピーヌのマネージングディレクター、ミハエル・ヴァンデル・サンテー氏曰く「エレガンスと軽快感、そして本物感を併せ持つこのミドシップ2シーターは、スポーツカーを愛して止まないパフォーマンスドライブを知る人たちにこそ乗ってほしい」とのこと。

また「アルピーヌは、ルノー・スポールに続くルノーグループの戦略的ブランドになる」とも。日本での発売は2018年前半の予定。来年からディーラーの構築が始まり予約を受け付けるという。
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嶋田智之/Tomoyuki Shimada

1964年生まれ。エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長年にわたって務め、総編集長として『ROSSO』のフルリニューアルを果たした後、独立。現在は自動車ライター&エディターとして活躍。

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