アルファ ロメオは阪神タイガースだった!?

アヘッド Alfa Romeo Stelvio

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アルファ・ロメオは阪神タイガースのようなメーカーだと常々思っている。熱狂的なファンを持ち、〝何年かに一度〟だけその声に熱く応えるからだ。思えば156のヒットから約18年。とうとうアルファ・ロメオはFRセダンであるジュリアを放ち、そして今回はSUVである「ステルヴィオ」を完成させた。

text:山田弘樹 [aheadアーカイブス vol.189 2018年8月号]
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アルファ ロメオは阪神タイガースだった!?

アルファ ロメオは阪神タイガースだった!?

●Alfa Romeo Stelvio
車両本体価格:¥6,890,000(税込、First Edition)
排気量:1,995cc 最高出力:206kW(280ps)/5,250rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2,250rpm
トランスミッション:電子制御式8速オートマチック 駆動方式:四輪駆動
*写真はQuadriforio。時期未定ながら日本導入予定あり。

……やればできるじゃないか! アルフィスタよ、これは間違いなく日本シリーズを制する一台である!!

そんなステルヴィオのベースとなるのは、アルファが「75」以来およそ24年ぶりに放ったFRスポーツセダン「ジュリア」である。いやベースというよりその車高を、まんま65㎜上げただけだと言っていい。ただしそれは現代の高級SUV市場がオフロードの走破性ではなく、オンロードでの快適性や速さを重要視するのを睨んだ上での、確信犯的な流用である。

日本での展開は最高出力280ps/最大トルク400Nmを発生する直列4気筒直噴ターボのワングレード。ジュリアだと「ヴェローチェ」に相当するパフォーマンスで、今回試乗したのは20インチタイヤと特別内装を設えた400台限定の「ファースト・エディション」となる。

実際その走りは、私の予想を遙かに超えていた。そもそもジュリアはBMW3シリーズにも負けない動的質感を備えていたが、ステルヴィオにはさらに「躍動感」が上乗せされていたのだ。

その要因は、SUVとして高められた車高にあった。足回リは、しなやかさが最大の特徴だったジュリアに比べ、明らかに固められている。故に曲がりくねった峠道でも車体の傾きをしっかり抑えてくれる。にも関わらず乗り心地が悪くならないのは、巨額の資金を投じた「ジョルジョ・プラットフォーム」の性能が高いから。ガッシリしたボディが固めの足回りに負けないから、突っ張ることなく伸び縮みするのである。

だからALFATMDNAドライブモードシステムを「ダイナミック」に転じると、ステルヴィオは究極のコーナリングSUVになる。12:1というクイックなギアレシオを持つハンドルで、280psの爆発力を操っても、FRベースの4WDがこれを見事に曲げる。運転技量に応じて操れる懐の深さに、誰もがそのハンドリングを「楽しい!」と感じることができるはずだ。

はっきり言ってそのでき映えは、「SUV界のスポーツカー」と謳われるマカンに匹敵する。ナビがなくスマホまかせにしているなど、ダメな部分はいくらでもあるが、カッコ良くて走りがすごければいいじゃないか。ジュリアが「真弓」なら、ステルヴィオは「バース」か。あとはこのシャシーをもって「岡田」(=スパイダー)と「掛布」(=クーペ)を登場させるだけである!
▶︎北イタリアのアルプス国境付近に位置し、48ものヘアピンカーブがあるというステルヴィオ峠が車名の由来となった。

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text:山田弘樹/Koki Yamada
自動車雑誌「Tipo」編集部在籍後フリーに。GTI CUPレースを皮切りにスーパー耐久等に出場し、その経験を活かして執筆活動を行うが、本人的には“プロのクルマ好き”スタンス。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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