日本車の逆襲
更新日:2024.09.09
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ここ数年というよりこの十数年、日本の大型バイク市場は外国車の勢力が強く、日本車が劣勢だったように映る。
text:神尾 成 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.151 2015年6月号]
text:神尾 成 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.151 2015年6月号]
- Chapter
- 日本車の逆襲
- YAMAHA YZF-R1M
- KAWASAKI Ninja H2
日本車の逆襲
その理由のひとつとして考えられるのは、所有欲を満たす要素が外国車に比べて乏しかったからではないだろうか。
バイクに乗る平均年齢が上がるにつれ、単に信頼性が高いとか、スペックの数字が他車よりも上回っているというだけでは、〝趣味の乗り物〟として、日本車が魅力的に思えなくなったのかもしれない。
だが最近登場した「ヤマハ YZF-R1M」と「カワサキ H2」の2台は、見るからに、あの頃のワクワク感を覚えさせる。
ヤマハのR1Mは、日本のお家芸である〝レーサーレプリカ〟を新たな領域に進化させた。今年の全日本選手権の開幕戦において、タイヤとフォークスプリング以外を全く変更せずに一時とはいえ、トップを走る快挙を見せたのだ。
それを電子制御技術によってホビーライダーでも振り回せるほど乗りやすく調教している。電子制御の介入についても、外国車勢よりも明らかに優れており、電子技術大国の誇りを感じさせる仕上がりになっていた。
また「CCU」と呼ばれるアプリを利用した電子装備は、スマホやタブレットを通じてロッシのセッティングを取り入れてみたり、データロガーから自分の過去と現在の走行を比較することもできるのだ。
バイクに乗る平均年齢が上がるにつれ、単に信頼性が高いとか、スペックの数字が他車よりも上回っているというだけでは、〝趣味の乗り物〟として、日本車が魅力的に思えなくなったのかもしれない。
だが最近登場した「ヤマハ YZF-R1M」と「カワサキ H2」の2台は、見るからに、あの頃のワクワク感を覚えさせる。
ヤマハのR1Mは、日本のお家芸である〝レーサーレプリカ〟を新たな領域に進化させた。今年の全日本選手権の開幕戦において、タイヤとフォークスプリング以外を全く変更せずに一時とはいえ、トップを走る快挙を見せたのだ。
それを電子制御技術によってホビーライダーでも振り回せるほど乗りやすく調教している。電子制御の介入についても、外国車勢よりも明らかに優れており、電子技術大国の誇りを感じさせる仕上がりになっていた。
また「CCU」と呼ばれるアプリを利用した電子装備は、スマホやタブレットを通じてロッシのセッティングを取り入れてみたり、データロガーから自分の過去と現在の走行を比較することもできるのだ。
YAMAHA YZF-R1M
参考小売価格:¥3,186,000(税込)
総排気量:998cc
最高出力:147.1kW(200ps)/13,500rpm
最大トルク:112.4Nm(11.5kgm)/11,500rpm
※2015年6月下️旬頃発売予定
※諸元値は欧州仕様
総排気量:998cc
最高出力:147.1kW(200ps)/13,500rpm
最大トルク:112.4Nm(11.5kgm)/11,500rpm
※2015年6月下️旬頃発売予定
※諸元値は欧州仕様
一方、カワサキH2は、その姿、形から「カタナ」が登場した時と同じようなインパクトがあった。シルエットを見ただけでそれと分かる出で立ちは、造形物としても存在感がある。
好き嫌いは別として、かつてここまで個性的な日本車はなかったはずだ。そしてそのスタイルと同様に乗り味も普通ではない。スーパーチャージャーを装着したエンジンフィールは独特で、2サイクル的に急激な加速をする。久しぶりに〝危ないモノ〟に乗っている感覚を抱いた。
はっきり言ってしまうと、H2は決して乗りやすくはないし、初心者が興味本位で乗ることは勧めない。しかし即、本能的な緊張感を持てることがこのバイクの最大の魅力であるとも言えるだろう。
きれいごとをいったところで、バイクは危険な乗り物であることは間違いないし、生活に必要だと言えるものでもない。そう考えると社会性のあるクルマとは違い、バイクは嗜好品でしかないのだ。だからこそライダーは作り手の意思や情熱を感じる吹っ切れたモノを求めている。
振り返れば、CB750の四気筒やレプリカブームの火付け役になったRZ、市販車初アルミフレームのΓやZZRの300キロなど、常に次のステージの幕を開くパイオニアがライダーから支持されてきた。今回のこの2台は日本車の復権を担う礎になる可能性が高い。
好き嫌いは別として、かつてここまで個性的な日本車はなかったはずだ。そしてそのスタイルと同様に乗り味も普通ではない。スーパーチャージャーを装着したエンジンフィールは独特で、2サイクル的に急激な加速をする。久しぶりに〝危ないモノ〟に乗っている感覚を抱いた。
はっきり言ってしまうと、H2は決して乗りやすくはないし、初心者が興味本位で乗ることは勧めない。しかし即、本能的な緊張感を持てることがこのバイクの最大の魅力であるとも言えるだろう。
きれいごとをいったところで、バイクは危険な乗り物であることは間違いないし、生活に必要だと言えるものでもない。そう考えると社会性のあるクルマとは違い、バイクは嗜好品でしかないのだ。だからこそライダーは作り手の意思や情熱を感じる吹っ切れたモノを求めている。
振り返れば、CB750の四気筒やレプリカブームの火付け役になったRZ、市販車初アルミフレームのΓやZZRの300キロなど、常に次のステージの幕を開くパイオニアがライダーから支持されてきた。今回のこの2台は日本車の復権を担う礎になる可能性が高い。
KAWASAKI Ninja H2
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text:神尾 成/Sei Kamio
1964年生まれ。神戸市出身。新聞社のプレスライダー、大型バイク用品店の開発、アフターバイクパーツの企画開発、カスタムバイクのセットアップ等に携わり、2010年3月号から2017年1月号に渡りahead編集長を務めた。現在もプランナーとしてaheadに関わっている。
text:神尾 成/Sei Kamio
1964年生まれ。神戸市出身。新聞社のプレスライダー、大型バイク用品店の開発、アフターバイクパーツの企画開発、カスタムバイクのセットアップ等に携わり、2010年3月号から2017年1月号に渡りahead編集長を務めた。現在もプランナーとしてaheadに関わっている。