リアル シミュレーターの現在

アヘッド T3Rシミュレーター

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サーキットの攻略やマシンの操作を疑似体験できるシミュレーターは珍しくなくなってきたが、アイロックが開発した「T3R VR」はその抜きん出たリアルさで注目を集めている。この製品の特色はふたつあり、ひとつは専用のゴーグルを装着することによって360度の仮想空間の中でドライビングできること。そしてもうひとつは実車に極めて近い、忠実な挙動の再現性にある。

text:伊丹孝裕 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.184 2018年3月号]
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リアル シミュレーターの現在

リアル シミュレーターの現在

VR、つまりヴァーチャルリアリティのメリットは、そこにないものもあるように感じられるところだ。現実的には室内に置かれた剥き出しのシートに座っているだけにもかかわらず、左を向けば助手席があったり、振り返れば後方が見える他、選ぶ車種によってメーター周りの意匠も変化する。実際に手に触れるステアリングやシフトにはオプションが用意され、ギヤチェンジのパターンに選択肢があることも臨場感の高さにひと役買っている。

視覚と触覚から得られるこうした刺激に留まらず、「T3R VR」の真骨頂は体感を伴っている点にある。加減速や旋回時の車体姿勢、路面の凹凸を拾った時のキックバック、タイヤの摩耗や路面によって変化するグリップなど、ドライビング中に起こるあらゆる挙動がステアリングとシートを通して伝わってくるため、強いGが本当に体へ掛かっているような、そんな気分が味わえるのである。そのため、疑似体験と分かっていても緊張感は高く、数分もしないうちに汗がにじんでくるほどだ。

そのカギがシートを支持する4本のアクチュエータにある。ダンパー状のそれが伸縮することによってシートを全方向に動かす仕組みだが、アトラクションのように大げさに揺らしたりはしない。4本のうち2本は車体の動きを、残りの2本はタイヤの状態を再現するために備えられ、ドライバーの操作や路面の状態が限りなく実走に近いカタチで反映されていくのだ。

多くのシミュレーターと決定的に異なるのがタイヤの接地感だ。アスファルトのザラリとした感触やミューの変化に加え、ラップ毎に上昇していく内圧が感じ取れるほどの緻密な作り込みが施され、サーキット経験が豊富であればあるほど、その世界観に浸れるに違いない。

それゆえ、基礎練習にはもちろん、タイムや順位を上げるためのヒントを探しているドライバーは一度体験してみるといいだろう。実車ならそう簡単に試せないようなラインやセッティングをシミュレートし、その時の挙動をリスクなく経験できる効果はあまりにも大きい。

「T3R VR」には、最小限の時間とコストで効率よくスキルアップを果たせる可能性がある。

■T3Rシミュレーター
名古屋にあるアイロックが開発したバーチャルリアリティのシミュレーター。最新の技術と技能を駆使し、設計から組み上げに至るまでMade In Japanにこだわっている。ソフトウェアには世界中のサーキット及びレーシングカーが内蔵され、フォーミュラーカー(F1、インディーカー、GP2、F3、F4)・ツーリングカー(各GT3車輌、DTM、スーパーGT)・NASCAR・レーシングカートなどと、多様性のあるサーキットを限りなくリアルに体感出来る。http://www.t3rs.net
VECTOR(ベクトル)ではヴァーチャルリアリティの「T3R VR」を体験できる(有料)。
住所:神奈川県茅ヶ崎市本宿町6-47

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text:伊丹孝裕/Takahiro Itami
1971年生まれ。二輪専門誌『クラブマン』の編集長を務めた後にフリーランスのモーターサイクルジャーナリストへ転向。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク、鈴鹿八耐を始めとする国内外のレースに参戦してきた。国際A級ライダー。
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