“働くEV”が蒔く種

アヘッド ミニキャブ・ミーブ

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人で使うクルマだけでなく働くクルマに浸透してこそ、電気自動車(EV)は身近な存在になったと言える。その意味で、軽商用電気自動車『MINICAB-MiEV』の発売は、EVの普及が次のステージに進んだことを証明している。 三菱自動車が軽乗用車の『i-MiEV』を発売したのは2009年6月のことだった(個人向けの販売は2010年4月から)。

text:世良耕太 [aheadアーカイブス vol.113 2012年4月号]
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“働くEV”が蒔く種

“働くEV”が蒔く種

それからほどなくして、商売を営む個人事業主やフリートユーザー(大口法人顧客)から、商用EVを求める声が上がってきたのだという。ミニキャブ・ミーブはその声に応えるべく、2011年12月に発売の運びとなった。

2012年2月末の時点ですでに、2000台を超える受注が入っているという。「期待を上回るペースです」と、販売の指揮を執る国内営業本部・MiEV販売推進室長の山田健二郎さんは説明する。

EVに飛びつくのは環境に敏感な層が多い。それはミニキャブ・ミーブの場合も変わらないが、商用車らしいと思わせるのは、コストパフォーマンスやEVならではの特徴が、潜在ユーザーの好奇心を刺激していることだ。

1日の走行距離が決まっている業態にとっては、ガソリン自動車に比べて短い、一充電あたりの走行距離がハンデにならない。となると、勝負はコスト。一定期間使った場合にガソリン代と電気代とでどっちが得なのか。そういう価値基準でミニキャブ・ミーブがリストに上がっているのだという。


業態によっては、EVならではの高い静粛性が好意的に受け止められてもいる。クリーニング屋さんに花屋さん、牛乳屋さんに電気工事屋さんなどなど、バラエティに富んだ業種から引き合いが来ているそうだ。

ある自動車教習所グループは、25台を一括注文した。生徒の送迎に用いるのが表向きの目的だが、教習所は避難場所に指定されている事も多く、大容量バッテリーが蓄える電力を災害時に利用できる点が選択の大きな動機になったのだという。

なお、三菱自動車は3月9日、急速充電コネクターに接続して最大1500Wまで電力を取り出すことができる電源供給装置を発表した。ミニキャブ・ミーブを選択する人たちは、人や物を運ぶ機能だけに引かれているわけではないことにも注目したい。

公共施設の急速充電スポットや同業者や異業種を結びつける集まりが、ミニキャブ・ミーブに関する情報交換の場となり、口コミで魅力が広がっているようだ。気がついたらあそこのお店もEV、という時代はすぐそこに来ているのかもしれない。
女優・宮﨑あおいさんが出演する三菱自動車EVのコマーシャルの第二弾がMINICAB-MiEV。老舗の豆腐屋を営むおじいちゃんもまた、配送車両にEVを選んでいたという設定。
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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/
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