ベスパは難しい乗り物?

アヘッド ベスパは難しい乗り物?

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跨がなくても乗れるバイク=スクーターという形を初めて確立したベスパ。"服を汚さずに乗れるバイクを作る"という発想がいかにもイタリアらしいエレガントかつレトロモダンなイメージで、「ローマの休日」でアン女王がスカートでローマ市内を乗り回し、「探偵物語」では工藤ちゃんがスーツで乗っていたりと、服装を選ばずに乗れるバイクとしてスクリーンの中によく登場していた。

text:サトウマキ photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.147 2015年2月号]
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ベスパは難しい乗り物?

ベスパは難しい乗り物?

しかし、地方出身の自分くらいのアラフォーからすると、その作品たちのリアルタイムにはちょっと間に合わない。再放送を見て「あれはベスパという乗り物なんだ」と認識した程度。

だから、当時の映画やドラマにそんなファッションアイコンとして登場していたベスパが、ハンドシフトのマニュアルで、混合給油なんて知る由もなかったのだ。

専門知識も持たずに「かわいいなぁ、欲しいなぁ」と言うと、バイクに詳しい通な方々から「あんな面倒な車両、女性は辞めた方がいいよ」と返され、オードリーが楽しそうに乗り回していたのに日本の女子はだめなのか、とよく知りもしないで諦めた口なのだが……。それは昔のお話。

欧州の排ガス規制の変更に伴い、2000年以降のベスパはほとんどがインジェクション仕様のオイルを給油しなくていい4ストエンジンかつ完全オートマと、扱いやすさは国産スクーターとほぼ変わらなくなっている。

もちろん古き良き時代のキャブ式2ストエンジンも残ってはいるが、それは50ccのみ。当時とエンジンが変われど、そのエレガントなデザインは健在で、片持ちフロントサスペンションやスチールモノコックボディといった、当時のコンセプトそのままに進化している。

ガソリンとオイルを混ぜるとか考えなくても良いし、ギアチェンジを間違えてエンストすることも無い。ファッションを楽しみながら乗ることができて、バイクに詳しくない人でも気軽に乗れるようになっているのだ。ただ、全体的にシート高が高いので日本人にはちょっと辛い。

写真のプリマベーラ125で、身長157㎝の私はつま先がやっと地面に届くくらい。だからといって車体が軽いので取り回しには困らないし、ベスパならではの50㏄(普通自動車免許でも運転できる)〜150㏄なら小回りが利くので、小粋に街を乗り回せる。

モッズやロッカーズ好きとしては、ローマの休日や探偵物語よりも「さらば青春の光」の印象が強烈で、憧れてやまなかった青春時代。スティング扮したエース気分でさっそうと乗りたいところだ。

●Vespa Primavera 125 
価格:¥428,000(消費税込)  
排気量:124.5cc 
車両重量:130kg 
最大出力:7.2kW(9.6HP)/7,750rpm 
最大トルク:9.5Nm/6,000rpm

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text:サトウマキ/Maki Sato
ファッション専門誌からバイク専門誌の編集部に転職した異例の経歴を持つ。現在はフリーランスのエディター&ライター。30代でバイクの免許を取得した。遅咲きながら、バイクへの情熱は人一倍、勉強熱心で努力家。ライディングの美しさには定評がある。
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