DUCATI 1199 PANIGALE(パニガーレ)とは何か 後編 ─1199パニガーレを持つということ─

アヘッド DUCATI 1199 PANIGALE(パニガーレ)とは何か

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「ドゥカティは、乗り方が難しい」。バイクに興味があるひとなら、似たような話を聞いたことがあるはずだ。確かに、これまでのドゥカティのバイクは、ある意味で乗り手を選んできたと言える。ドゥカティの代名詞である「L型ツインエンジン」は、車体のレイアウトの都合上、前輪の荷重をライダーが意識的に作り出さなければならず、車体がスリムになる反面、安定感が得られ難い。

text:神尾 成 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.120 2012年11月号]


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後編 ─1199パニガーレを持つということ─
DUCATI 1199パニガーレ S

後編 ─1199パニガーレを持つということ─

並列4気筒のように、バイクに任せた乗り方が許されなかったのだ。また、レースを前提にしたバイクの常識ともいえる剛性の高いアルミフレームを使用せず、〝しなり〟を利用するクロモリ鋼のトレリスフレームに拘り続けてきたことも、難しいと言われる要因のひとつだろう。

だが、この組み合わせの利点を活かし、熟成を重ねてきたドゥカティのバイクは、乗り手がライディングを組み立て直すことで、時に〝快感が走る〟コーナリングを披露する。それがドゥカティの真骨頂であり、世界中のライダーを惹き付けてきた魅力でもある。
しかし、「1199パニガーレ」は、部分的にエンジンがフレームの役割を兼ねる「モノコック構造」で造られている。フレームを簡素化するこの方法を採用したのは、マスが集中し、更なる軽量化が期待できるのと、車体設計の自由度を狙ってのことだ。

モノコック化により、余裕が生まれたエンジン位置は、搭載する角度を見直した結果、前輪側の重量配分の割合を増加させ、車体の安定性を司るスウィングアームの延長も可能にした。それにマスが集中したことで、前モデルの1098シリーズよりも、ひとまわり小さく、数値以上に軽く感じる車両に仕上がっている。
そして新開発されたLツインエンジンは、出力特性を3段階、トラクションコントロールを8段階から選択できるだけではなく、エンジンブレーキのコントロールも電子デバイスで制御し、前後サスペンションの設定も手元のスイッチで変更できるようにしてある。

更に、ライディングポジションは、ハンドル幅が広く、シートやタンクとの位置関係から、上体が起きた乗り手の自由度を広げるポジションが与えられているのだ。

ドゥカティは、乗りこなすことがひとつのステイタスでもあるので、1199パニガーレは、その悦びがスポイルされてしまったように感じるかもしれない。

しかし、乗り手のスキルに関わらず、多くのライダーがドゥカティの乗り味を堪能できるようになったことは、大きな進歩であり、歓迎すべきことだ。「いつかは、ドゥカティ」と思っていたのなら、失敗のない1199パニガーレを真剣に考えてみてはいかがだろうか。

DUCATI 1199パニガーレ S

○エンジン形式:スーパークワドロ L型2気筒
 水冷4バルブデスモドロミック
○総排気量:1,198cc
○最高出力:99kW(135HP)/8,000rpm (日本公道仕様)
○最大トルク: 109Nm(11.1kgm)/8,000rpm (日本公道仕様)
○フレーム:アルミニウム製モノコックフレーム
○乾燥重量:170,5kg(ABS装備重量2.5kg込、日本公道仕様)
車両本体価格:¥2,590,000

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text:神尾 成/Sei Kamio 
1964年生まれ。神戸市出身。新聞社のプレスライダー、大型バイク用品店の開発、アフターバイクパーツの企画開発、カスタムバイクのセットアップ等に携わり、2010年3月号から2017年1月号に渡りahead編集長を務めた。現在もプランナーとしてaheadに関わっている。
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