二輪ETCの試金石

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国交省とネクスコ東日本、ネクスコ中日本は「首都圏ツーリングプラン」の実施を発表した。関東圏の高速道路をバイク限定で乗り放題とするもので、2500円の定額料金で最大2日間、対象エリアの高速道路を自由に利用できるものだ。

text:山下 剛 [aheadアーカイブス vol.177 2017年8月号]
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二輪ETCの試金石

二輪ETCの試金石

これは以前から全国オートバイ協同組合連合会(AJ)が中心となってロビー活動を続けている「バイクの高速道路料金の適正化」の布石になるものだ。

現在、AJでは「普通車の0.5倍」を目標とした料金是正を訴え、自民党オートバイ議員連盟とともに国交省に働きかけている。今回のツーリングプランは、国交省とネクスコ2社が「バイク専用の料金設定」を実施する初めての施策だ。

もちろんバイクユーザーにとっては喜ぶべきことだが、ETC車載器だけでなく、インターネットを利用できる環境も必須となっており、さらに事前の登録と予約が必要という問題点がある。

これは利用するエリアによってネクスコ東日本と中日本で個別に登録と予約が必要で、利用者にとってネクスコ2社の区別など無関係であるのに、個別登録が必要なのはあまりにナンセンスだ。この手間の多さと面倒さは、利用者を増やしたくないのではと訝しみたくなるほどである。
しかし、だからといって利用しないというのもやはりナンセンスだ。前述したとおり、これはバイク環境改善のための第一歩であり、今回の利用状況次第では「バイクユーザーは格安料金を希望していない」と国交省やネクスコ各社に判断され、高速道路料金の見直しも完全な白紙となりかねない。いわば今回のツーリングプランは試金石だからだ。

バイクユーザーの中心年齢層が40〜50代といわれている現在、〝大人のバイク乗り〟として取るべき態度は、「継続のため、今後の発展のために利用した上で、改善のための意見を述べる」ことである。利用できる環境にある人は、面倒でも登録と予約をして一度は利用し、可能ならば国交省やネクスコ2社に意見を伝えることだ。

バイクという文化が今後も生き残っていくためには、メーカーや販売店、メディアだけでは環境改善が困難な状況だ。バイクを趣味とする私たちひとり一人が行動しなければならない段階にきている。

もちろん、生き残れないなら消えればいいと考えるのは自由だし、時代の流れに逆らったところで未来が変わるかどうかは未知数だ。しかしこれまで楽しませてもらったバイクに対して、こうしたかたちで恩を返してもいいのではないか。

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text:山下 剛/Takeshi Yamashita
1970年生まれ。東京都出身。新聞社写真部アルバイト、編集プロダクションを経てネコ・パブリッシングに入社。BMW BIKES、クラブマン編集部などで経験を積む。2011年マン島TT取材のために会社を辞め、現在はフリーランスライター&カメラマン。
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