国内投入された197馬力のプライド 〜SUZUKI 隼〜

アヘッド SUZUKI 隼

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スズキのスポーツバイク、「隼(ハヤブサ)」が国内販売されることになった。'99年に初代がデビューして以来、長きに渡り、海外仕様車として生産されてきたこのフラッグシップモデルが、最小限の変更だけで国内販売されるのだ。

text:横田和彦 [aheadアーカイブス vol.136 2014年3月号]
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国内投入された197馬力のプライド 〜SUZUKI 隼〜

国内投入された197馬力のプライド 〜SUZUKI 隼〜

だが日本にはさまざまな自主規制が存在している。また世界で一番厳しいと言われる騒音、排ガス規制等により、日本国内向けに販売される「国内仕様」のパワーダウンは避けられなかった。

ところが今回発売される「ハヤブサ」の国内仕様は、欧州仕様のフルパワーモデルと同じ、最高出力が197馬力で販売されることになった。日本が世界に先駆けて導入した新しい国際基準の騒音規制に、大きな変更することなく適合したのがその理由らしい。

数十年に渡り、国内のオートバイの動向を見て来た者からすると、この最高出力の数字には驚かされた。なぜスズキは、「ハヤブサ」の国内仕様の販売に踏み切ったのだろうか。

初代の「ハヤブサ」がデビューした時のコンセプトは、「アルティメットスポーツ」だった。直訳すると「究極のスポーツバイク」ということになる。その言葉が示す通り、デビュー当時は最高速度が実測値で300キロを越えることや、GPマシンと同等の出力を発揮することに注目が集まった。

しかし、「ハヤブサ」の真価はそれだけではなかった。高度な足まわりのセッティングにより、ビックバイクが苦手とする、下りのへアピンカーブのようなシチュエーションでも恐怖感を抱かないハンドリングを持っていたのだ。

それに加え、市街地走行の速度域でのエンジン特性が極めて高いレベルで調教されている。見た目のボリュームさえ気にしなければ、毎日の通勤の足にでも使えるほどの軽快感と快適性を備えているのが「ハヤブサ」なのだ。
▶︎国内仕様もスピードメーターは300㎞/hまで刻まれている。


また、ザラつきを感じさせる重いクランクが回る重厚なエンジンフィーリングも忘れてはならない魅力だ。どこか昔の空冷4気筒を彷彿させるものがある。「アルティメットスポーツ」のパワーユニットでありながら、「オートバイらしさ」が残るその乗り味は、GS1000から続く、スズキのリッターバイクの歴史を凝縮しているかのようだ。

「ハヤブサ」が、最高出力や最高速度の数字だけがとりえのオートバイだったとしたら、これほどまでの長期間に渡り、世界から支持を受けて来なかっただろう。

あらゆる速度域で発揮される卓越した運動性能や、オートバイらしい乗り味、海外メーカーと世界基準で闘ってきた販売実績などに自信があるからこそスズキは日本仕様を製作し、国内投入に踏み切ったのではないだろうか。

「ハヤブサ」の奥深い魅力は、国内仕様の宿命でもある「速度リミッター」によって最高速度が制限されていても衰えることはない。

世界的に見てもハーレーやドゥカティのようなブランドモデルと肩を並べるだけのオーラを「ハヤブサ」は持っているからだ。それは、実車を目の前にすれば伝わってくる。

▶︎日本仕様はリアシートカウルにETCユニットを標準装備。自己診断機能付ABSも継承される。

SUZUKI 隼(ハヤブサ)
車両本体価格:¥1,564,500 
排気量:1,339cc 
エンジン:水冷直列4気筒DOHC4バルブ 
最高出力:145kW(197ps)/9,500rpm 
最大トルク:155Nm(15.8kgm)/7,200rpm
問い合わせ:スズキお客様相談室
0120(402)253 www.suzuki.co.jp

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text:横田和彦/Kazuhiko Yokota
1968年生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターオーバーまで数多くのバイクやサイドカーを乗り継ぐ。現在はさまざまな2輪媒体で執筆するフリーライターとして活動中。大のスポーツライディング好きで、KTM390CUPなどの草レース参戦も楽しんでいる。
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