STIがBBSを使い続ける理由

アヘッド STIがBBSを使い続ける理由

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「タオルの端と端を持って、ギューッと絞り込んで行く感じ、といえばイメージできるでしょうか」
今年からSUBARU BRZ R&D SPORTの監督に就任した渋谷真氏は、両手でジェスチャーを交えながら説明してくれた。

text:ahead編集部 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.190 2018年9月号]
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STIがBBSを使い続ける理由

STIがBBSを使い続ける理由

▶︎「SUPER GT」の実戦で投入されているBBSのホイール。究極のレース仕様である。

「路面から大きな入力を受けたとき。ここでBBSホイールは急激に変形せず、ジワッと力を逃がす。そのいなし方が素晴らしかったのです」
 
生粋のエンジニア畑を歩んだ渋谷監督の説明は理論的だった。

「ホイールで一番大切な性能は、キャンバー剛性です。クルマの性能を最終的に発揮するのはタイヤですから、一番近い位置にあるホイールの剛性が低いと、クルマの能力は発揮されない。ただしそれは、トレッド剛性として考えることが大切です」

トレッド剛性とはホイールを取り付ける横剛性のことであり、即ちタイヤからサスペンション、そしてボディを結ぶ全ての構成部品で剛性を得ることが大切だという。当然そこには、ホイールも含まれている。

ここでBBSホイールは、ライバルたちとはひと味違う特性を示すという。大きな入力を受けたとき、変形(といってもごく僅かだが)が穏やかに起こり、元に戻る。だからタイヤの接地性変化も穏やかになり、速く快適に走ることができるのだ。
渋谷監督がBBSホイールにこの特性を見いだしたのは、実はスーパーGTでの採用('12年から)よりも遙かに昔のこと。スバル在籍時代に限定車用ホイールを検討したとき、社内測定でBBSホイールが理想的な過渡特性を示したのだという。

「いくら剛性が高くても、ある領域から急激に変形が大きくなるようなボディだと、操縦性は安定しません。BBSは市販用ホイールでも、ねじれ方が均一だった。だから路面からの入力にカドがなくなり、乗り味が良いんです」 その特性を得るために、BBSは鍛造製法にこだわっている。最新の5軸加工機を導入し、最新の加工技術でミリ単位の切削加工、さらには特殊熱処理加工を施す。

またホイールの性能として重要な「軽さ」は、こうした鍛造製法に加え、設計能力がものを言う。剛性は質量と直結するため、闇雲に求めればホイールは重くなってしまう。そこで力の掛からない部分を削り取る。そして応力を分散させるデザインを施す。それが「RI|A」のような、攻めた形を生み出したのである。BBSのデザインは力学を突き詰めた究極の機能美なのだ。

そして渋谷監督は、最後に締め括った。「良いホイールを選ぶことでクルマは開発が楽になり、持っている性能が発揮しやすくなります。ここにコストを賭けるのは大切。だから我々は、BBSホイールを選んだのです」

■BBSアルミ鍛造1ピースホイール『RI-A』:「SUPER GT」で使われているものと同一造形でつくられた市販用ホイール。https://bbs-japan.co.jp

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